NRC新聞号外 NRC新聞部 2024.4.30発行
新聞部・七不思議研究会合同企画 そこ知り特別編 ~図書館の七不思議について、図書館の人に聞いてみた~
食堂の裏メニューをシェフゴーストたちに、
マジフト部の強さの秘密をマジフト部の部員たちに、
学園内のあれこれについて、現場の話を聞きにいく人気連載「そこ知り」特別編の短期集中連載が始まります。テーマは七不思議!! 夏に限らず怪談話に事欠かないナイトレイヴンカレッジの、七でも七七でも足りない不思議の数々に迫ります。
記念すべき第一回は、数多くの七不思議を誇るナイトレイヴンカレッジでも特に多くの噂が囁かれている図書館が舞台。現在までに囁かれてきた図書館の七不思議について、職員の皆さんにお話していただきました。
【インタビュー参加者】
コルポン・ミーミアネット(ナイトレイヴンカレッジ図書館 サービス部門職員)
ピック・ハーディ(ナイトレイヴンカレッジ図書館 資料管理部門職員)
タービエ・ハオシュ(ナイトレイヴンカレッジ図書館 サービス部門職員)
ホアン・ガルシア(ナイトレイヴンカレッジ教員・ナイトレイヴンカレッジ図書館元職員)
AAA(新聞部部員・スカラビア寮3年)
BBB(七不思議研究会会員・ハーツラビュル寮2年)
◆実際、七不思議ってあるんですか?
ミーミアネット 今日は面白い企画に誘ってもらってありがとうね。喋れる範囲でなんでも喋るから、気軽になんでも聞いてね。
ハーディ 事前にもらった七不思議一覧、オレも知らないの結構あってそれだけで面白かったわ。ここの卒業生なんだけど、学生時代含め噂話とか強いつもりだったんだけどなー。
ハオシュ 俺は喋れることがあるか不安ではあるんだけど
……頑張ってお話しさせてもらいます。
ガルシア 僕は見守り要員だから気にしないで。
ハーディ えっ、ガルシアさんもいろいろ聞かせてくださいよ。魔導書のこととかオレたちじゃ追いつかないところがあると思いますし、それ聞かせてもらえるの楽しみにしてきたんで。
ミーミアネット 僕もですよ。
AAA 皆さんありがとうございます。この記事は「学園内のあれこれについて現場の人に話を聞かせてもらう」というもので、今回は図書館の七不思議をテーマにしています。
BBB 質問させていただきたいこともいくつかあるんですが、まずは事前に見ていただいた七不思議たちについて、大まかな印象をお伺いできますか?
ハーディ 起こってもおかしくないなあって。
ミーミアネット (笑) 魔導書とか魔法の関与があればでしょ。こういうのって魔法とか魔法事故の可能性は除いてってことだとは思うんだけど、まあ職業柄といえば職業柄かな。魔導書管理のミスによる事故で起こりそうだな~気をつけなきゃな~って感想になるのはいくらかあったよね。
ハオシュ えっと、補足させてもらうと図書館でこの七不思議が起こりそうっていうことじゃないです。さすがに。そういう事故が起こりそうな本は、閉架書庫っていう図書館職員しか入れない部屋で厳重に管理していますので。
ミーミアネット そうそう。図書館には一歩間違えれば七不思議になりそうな本もあるけど、その一歩を間違えないために僕らがいるからね。
BBB あはは。安心したようなちょっと残念なようなですね。ちなみに、どの七不思議を起こりそうだと思いましたか?
ミーミアネット 事故が起こりそうかどうかじゃなくて、そういう現象を起こす魔導書があるかっていうところでお話するね。もらった一覧の中だと、【読めない本】のうち読者を登場人物にするタイプと、読者の認識を阻害するタイプは所蔵があるね。もちろんまったく噂通りのものがあるっていうわけじゃあないけど。
【読めない本】
ナイトレイヴンカレッジ図書館の書架に眠る一冊の本。読もうと手に取った者は誰であれその本に取り込まれてしまい、その後のことは誰も知らないという。はたまた、どれだけページをめくっても文字が現われない、あるいは確かにそのページには何かが綴られているのに、それを文字や言葉として認識することができないという。印刷上のミスではなく、知らない言語というわけでもないのに。他にもいくつかのパターンがあるが、いずれも共通するのは「本なのに読めない」という矛盾をその中心に据えていることである。
ハオシュ 【無限に続く物語】も近いのがありませんでしたっけ?
