とはり
2024-10-17 23:59:20
7410文字
Public ひめこは
 

明け透けな夏

なあなあな関係のままキスを交わしているひめこはがぎくしゃくして仲直りする話【pixivから移行】

※ひめこは・燐ニキ前提のニキこは・燐ひめ要素がふんわりとあります。

BGMは例の夏曲。
MVで動揺した末の突貫工事。
全部暑い夏のせい。

ホットリミット直前に書いたものなので燐ニキがキスをしていた。びっくりした。

 夏。
 桜河こはくは桜色の髪を揺らしながらご機嫌な様子でレッスン室の戸を開けた。
 集合時間より少し早めに来たこはくは荷物を置き、壁に背を預けてどかりと座り込む。置いた荷物の中からビニール袋を掴む。寄り道して買ってきたその中身を掴んその手にはコーラ味のアイスバーだ。パッケージには期間限定の宣伝文句が大々的に印字されている。ネットで評判になっていたそれは全国的に品薄で、入手が困難となっていたが、たまたま最後の一本が残っていたのだ。袋を開ける指先にも力が籠る。
 買ってからそれほど時間は経っていないが、夏の暑さに晒されたアイスは少し溶けかけていた。
 滴る甘い雫を舌で追いかけながら一口頬張ると、シャクッと涼しげな音と共に氷が口のなかで崩れる。汗をかいて乾いた身体に冷たさと甘さがじんわりと広がって、幸せを堪えきれず吐息が漏れる。
「美味しいわあ。世間にはこんなに美味しいもんがあるんやねえ」
 しみじみと呟く声がレッスン室に響く。


