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ガラシャ
2024-10-14 16:25:12
3567文字
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もしも、本当の兄弟として育ったら
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もしも、本当の兄弟として育ったら…④ 上
続き…かな。二人の関係はどんどん進んでいきます。
――
10月の蒼天眩しい朝、玄関先で和也は両親を見送っていた。
父と母は自分たちの荷物を手に持ち和也を振り返る。
「じゃあ、和也よろしくね。明日の夕方には帰ってくるから」
「うん、任せといて。ゆっくり楽しんできなよ」
仲睦まじい両親であるが、夜間も二人でそろって家を留守にするのは今までなかった。どちらかが出張だったとしても、どちらかが家にいるという状況を作っていた。
デートだと言って二人で月1回ほどは出かけているが、今回は大学時代の同窓会とのことで随分と前から楽しみにしていた。
「和也、戸締りはしっかりして寝るんだよ。あと、今夜は季節外れの寒さになるらしいから、しっかり着込んで風邪をひかないように。いつもみたいに居眠りも禁止だ。お前は玲二と違って一度風邪を拗らすとなかなか治らないんだから。あと、何かあったら、すぐに帰ってくるから電話するんだよ」
こういったとき、どちらかといえば過保護なのは父の方だ。特に和也に対しては、甘すぎるほど甘い。和也は母似で、玲二は父似だ。父としては、和也は初めての子であり何も分からない状態で妻と二人で子育てをしたことや、愛する妻に瓜二つでどうしても構いたくなるらしい。
今もボストンバックをおいて和也の肩を両手でつかみ、しっかりと言い聞かせている。
「わかってるって。大丈夫だよ、父さん」
父を見上げ、とんとんと二の腕をたたくとようやく父は手を離す。
「気を付けて」
両親に笑顔で手を振ると、両親も手を振り返す。父の愛車が見えなくなるまで見送っていた和也は背伸びをすると家に入る。
和也が朝食の洗い物をしていると玲二が起きてきた。大きなあくびをして起きてきた玲二は、どっかりとダイニングチェアに座る。
「父さんと母さんいっちゃったぞ」
「ん」
「よかったのか、見送りしなくても」
「お前が見送ったんだからいいだろ」
「そんなこと言って、土産なかったらどうすんだよ?」
「別にいらねえ」
何とも素っ気ない。いや、元々家族に対しても塩対応の弟なので、通常通りなのだが。
「和也、メシ」
「はいはい」
トーストを焼き、ハムエッグを作ってやる。サラダを冷蔵庫から取り出す。
「コーヒーは?ブラックでいいのか?」
「ああ」
未だに眠そうな玲二の前に並べる。
「洗濯干してしてくるから食べとけよ」
「ん」
玲二がフォークを持ったのを見て、和也はランドリールームへいく。
『あの寝坊助のことはほっときなさいね。本当にあの子は、休日はずっと寝てるんだから』
寝る子は育つを体現している玲二は、休日はたっぷり寝る上にたまに昼寝もしている。平日さえも、和也が起こすまでは眠っている。
ほっといてもいいと母には言われたが、ついつい弟の世話を焼いてしまっている。幼い頃からの習慣で癖になってしまっているのだろう。
母に頼まれていた洗濯もランドリールームに干し終えて、リビングに戻る。10時半になっていた。
寝そべっている玲二の隣に座る。テレビがゲーム画面となっている。どうやらスイカゲームをしていたようだ。
「もうしないのか?」
「あきた」
と言いながらも、スイカがひとつできている。そこでゲームオーバーになったようだ。
「じゃあ、俺しようっと」
ローテーブルの上にあるコンロトールを取り、和也は操作し始める。スイカになるまえに何度もゲームオーバーになってしまう。
「なかなかスイカにならないんだけど」
「ん、まあコツがあるからな。さくらんぼと林檎とブドウは端」
ソファで寝転がっていた玲二であるが、和也に近寄り膝に頭をのせる。膝枕の状態でアドバイスをし、自分のスマホを操作する。
それも10分ほどすると飽きたようで、ローテーブルの上にスマホを放り投げる。そしてそのまま掌を和也の膝に乗せる。掌で撫ぜるようなしぐさに和也が身じろぐ。ハーフパンツをはいているせいで、直に玲二の熱を感じる。
「もう、くすぐったいって」
玲二の手を退かせようと手首をとるが、振りほどかれる。裾から玲二の手が忍び込んでくる。
「っ