ハーディ マダムQのこと? 確かに近いかも。世話焼きマダムって印象だから、七不思議なんて呼ばれると変な感じがするけど。
【無限に続く物語】
ナイトレイヴンカレッジ図書館のどこかにある一冊の本。その本はとにかく読者を楽しませるのが好きで、一度ページをめくられれば物語ることをやめないという。文字通り寝食を忘れるほど面白い物語が、ずっとずっと続くのだ。そんな噂を耳にしてなお、好奇心から本を手に取り、その面白さに魅入られ、自らの生を忘れる読者が後を絶たないという。
AAA そういう本を安全に読む方法はあるんですか?
ハーディ もちろん! 認識疎外系は専用の防護眼鏡を使うとかね。もう少し本格的な対抗措置が必要だったら防護陣のなかで読むとか。うちの図書館にも防護陣を常設してる専用の部屋があるよ。
ハオシュ デジタル化も安全措置に数えていいんじゃないですか?
ミーミアネット そうだね。もともと魔法的な仕掛けが再現できないことから魔導書のデジタル変換は難しいとされてきたけど、反対に魔法的な仕掛けを再現しなければ安全に中身を読めるとも言えるからね。一般資料を追いかける形で、最近は魔導書にもデジタル化の波が来てる。
ハオシュ デジタル化とデジタル資料の公開は、黎明の国の国立図書館が特に積極的かなと思います。興味があればぜひウェブサイトを覗いてみてください。実際に有名な魔導書が読めるので。そしてうちの図書館が所蔵している魔導書のなかにも申請書を出せば閲覧できるものもあるので、この記事で気になるものがあればぜひ読みにきてください。
BBB ありがとうございます。私もぜひ読ませてもらいたいです。いま魔導書のお話が出ましたが、【未来の書】と【過去の書】はどうでしょう。どちらも人気の高い七不思議で、自分としては魔導書として作ることもできなくはなさそうだなと思います。
ハーディ これはオレが学生の頃からあったな~。所蔵場所とか、二人以上で読んだらどうなるかとか、いろいろパターンがあってさ。
【未来の書】
その本には、その本を手に取った者の未来が綴られているという。そこにはあらゆる出来事が書かれているという噂もあれば、不幸しか書かれていないという噂もある。自分の未来が書いてあるという噂も、他人の未来が書かれているという噂も。しかし実際にその本を手にしたという話は滅多に聞かず、もっぱらは書架で、閲覧室のテーブルで、本来立ち入りが禁止されている閉架書庫で、その本を手に取った“誰か”がいるという噂ばかりがある。ただし、その本に気づいてしまえばページを開かずにはいられない──という一節はおおむね共通している。
【過去の書】
その本には、その本を手に取った者の過去が綴られているという。今この瞬間まで忘れていたごくささやかな思い出から、誰にも話した記憶のない重大な秘密まで鮮明に。ページを繰るうちに内容は過去から現在へ、現在から未来へといつの間にか変化しているという噂もあれば、今ここで本をめくっている瞬間を越えれば白紙が続くばかりだという噂も、現在より未来のページはどうしたって読むことができないのだという噂もある。
ハオシュ 【未来の書】っぽいものは所蔵がないとも言えないけど
……そもそも現代までの魔法体系で完全な未来予知が確立してないですし、あくまで「ぽい」ですね。
ハーディ 不幸ばっかり予測するタイプが数冊だっけ。可能性を列挙するタイプはさすがになかったか。
ガルシア そもそも未来視を魔法道具で叶えようとしたら、魔導書より鏡を使った方が効率的だしね。正しい意味での【未来の書】っていうのは世界的に見ても例が少ないよ。あっても精度が低かったり、あとはあくまで術者の補助に留まってそれそのものは魔法道具じゃあないとかね。おっと、油断するとすぐいっぱい喋っちゃうな。じゃあ【過去の書】の方はミーミアネットくんに。
ミーミアネット おっと、ご指名ありがたく頂戴いたします。【過去の書】は仕組み自体は難しくないからね、うちにも何冊か所蔵がある。どれも幻惑魔法の一種を宿した魔導書ってところかな。ページを開いた読者の、特定の感情に結びついた記憶を呼び起こす術式が組まれていることが多い。
ハーディ だから実際は文字で綴られていくわけじゃないってタイプが多いんだけど、あれ、文字が浮かんでくるタイプも一冊くらいありませんでしたっけ。
ミーミアネット あるある。貴重資料室は静かすぎて退屈だって騒ぐメンツの一冊だ。でもすっごくレアだからあの一冊きりだね。なんたって文字が自分たちで動いて組み変わるからね。自動筆記の使いきり、読みきりパターンだったらもうちょっとあったけど。
AAA 同じ七不思議でもいろんなパターンの実現方法というか、それを実現させる魔導書があるんですね。
◆図書館の七不思議は魔導書のみにあらず
BBB ここまで魔導書のお話がメインでしたが、【書架の迷宮】や【無限書架】はどうでしょう。これもあり得ますか?
