けがわ。
2024-10-17 00:30:42
1333文字
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Blood beast

ドラコレ冬の893パロ

虎於と百のちょっとしたお話です。
カプなしのつもり……

※血、暴力表現あるので苦手な方は注意してください。

 命が——消えていく。

 オレの足元に転がる人間だったモノは、辛うじてカタチを保ってはいるが、消えた命は肉片に過ぎない。
 肉体に風穴を開けて、完膚なきまでに切り刻んで、削ぎ落として。
 奸佞邪智の人間たちは無様に地面とキスでもするのがお似合いだろう。
「はっ」
 思わず失笑が漏れた。
 今更、人間を殺すことに一々躊躇いなんかないし、別に楽しんでいるわけでもない。
 オレはそうやって生きてきたんだ。——それしか、生きる術を知らなかったから。
「虎於。行くぞ」
「百さん……
 頬についた返り血を手の甲で乱雑に拭って、グループの副リーダーである虎於に命令を下す。
 苦虫を噛み潰したような顔をして、人を殺した後は毎回納得がいかないと訴える。
 オレにとってはどうでもいいことだけど。
 周りにはこちらのグループの人間も転がっているが、一々覚えてなんかいないから、だれが死んだとか把握すらしていない。
「っ、百さん!」
 虎於が前を歩くオレの腕を掴んだ。オレにこんなに気軽に触れてくる奴もコイツくらいだろう。
「あ?」
 オレがチームのメンバーとして唯一虎於を認識しているのは、コイツが単に副リーダーだからというわけではない。実力が物を言う世界で、唯一オレが肩を並べることを許している。——つまりはそう言うことだ。
 オレの腕を掴んだ手を離すことなく、渋面を作る虎於に痺れを切らす。
「言いたいことがあるなら三秒以内に言え。オレは気が長くない。お前が一番よく知ってるだろ?」
——っ、」
「三…………——
「もうこんなの辞めにしないか!」
…………はぁ?」
 地獄のカウントダウンギリギリの所でやっと口を開いたかと思えば、随分と酔狂なことを口走る。
「ふっ——あははははははははははッ!!!!!」
「っ!?」
 突然大声で笑い出したオレに頭が処理しきれないのか、戸惑ったようにオレを見つめてくる。
 あぁ、その眼だ。
 虎於の胸倉を掴んで思いっ切り引き寄せた。
「グっ!」
 ゴッ! と鈍い音がしてオレの額と虎於の額がぶつかって、血のような赤い瞳がオレを真っ直ぐに捉えた。
「何ぬるいこと言ってんだよ。お前だってわかってんだろ? もう、戻れねぇよ……
 掴んでいた手を離して再び虎於に背を向けて歩き出す。
 これでいい。オレはオレのやるべき事をするだけだ。ここまで付いてきた副リーダーを——虎於を、もう巻き込まないで済むのなら、オレはここで一人になったって構わない。
 廃れた雑居ビルのコンクリートが歩くたびにジャリジャリと音を響かせる。
 一人分の足音を聞いていると、オレの足音に足音が重なって、反射的に振り向いた。
「っ、なんで……ついてくんだよ……
「アンタ一人にするのは……流石にな……
 虎於は目を合わせる事なく、眉間に皺を寄せたまま、睫毛に翳を落とした。
「俺はアンタについて行くって決めたからな」
 虎於の覚悟のようなものがひしひしと伝わってくる。何だかんだで、コイツもオレと同じなんだ。血生臭い世界でしか生きられない。それがオレたちの正義だと信じている。
…………バカな奴」
 オレが溢した呟きに虎於は眉を下げて微笑んだ。