 夏。
 海やプールに祭りに花火。
 夏は人の気持ちを高揚させる。それも手伝ってかアイドル活動もライブも至るところで盛んに行われていた。Crazy:Bもその恩恵を受けてライブへの出演が増えており、レッスンで顔を合わせる機会も増えてきていた。
 今日は気まぐれな燐音の掛け声で打ち合わせ兼レッスン日となっていた。
 アイスの欠片を舌で転がして味わっていると、ガチャリとレッスン室のドアが開いて、勿忘草色の髪がドアをくぐる。夏空を泳ぐ風のような爽やかな色が視界に入り、こはくの瞳がきらりと光る。
「HiMERUはん。おつかれはん」
 ひらひらと手を振るとHiMERUと視線があって頬の筋肉がひとりでに緩む。
 HiMERUもまた表情を緩めて応え、こはくのすぐ隣に腰を降ろした。
「おつかれさまです。早いですね」
「今日は寄り道しようと思って早めに出たんよ」
 お日様を吸った肌の香りとHiMERUの甘い香りとが混ざった芳香が鼻先をくすぐって胸が高鳴る。熱でアイスが溶かされるように心の芯がじゅわりと甘くとろけていく。
 口元に寄せたアイスを見つめるHiMERUに、食べる? と食べかけのアイスを差し出すと、汗をかいたクリアブラウンに唇を寄せて一口齧った。
「美味しいですね」
 甘く広がる冷たさにHiMERUは目を細め、こはくの唇に触れるだけのキスをする。いつもの感触とは異なり、こはくの唇の方が少し冷たい。
……HiMERUはんの唇、あったかくて、なんやドキドキしてまうなぁ」
 唇を離すと頬がぽうっと桃色に染めたこはくのいじらしい反応にたまらずHiMERUはもう一度唇を寄せた。
 HiMERUの舌が冷えたこはくの唇を撫でて、その温もりの刺激にこはくの唇の隙間から吐息が漏れる。
 こんな関係が始まったのはライブ中に高揚してどちらからともなく唇を重ねた時からだった。
 黄色い声援と高揚感。ライブ後も興奮が収まらず、舞台袖でも互いの唇を貪り合った。
 普段は凪のように穏やかなHiMERUの瞳はその時はギラギラと欲望に煌めいていて。その目に捕らえられた時、こはくは今までに感じたことのない胸の高鳴りを感じた。
 その一件からライブ外でも、時折こはくとHiMERUは唇を重ねていた。
 同性同士のキスにそれほど抵抗がなかったのは残りのメンバー──燐音とニキ──の影響が大きいだろう。
 二人はメンバー間では関係を隠すつもりはないのかことあるごとに彼らは唇を重ねあっていた。燐音がニキにかぶりついている光景がほとんどではあるが。
 感化されてこはくとHiMERUも唇を重ねることも多いため、特に隠し合うこともなく二組とも互いの関係は承知の上でユニットの活動を続けている。
 こはくはHiMERUとキスをするのが好きだった。甘く緩んだ綺麗な顔が近づいてきて、唇に柔らかな感触が訪れると全身が幸福感で震える。
 自分はきっとHiMERUのことが好きなのだろうと自覚していた。HiMERUに触れられた時の胸の暖かさを恋と名付けて育てていた。
「ちーっす」
 部屋のドアが開いて気の抜けた声と共に燐音とニキが姿を表す。珍しく時間通りだ。
「おっ、揃ってる揃ってる」
 壁際で寄り添う二人の姿を見つけて燐音はひゅうっと口笛を吹く。
「珍しく時間通りやないの。いつもみたいにすっぽかすか思うとったわ」
 アイスを食べ終えたこはくは立ち上がり、伸びをする。
「俺っちが呼んだんだから来るに決まってんだろォ」
「嘘つき! 燐音くん全然起きる気なかったじゃないっすか!」
 隣にいたニキが抗議の声を上げる。連れてくるのに難航したのだろうか。レッスン前だというのに既にくたびれた雰囲気を纏っている。
「うるせェな、起きたからいいだろォ。よしよしって褒めてくれてもいいんだぜェ、こはくちゃん?」
「何でわしやねん! てか離さんかい!」
 燐音に髪をわしゃわしゃと掻き乱され、目をつり上げて睨み付ける。
 こはくが大きな手に翻弄されていると、その燐音からかばうようにHiMERUがこはくの身体を引き寄せる。
「桜河にちょっかいをかけないでもらえますか?」
「ったくよォ、メルメルはこはくちゃんのこと大好きだなァ?」
「誰がそんな話をしましたか?」
 新しいおもちゃを見つけたかのように、意地悪な笑みを浮かべる燐音をHiMERUが眉をひそめて睨み返す。
……え」
 ──HiMERUはん、ちゃうの……
 腕の中のこはくからこぼれた声がか細く揺れて、HiMERUの身体が硬直する。
……HiMERUはんは好きやない奴にもキスをするようなお人なん?」
 腕の中からするりと抜け出したこはくの瞳が困惑とわずかな軽蔑の色を乗せてHiMERUを射抜く。
「桜河?」
 曖昧な笑みを浮かべたHiMERUの手がこはくに伸びて、乱れた桜の髪を宥めるように優しく撫でる。
 その動作には愛情を感じるのに、答えをくれないHiMERUに不安の種が一気に芽吹く。
 優しく触れてくれる手のひらも、幾度となく唇を重ねたことも、そこに愛はなくて、これはHiMERUにとってはスキンシップのひとつだったのだろうか。もしかしてHiMERUを好きだと思っていたのは自分だけだったのだろうか。
 黒いもやが身体の中で渦巻いて、こはくはHiMERUの顔を見ることができず、目を伏せた。

 レッスンは始まったものの、気まずい空気は漂ったままで、最低限の確認を済ませた後は早々に解散となった。
 レッスン中、何度かHiMERUがこはくに声を掛けようと近づくが、どんな顔をしてHiMERUと向き合えばいいか分からず、気づかない振りをして避け続けた。