【書架の迷宮】
通いなれたはずの図書館で見知らぬ風景に出くわすことがあるという。存在しない第八閲覧室、見覚えのないデザインの書架、そこに並ぶ読めない背表紙たち。気づけば周囲に生き物の気配はなく、貸出カウンターを目指してもたどり着けない。扉を潜っても知らない資料室に出るばかりで図書館の外には出られない。ぐるぐるぐるぐる彷徨って、けれど永遠に閉じ込められるわけではないともいう。“それ”が飽きたら自然と外に出されるとか、存在ごと取り込まれてしまうから閉じ込められた噂すら残らないとか、そんな噂。
【無限書架】
【書架の迷宮】の派生とも言える七不思議。図書館でふと気がつくと、あたり一面が書架で埋まっていることがあるという。進めど進めど背の高い書架が続くばかり。それら書架にはあらゆる地域のあらゆる年代から集められた、古今東西すべての書物が収まっているという噂もあれば、どの本も中身を読むことはできず、どんな本が収まっているかはまったくわからないという噂もある。
ハオシュ 年度初めは迷子が増えるなあということを思い出しました
……館内のサインや地図はわかりやすくなるようこれまで何度も改良してきたと聞いていますし、自分も気にしてはいるんですが
……
ハーディ あっはは。ウチの図書館やたら広いもんね。オレも学生の頃は結構迷ったな。書架で視界が遮られるし、窓から遠い場所だったりするとなおさら圧迫感あるしさ。ただの迷子でも本人視点で見たら【書架の迷宮】って感じになるかも。
ミーミアネット 長年使われて妖精化した書架が自分で動くこともあり得るだろうけど、それだと迷宮とまでは言えないかな。さらに異空間にってなると、本を媒介に強制転移させられたって筋の方がまだありそうだ。本のなかにはもう一つの世界、表紙を開くことは世界の扉を開けることにつながるからね。
ハオシュ もしも館内で迷子になったら、図書館ウェブサイトにフロアマップが掲載されているので参考にしてください。それでも解決しなかったら図書館までお電話を。通常、館内での通話は禁止ですが、迷子は非常事態のうちなので。
ハーディ 【無限書架】はあったら欲しいよな~! 数年前に建て増ししたのにもう閉架のスペースやばいんだからさ!
ハオシュ ああ
……僕も否定はしません。開架も見ていて安心はできないので
……でも、噂を読む限りこの書架ってたぶん中身があっての無限ですよね? 空の書架が無限に続くのもそれはそれで怖いですけど。
ハーディ あっそっか。ちぇっ、排架スペースが増えてくんだったらこんな便利なことないって思ったのに。
ミーミアネット これも魔法で実現できなくはないけど、なかなか大がかりだからね。建物に仕掛けがないなら対象を魔導書に取り込んで幻覚を見せるって流れの方が手っ取り早い。似た七不思議だと【ここにあってどこにもない書架群】のほうが現実的かな。
【ここにあってどこにもない書架群】
その書架群はどこにもあってどこにもない。ふと気づけばあなたは林立する書架のなかに立っている。そこに収められているのはあなたがこれまでに読んできた本ばかり。
……本当に? こんなにたくさんの本を読んだっけ? もしそう感じたのなら、見覚えのない背表紙にご注意を。読めない文字の背表紙に、これは読んでいない、読めるはずがないと気づいてなお無理やり読もうとすれば、発狂してしまうという噂だから。それから、その書架の本はすべて持出厳禁。たとえ同行者の記憶から出てきた本に興味を引かれても、それがどれだけ貴重な一冊であっても、この書架群の外に持ち出すことはどうしたってできません。
ハオシュ この七不思議、図書館の自由に対する侵害がひどいなというのが気になってしまって
……すみません、そこが本題じゃないことはわかっているんですけど。
ハーディ あー、確かに! 複数人で取り込まれることがあるんだもんな、図書館出禁だわ!
