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史加
2024-10-17 22:36:02
675文字
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原神(鍾タル)
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雪の果てに夢は終わる
鍾タル
しろい、しろい雪のなかに、海があった。
小指の第一関節分にも満たないほどのちいさな海。周囲の音を吸い込んで静けさをもたらす雪よりもふかく、凍ることを知らない青は、澄み切っている。
……
うつくしい、と思った。
からりと晴れ渡った空の似合う男だと思っていた。だが、生きとし生けるものの温度を奪う無慈悲な白と灰色の世界でこそ、その色彩はいっそう鮮やかにみえるのだと、思い知らされた。
しろい世界に、夜の幻影が重なる。
まっさらな白の中でもうつくしく輝く星がある。
そのまばゆさに圧倒されて、心臓が高鳴り、すっかり冷えた身体中を熱い血液が巡る感覚に襲われた。
広大な夜空の中に存在する誰も知らない星を見つけた学者はきっと、同じ胸の高鳴りを覚えながら、歓喜に震える唇で名前をつけるのだろう。
けれど、己は学者ではない。
この星は、名もなき星でもない。
だから名付ける代わりに、その星の輪郭をなぞるようにすでに与えられている尊き名を音にする。
とたん、星は、またたいて。
「 」
夜の果てを追い、流れる星の軌跡をたどってやってきたひとりの凡人のために、頬を夢見の色に染めて笑った。
――
ああ、なんと無垢でいとけないことか。
高名な学者でも何者でもないひとりの男は、まばたきすらも惜しいと思うこの瞬間に、「焦がれる」ということばの意味を理解する。
かわいた雪が、鈍色の空に舞った。
寂れた冬のにおいの中に混じる甘いにおいと温度が、星とともに自らに降り落ちてくる奇跡を、男はその身で受け止めて微笑った。
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