 レッスンが終わるやいなや、HiMERUから逃げるように足早に部屋を去ろうとしたこはくは「僕のとこで夕食でもどうっすか?」とアルバイトに向かうニキに声をかけられ、行動を共にしていた。
「こはくちゃん、試しに僕と付き合ってみないっすか?」
「は?」
 まるで世間話をするかのようにいつもと変わらぬトーンで提案するニキにこはくは思わず眉をひそめる。
「ぬしには燐音はんがおるのに何言うとんじゃ」
「なはは~こはくちゃんは優しいっすね~。でも燐音くんは気にしないと思うし、向こうも同じこと考えてる気がするっすよ」
 へらりと笑いながら言ったニキの言葉は後日現実になっていることが明らかになる。


「「あ」」
 ビルの廊下でばったりと二組が出会う。隣にいる人物を見て、こはくとHiMERUは同時に声をあげた。二人は一緒にいた訳ではない。こはくはニキと、HiMERUは燐音と行動を共にしていた。
「よォ、おふたりさん。どうやらそっちもよろしくやってるみたいじゃねェか」
 挑発的な笑みを浮かべて燐音がHiMERUの肩に腕を回して引き寄せる。燐音のスキンシップにいつも拒否反応を見せるHiMERUが、今は黙って燐音の首もとに頭を寄せている。
「うわっ燐音くん、手が早いっすね~。流石というかなんというか」
 数日前にニキが言っていた言葉が理解できたこはくは、はっ、と乾いた笑みを吐く。
「そっちもずいぶんと仲良さそうやね。何よりやわ」
 冷ややかなこはくの視線と言葉に、HiMERUの眉がわずかにぴくりと反応する。
「そちらこそ。先ほどまで楽しそうにおしゃべりをしていたようで」
 無感情を装うHiMERUの声音には軽蔑の色がわずかに滲み出る。
「そうなんよ。これからニキはんとデートをしようっち話をしとったとこなんよ」
 売り言葉に買い言葉と言わんばかりにこはくが答える。にっこりと笑みを浮かべているが口角は固く、ぎこちなさが残る。
「おいおい、二人とも顔が怖いぜェ? まぁ、楽しくいこうや。なぁメルメル?」
 空いている手で燐音がHiMERUの腰を撫でると、HiMERUの肩がぴくりと跳ねる。
……天城、ここは外ですよ」
 HiMERUはため息をつきながら、腰に触れている手を柔く押し返す。
 強く抵抗しないということは満更でもないということなのだろうか。燐音とはどんな関係になっているのだろうか。HiMERUは自分よりも燐音を選んだのだろうか。
 こはくの頭の中で様々な思考がぐるぐると回り、それに伴って足元もぐらつくようだった。一刻も早くこんなところから抜け出したかった。
「いこ、ニキはん」
 こはくはニキの手を掴むように握り、踵を返しながらその手を引っ張っていく。
「え~! カフェはそっちじゃないっすよぉ、こはくちゃん~!」
「わかっとる!」
 遠退いていく騒がしい背中を見つめながら燐音がはぁ、と息を吐いた。
「素直じゃねぇなァ?」
「うるさいですよ、天城。いい加減離してください」
 ふい、とそっぽを向きながらHiMERUは抗議する。
 勿忘草色の髪の奥に隠れた表情は読み取れないが、二人の背中を見つめるHiMERUの琥珀色が揺らいでいたことを燐音だけは知っていた。