ミーミアネット 図書館の自由に関する宣言の第3「図書館は利用者の秘密を守る」だね。あらゆる人の知る自由を守るために、図書館は利用者の貸出履歴やその他の利用に関する情報を秘密にしなければならない。お互い同意のうえで取り込まれるなら面白そうだけどね。人の読書遍歴って気になるし、本棚見せ合うのが手っ取り早いってときも確かにあるし。でも無断でってなると図書館職員としてはアウトだなぁ。
ハーディ 図書館の七不思議って、魔導書中心っていうか、本がどうこうっていうのが多いと思ってたんだけど、結構そうじゃないのもあるんだね。今のもだしこのへんとかもさ。サービス部門から見てどう?
【永遠に返却されない図書】
その本は確かに図書館の本であり、けれども常にその書架の位置は空いているという。いつまでたっても貸出中、予約をしても届かない。先輩に聞いても、学園のゴーストに聞いても、その本はずっとそうなのだという。そして、その本を借りている誰かの話を誰も知らない。
【本を探していると案内してくれる声/手】
「その本ならもう一つ奥の棚にあるよ」
「ほらほらよく見て、足元足元!」
図書館で本を探していると、そんな風に声をかけられることがあるという。あるいは探している本をひょいと虚空から手渡されることがあるという。決まって本が見つからない時に現れるその声と手は、けれど本が見つからない時に必ず現れるというわけではない。これまでの遭遇記録によればおよそ100を超える声がいて手がいるというが、それが誰の声で誰の手なのかは誰も知らない。
【記憶にない貸出履歴】
貸出履歴を確認すると、記憶にない本が混ざっていることがあるという。誰かに勝手に借りられた? だとしたらその誰かとは? 同じ本をもう一度借りると、謎の貸出履歴はさらに増えるという。ただし借りた本について「つまらなかった」などとこぼせば、二度と現れないとか、余計に貸出履歴が増えるとか。
ハオシュ えーっと、【永遠に返却されない図書】は別名を延滞図書と言いまして
……(苦笑) 皆さんは返却期限遵守でお願いします。延長もできますので。ちなみにナイトレイヴンカレッジ図書館の未返却率は、公共図書館の平均に比べてすごく低いみたいなので、【永遠に返却されない図書】の出現率も低いかなと。
ミーミアネット 予約した本がなかなか届かないとか、ここの棚の隙間が全然埋まらないなとか、そういう風に気づくのかな。図書館的には管理してなきゃいけない資料が管理できてないってことだから、異常といえば異常だし、そうならないように頑張ってます。みんなも返却期限の厳守よろしくね。
ハオシュ 【記憶にない貸出履歴】は職員の貸出処理のミスか、利用者の方の記憶違いか
……利用者データを取り違えたうえで貸出処理をするというのは、なかなか考えづらくはありますが。
ミーミアネット BBBくんに質問なんだけど、【記憶にない貸出履歴】がいつからある七不思議かわかる? もし図書館の貸出や返却がデジタル化される前だったら、ちょっと趣が違うかもって思うんだけど。
BBB おおよそ学園創立初期からあるみたいです。長らく定番の一つだったんですが、40年ほど前から下火になっていったようで
……これがデジタル化の影響ですか?
