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カッパ巻き大車輪
2024-10-14 03:16:48
1020文字
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小説
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スネ6♀の小説
好きな人からする良い匂いの話。生物としての本能が求めている…って良いよね。
首筋を頻りに擽ぐる吐息に、胸元で自由にさせていた存在の背中を咎める様に軽く叩いてやる。
同じベッドの上、互いに素肌を晒して寄り添う夜のことだった。
人の体に乗り上げる形で寛いでいたレイヴンは、顔を上げると不思議そうに首を傾げた。
「なぁに?」
「それはこちらの台詞です。さっきから何をしてるんですか、貴女は」
「におい、かいでる」
少女から飛び出した言葉に、思わず固まる。
嫌な予測が脳裏を過ぎったが、先程、共にシャワーを浴びたばかりだ。それはない筈だ。
「スネイル、いいにおいがするの」
どこかうっとりとして呟くレイヴンは、まるでマタタビを嗅いだ猫のようだ。
悪い予測が外れた事に安堵しながら、再び首元に鼻を寄せようとする少女の顎先を捉える。
その指先にすら戯れつき、喉を鳴らしかねない程ご機嫌な様子のレイヴンについ流されそうになるが、意識して眉根を寄せ立て直す。
「やめなさい。全く、躾のなっていない」
「これ、なんのにおい?」
「シャワーの後です、シャンプーかボディソープでしょう」
「でも、それだと私も同じなのに
…
」
スネイルからしかしないよ。お仕事中の、香水ともちがうよ。
「とっても、いいにおいなの
……
好き」
そう言って胸元に頬を寄せたレイヴンは、安心しきった表情で瞼を伏せた。
さらりと肌に散る、少女の白い髪を掬い上げる。
良質なシャンプーで洗い上げ、念入りにトリートメントしてやった事でいつも以上にサラサラなそれを撫でてやりながら、いつか目にした、ある研究結果についてを思い出した。
曰く、人は遺伝子レベルで相性の良い相手の匂いを好ましいと感じる、という物だ。
病や感染症に強い次世代を残す為、免疫に関わる遺伝子に於いて、自分には無い配列を持つ相手を本能的に嗅ぎ分けている、と。
そこまで考えたところで、もう一度レイヴンの顔を上げさせる。
「んー
…
?」
既に半分夢の中らしい少女は、こちらの見つめる視線に気付くと、ふにゃりと微笑んだ。
「
……
いいえ、何でもありません」
そう言って胸元に抱き寄せてやると、抵抗も無くあっという間にレイヴンは眠ってしまった。
規則的な呼吸音を聞きながら、ため息をついて天井を眺める。
確かに鼻の効く猟犬ではあるが、そんな小難しい事を理解しているとは到底思えない。本能だとしても。
眠りに落ちた小さな体を抱きしめ直し、目を閉じる。
穏やかな眠りへと誘う、心地良い香りがした。
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