 その日から二人は、必要最低限の連絡事項以外は口も利かない日々が続いた。
 積み重なった気まずさもさることながら、あの燐音がHiMERUとぴったりくっつき、それを見るたびに口に苦いものが広がって避けてしまうこともこの状況を助長していた。
「こはくちゃんはHiMERUくんのこと好きなんすよね」
 アルバイトを終えたニキが後片付けをしながら、カウンターに突っ伏しているこはくに声をかける。
「ん~、もうわからんなってもうた」
「じゃあ、僕とキスしてみるっすか?」
 こはくは目を見開いてニキを見つめるが、すぐにうーんと唸り声をあげて項垂れる。
「それはなんか、ちゃう気がする……
「なら、そういうことっすよ。ちゃんと答え出てるじゃないっすか」
 ニキは屈託なく笑う。
「ちゃんと気持ち、伝えた方がいいっすよ」
「そうやね。おおきに、ニキはん」
 憑き物が落ちたようにこはくは穏やかな笑みを返す。
「それにしても、HiMERUくんが心配っす」
「どういうこと?」
「いや~燐音くんのことだからHiMERUくんに手を出しててもおかしくない気がして」
 キスのひとつやふたつ無理矢理されててもおかしくないっすよ~と苦笑いを浮かべたニキの言葉にこはくの頭に嫌な予感が過る。


 関係は修復できないままわだかまる胸中とは裏腹にここ数日は晴天が続いていた。
 天井知らずな青い空も降り注ぐ夏の日差しも、外にあまり出ることのなかったこはくからすれば新鮮で、愛しいものだった。
 隣に愛しいHiMERUの姿があれば尚更よかったのに、と星奏館の敷地の中を宛もなく歩く。頭上の青がHiMERUの艶やかな髪の色を想起させて、思わず溜め息がこぼれる。
……ん?」
 知らずの内に旧館まで歩いてきたらしい。簡素な作りの旧館の外には日陰は少ないが、そこに誰かが立っている。
「HiMERUはんと燐音はん?」
 二人の姿を確認して、こはくは思わず建物の陰に身を潜める。
「     」
「     」
「     」
 何かを話しているようだが、内容までは聞き取れない。
 息を殺して様子を伺っていると、燐音の指がHiMERUの顎にかかり、くいと持ち上げる。
 こはくの背中をぞくりと冷たいものが駆け抜ける。この先何が起きるかなんて想像は容易だった。
 キスをする。
 誰が? 誰と?
 HiMERUが燐音と?
 滑らかで薄いけれど触れると柔らかくて温かい綺麗なHiMERUの唇が、自分しか知らないHiMERUの唇の感触を、他の奴に奪われる……
 さーっと血の気が引き、視界がぐらつく。
 ジリジリと照りつける痛いくらいの陽射しの暑さも、うるさく響くセミの声も、全てが遠くに感じる。
 二つの唇の距離がじりじりと近づいていく。こはくの目にはスローモーションのように映る。
HiMERUは本当に燐音と付き合うことを選んだのか。そんなのは嫌だ。どうすればいい?
 考える前に身体が動いていた。