ミーミアネット 図書館業務がデジタル化されたのがそのもう少し前だから可能性は高いと思うな。それまで学園図書館で本の貸出って言えば、利用者ごとに自分の貸出カードに借りる本のタイトルなんかを記入する方式で、そこに自分の記憶にない本が見覚えのない筆跡で書かれてたらだいぶ不思議だし不気味だよね。もちろん他人が勝手に使ったっていう説は今と同じく否定できないけど、今のデジタルな貸出方式より不思議の感覚は強かったんじゃないかな。
ハーディ へえ! 確かにデータ上で見覚えのないタイトルがあっても、読まずに返したから覚えてないだけかなってなりそうだけど、貸出カードに他人の筆跡が残ってたら結構怖いですよね。
ミーミアネット 反対に【本を探していると案内してくれる声/手】はかなり親切で図書館職員もにっこりだね。たまに嘘を教える子もいるみたいだけど、まあその程度はお茶目ないたずらの範囲でしょ。この学園の図書館なんだし。
AAA えっ、本当にいるんですか!?
ハーディ あれ、会ったことない? まあ気まぐれだしね。気になったらぜひ図書館に!
ハオシュ 君たちの「不思議」に当てはまるかは微妙ですけど
……でも、いますよ。
BBB あのぜひ具体的に
……でも不思議は不思議のままの方が
……悩ましい
……
ミーミアネット ふふふ。そんなに思ってもらって彼らもきっと喜んでるだろうな。
◆生徒の知らない七不思議もある
BBB これだけは絶対に聞こうと思っていたんですけど、事前にお渡しした資料のなかにない、職員さんたちだけが知ってる七不思議ってありますか?
ハーディ おっ、それはオレも聞きたい。先輩たち何かあるんじゃないですか?
ミーミアネット ちゃっかり聞く側に回ったね(笑) うーんそうだな。職員しか入れない閉架書庫のうち、第二書庫で作業するときは特に気をつけろ、とかかな。あんまり具体的な話じゃあないんだけどね。
BBB 何かが起こるっていう話はないんですか?
ミーミアネット 連れていかれるとか食べられるとか
……書庫に置いてる魔導書のいたずらに巻き込まれないようにってことなんだけど、なぜか他の書庫に比べて第二でヒヤリハットが多いっていうのは代々言い継がれているみたいで。ああでも安全管理はちゃんとしてるからね。適度にいたずらに付き合ってあげたほうが不満が溜まらなくていいんじゃないかとか、職員が気を引き締めるためにあえてそういう噂を作ってるんじゃないかとか、そんなところ。
AAA ガルシア先生はどうですか? 図書館にお勤めだった時代もあるとのことですが。
ガルシア そうだねえ、職員視点ならではってとこだと、【未来/過去/異世界からの返却資料】っていうのがある。それぞれ昔に本当にあったって噂でね、ただもう当時を知っている職員はさすがにいないみたいだから噂でしかないんだけど。
【未来/過去/異世界からの返却資料】
その本は未来から、過去から、異世界からナイトレイヴンカレッジの図書館へ返却された。ブックポストに入っていたこともあれば、貸出状態のまま書架から見つかったこともある。はたまたカウンターに置かれていたことも。いずれも共通していたのは、今この時代に適切な貸出履歴がなく、また場合によっては蔵書登録そのものが見当たらなかったということ。どうやって返却されたかのかもわからない、本来この図書館で受け取るべきではなかった資料たち。けれど、どういうわけであれ君たちがここに帰ってきたのなら、まずはいっときの休息を。
BBB どうして過去や未来や異世界からの返却資料だとわかったんですか?
ガルシア 一冊しかないはずなのに二冊めが出てきたとか、資料バーコードや背ラベルのデザインがちょっと違うとか、そもそも奥付の発行年が未来だったとか、そういうのの積み重ねから判断したみたい。目録っていう図書館資料の総カタログみたいなものがあるんだけど、そこの登録データと現物で食い違いがあるとかね。まあ過去だろうと未来だろうと異世界だろうと、同じ図書館なのかもしれないけど。あとはね、【イマジネーションを食べる本】っていうのが私のお気に入り。
【イマジネーションを食べる本】
その本はページを開いたもののイマジネーションを食べるという。そうして内容をより豊かにしていくという。好奇心旺盛で貪欲。いろんなイマジネーションをたくさん食べてすくすく育ちたがる。ちなみに、イマジネーションを食べられてもほんの少しなら問題ない。味見程度なら許してやろう。けれど、もしも持っているイマジネーションの大半を食べられてしまったのなら、その人はもう二度と空想の世界に遊ぶことも、魔法を使うこともできなくなるだろう。イマジネーションとはあらゆる精神活動の源なのだから。
ハーディ あの、結構怖くないですか
……?