…
」
冷たい指先に和也の体が震える。そのまま右の内股を指先で辿り、つま先で脚の付け根に触れられる。
「
…
な、なあ?玲二っ」
「なんだ?」
やわやわと撫でられる感覚から逃げたくて、玲二に話しかける。このままでは下着にも手を入れてくるのは明白だった。
「ひる
…
!昼どうする?な、なにが食べたい?」
「
――
んなもん、後でいい。つーか、お前を食べたい」
ためらいもなく、すっと下着に忍び込んでくる。
「ひっ、あ
…
」
和也が思わずコントローラーを手放し、立ち上がろうする。しかし次の瞬間、玲二の手首を引かれる。ソファに押し倒され、玲二が伸し掛かってくる。
「玲二
…
!れいじ、だめだって
…
!」
「なんで?昨日もしただろ?」
そういって顔を寄せてくる玲二は和也の唇を奪う。
「んんん
…
」
肩を掴んで押し返そうにも、大柄な弟はびくともしない。こうやって昨日も抱きしめられた。
昨晩、バイトから帰ってきた和也はベッドに押し倒され、濃厚なキスを食らったのだ。
――
キスも、肌に玲二の手が這うのも日常的なことになってしまった。玲二が求めているのは和也だった。怠惰を常とする弟が、本気になる見返りに要求したのは兄自身だったのだ。
一度その行為を許してしまえば、後は雪崩れるようにその行為にならされていく。キスと上半身を弄られるのはもう当たり前になった。
兄弟なのに、してはいけないことをしてしまっている。その後ろめたさはあるが、3か月前に縋り付くように玲二に抱きしめられてから、どうしても拒めないのだ。
和也の留学はいよいよ決定的になった。高校卒業と同時に、日本を旅立ち、海外で生活を送る。同じ家で過ごせるのは2年もないのだ。
和也がそんなことをぼんやり思っていると、さらに深く口づけられる。今までは啄むようにキスを繰り返し、舌先を舐めるだけだったのが、和也の口内の奥まで探ろうとしてくる。
和也は貪られる感覚に頭がぼーっとなる。眦に涙もたまり、胸も喘がせて、和也らしない雰囲気だ。それを見下ろしている玲二は嬉々として、耳朶にかじりつく。
「ひゃあ!」
和也は耳が弱い。息を引きかけるだけで過剰なほど反応する。それがどうにも面白くて、幼い頃から何度も耳を齧っては和也と父母に怒られていた。
甘噛みとはいえ、弱い部分を刺激されてしまい、玲二の体の下で体が跳ねる。
玲二はそのまま耳を舐める。孔に舌先をねじ込むと、髪を振って嫌がっている。
「いっ、ああ
…
!んっ、だめ
…
やっ」
玲二の掌がハーフパンツ越しに和也の尻の間を探られる。浮かせた腰に腕が回り、下半身を押し付けられる。
「ひっ」
密着した下半身に硬いものがあたり、和也は悲鳴を上げる。自分の片割れである弟に好きなように嬲られてしまい、情けないやら、恥ずかしいやら
…
信頼を裏切られたような苦しさで、和也の感情は乱れていた。鼓動の速さは玲二も感じているのだろう。合わさった胸から、どくどくと同じように玲二の鼓動も聞こえる。
――
ピンポーン
その時、インターフォンが鳴り響く。
「れいじ
…
!玲二!誰か、きたっ」
訳の分からない感情でごちゃ混ぜになっていた和也は必死に訴える。
「ほっとけ」
「だめだって!どけよ!」
何時にない和也の怒鳴り声に玲二に隙ができる。和也はその先を逃がさず、玲二の腕からすり抜ける。
立ち上がると慌てて身なりを整え、ぱたぱたと玄関までかけていく。
「ちっ」
玲二は前髪をかき上げる。その様は、とても中学生とは思えぬ気迫が漂っている。
――
和也への欲望がいつ芽生えたかなんて、覚えていない。和也は常に隣にいて、玲二にとっては唯一無二の存在だった。
自分と他人しかいない世界の中で、たった一人だけ、色が纏わりついてるのは和也だ。
誰よりも鮮やかで、誰よりも暖かな色
…
片割れと言えるほどの存在なのに、誰よりも眩しい。
幼い頃からずっと和也だけだ。和也しかみえない。
愛とか恋とかそんな単純な感情ではない。そんな軽い感情で、和也を見ていない。もっと濃くて、もっと醜い
…
玲二の胸に常に渦巻いている和也への感情。
その和也が、留学を理由に、自分から離れようとしている。そのうわさが聞こえ始めたのは随分と前で、和也に直接伝えられていないことに玲二はいら立ちを隠せなかった。
それからは毎日、どうやったら和也と離れないでいられるか、そればかり考えている。
「絶対、離さねえ。和也は俺のものだ」
和也の全ては玲二のものだった。
∞∞∞∞∞
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