 ドンッ

 重い音と共に燐音の身体が大きく後ろに揺らぐ。
「おいおい、どういうつもりだ?こはくちゃん」
 燐音は大きくため息を吐きながら、自分を突き飛ばした相手──こはくを見下ろす。
「あ、え……わし、その……
 自分が何をしたのか理解しきっていないこはくは大きくすみれ色の瞳を揺らす。揺らぐ桜に燐音が畳み掛ける。
「何も言わず見ないフリして、俺っち達のことはどうでもよかったんじゃないのかよォ? 自分がニキとよろしくやるのはいいけど、俺っちとメルメルはするのは許さねェってかァ? ずいぶんと勝手なんじゃねぇの。なァ、こはくちゃん?」
 自身の抱えている矛盾が燐音によって暴かれていく。はぐらかすことはもう、できない。
「ごめん、なさい……でも、嫌っち思うてしまったんよ……
 視線は床に落ちていて、弁解の声は細く、震えている。けして大きくはない身体が更に小さくなって見える。
「喧嘩してあんなこと言うてしもたけど、わしやっぱりHiMERUはんのこと、好きなんよ。HiMERUはんやないと嫌や」
 ぎゅっとズボンの裾に皺をつくり、こはくは声を絞り出す。
 HiMERUの気持ちが既に燐音へ移ってしまっていたらどうしよう、その可能性の方が今は高いかもしれない。燐音からのキスを受け入れようとしていたHiMERUの様子を思い出し、こはくの目頭が熱くなる。
「俺っちに謝ってどうすんだよ」
 燐音の呆れた声が降ってくるのと、背中から伸びてきた腕に引き寄せられるのは同時だった。
 ぐらりと身体が後ろに倒れたが、すぐにこはくの身体は受け止められ、背中から抱き締められる形になる。
 同時に馴染みのある、大好きな香水の甘い香りがこはくの鼻腔をくすぐった。
「ひめる、はん……?」
「すみません、桜河。少し……いえ、たくさん意地悪をしてしまいました」
 こはくの肩に頭を埋めながら話すHiMERUの声は珍しく震えていた。
 HiMERUの表情がわからないこはくは正面にいる燐音を見上げる。
 燐音はにやにやといつものような軽薄な笑みを浮かべていた。
「HiMERUも桜河のことが好きです」
 掠れた低音が鼓膜から全身に響くように駆け巡る。
「ほんまに? 燐音はんやなくて?」
「HiMERUは桜河しか好きになったことはありません」
「ほ、ほっか……
 がくん、と突然こはくの身体が脱力し慌ててHiMERUは腕に力を入れて抱き留める。
「お、桜河?!」
「安心して気が抜けてしもた……HiMERUはんに嫌われてしもとったらどうしようっち思うてたから」
 HiMERUにしがみつくようにしながら、方向を変えこはくはHiMERUと正面に向き直る。
 見上げたHiMERUの表情には驚きの色と先ほどの告白に対する照れの名残があった。
「HiMERUはん、顔赤い」
 こはくが目を細めるとHiMERUの白い肌にまた一段と濃い朱が浮かぶ。
「桜河こそ」
 目を泳がせ口を尖らせるHiMERUが愛しくなって、こはくは背中に手を回し、その胸に顔を押し付ける。
「わしこそあんな態度とってしもうて堪忍な。好きやで、HiMERUはん」
 改めてもう一度伝えるとこはくの背中に回っていたHiMERUの腕に力がこもる。
 とくとくと少し早いHiMERUの心音とあたたかな体温にこはくの胸は愛しさでいっぱいになる。互いに腕の力を緩め、再び見つめ合う。
 HiMERUの手のひらがこはくの頬に添えられて、ゆっくりとこはくは目を閉じる。
 二つの唇がそっと重なり、身体中が指先まで幸せな温もりで満たされていく。
 ちゅっ、とリップ音が鳴って唇が離れると同時に、ひゅうっと囃し立てる口笛の音が鳴る。
「キャハハ! お熱いねェ!」
 一部始終を眺めていた燐音の冷やかしが耳に入り、こはくの身体がびくりと震える。その身体はあっという間に首もとまで真っ赤に染まる。
「ああっ、燐音はんがおるの忘れとった! 最っ悪や! あかん、恥ずかしゅうて動かれへんっ。HiMERUはん、このままわしを連れてってぇ!」
「ちょっと、桜河?!」
 ぎゅうっとしがみついてくるこはくにHiMERUの両の手が戸惑いで宙をさまよう。
 困ったような声をあげながらも、HiMERUのその口元は緩んでいた。







「こはくちゃんとHiMERUくん、仲直りできてよかったっすね~」
 後ほど事の顛末を燐音から聞いたニキがパンを頬張りながら安堵する。
「やっぱ俺っちはニキの身体が一番だなァ」
「げっ、燐音くんほんとにHiMERUくんに手を出したんすか!」
 最後の一口のパンを飲み込みニキは非難の声をあげる。
「ハッ、冗談だよ、ジョーダン」
「え~、ほんとかなぁ。まぁ、ほんとにHiMERUくんに手を出してたら燐音くんの大事なとこ、僕が食いちぎってやりますけどね」
「おいおいニキきゅん? ……冗談だよな?」
 燐音の問いにニキは爽やかな笑みを浮かべて、手に持っていたチョコレートバーを一口囓った。