ガルシア そう? イマジネーションを食べたくなるってわかる気がするし、本が物語の入れ物ってだけじゃなくて自分でそれを欲しがるのが可愛いくて好きなんだけどな。イマジネーションだって普段はちょっと齧るだけなんだしさ。どういう味がするのかな~。
AAA あはは。確かに食べるなら味わってるはずですよね。美味しかったらうっかりたくさん食べちゃったりして。
ハーディ それが怖いと思うんだけどな~!
◆図書館からのお知らせ盛りだくさん
BBB 今日は楽しいお話をたくさん聞かせていただいてありがとうございました! やっぱり本や魔導書や図書館にはロマンがたっぷりだなと再確認しました。予想していなかった不思議破りもあり、新たな不思議も教えていただいて、とても面白かったです。
AAA そんな図書館の安全を日々守ってくださっていることにもあらためて感謝を。さて、「そこ知り」のインタビューでは、お話を聞かせてくださった方から宣伝などをいただいて〆るのがお約束です。図書館の宣伝、利用者への釘刺しなど、お一人ずつ一言でもそれ以上でもいただけますでしょうか。
ハオシュ こちらこそ今日は貴重な機会をありがとうございました。このインタビュー記事の公開に合わせ、図書館では4月30日から5月19日まで《怖い?楽しい?七不思議大集合!》と題して展示を行います。七不思議をテーマにした小説や、社会科学の視点から七不思議を調査した研究書、七不思議作成についての解説書など幅広い資料を用意しました。「そこ知り」ではこれから学園内各施設の七不思議について取りあげていくとのことですので、そのおともにもどうぞ。
ハーディ じゃあ俺からは図書館サービスの宣伝を。読みたいあの本が図書館にない!ってときは、「購入リクエスト」か「取り寄せ」っていう便利サービスがあるのでぜひ活用を! 急いでるときは取り寄せ、何度も繰り返し使いたい本なら購入リクエストがおすすめです。リクエストは無料、取り寄せも賢者の島の図書館にある本なら無料なんで、授業料のもと取るつもりでどんどん注文してほしいな。
ミーミアネット 僕も図書館はどんどん使い倒してほしいね。たとえばうちに限らず図書館にはレファレンスっていう相談サービスがあるんだけど、趣味用のおすすめ本紹介から研究発表用の資料探し・データ探しまで幅広く承ってます。こういう相談も大丈夫かな? って思ったらまずは一度窓口へ。図書館職員の情報探索スキルも図書館の持ち物の一つだからね。僕たちのこともぜひ使い倒してもらえれば。
ガルシア う~ん、みんな優しいなぁ(笑) じゃあ、私からは魔導書に関する釘刺しを一つしとこうね。きっとこの記事を読んでくれている子のなかには、熱心な七不思議ファンや魔導書ファンの子がいるんじゃないかなと思うんだけど、魔導書管理の大原則は「手に負えないものを手元に置かない」だ。たとえば、あんまり背伸びした買い物はしない方が吉だよ。七不思議じゃなくて、どんな重大事故が起こるかわからない。それから、研究熱心な子だと自分で七不思議を再現できる魔導書を作ってみようって思うかもしれないけど、これも要注意。下手に作ったりそれを配ったり売ったりすると魔導書管理法に引っかかるからね。もし魔導書が作りたくなったら、魔導書制作実践を受講するか私の研究室までおいで。みっちり教えてあげるよ。
AAA 図書館の宣伝のはずがガルシア先生の授業の宣伝に(笑) あらためて本日はありがとうございました!
[了]
*記事中の七不思議解説は、七不思議研究会作成の七不思議データベース「77不思議」に掲載されている同名記事を編集したものです。なお【未来/過去/異世界からの返却資料】と【イマジネーションを食べる本】は、本インタビューを元に作成しました。
◆今回の「そこ」
ナイトレイヴンカレッジ図書館
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電話 999-999-9999