川崎市市政100周年記念
第16回 狂言全集
川崎能楽堂
2024年10月12日(土) 14:00開演
狂言「鼻取相撲」
大名:山本凜太郎
太郎冠者:山本則孝
通りの者:山本則重
狂言「しびり」
太郎冠者:山本則匡(子方)
主:山本則秀
狂言「福の神」
福の神:山本東次郎
参詣人甲:若松隆
参詣人乙:山本修三郎
狂言のお話 山本東次郎
*・*・*
148席しかない、小さな能楽堂。
とは言っても、通常の能楽堂と違って舞台の上に屋根がないので、あまり能楽堂感は無いかも。
チケットは割と直ぐに完売した模様。
昨年も行きましたが人気の公演です。
狂言「鼻取相撲」
初見。相撲を題材にした大名狂言は色々あるが、太郎冠者が大名の命で新参者を探しに行く前半のくだりはそれらと共通。相撲の場面も、個人的には「蚊相撲」と「文相撲」をミックスしたような印象を受けました。途中の新参者を大名が目線だけで動かす場面は「今参」を思い出したが、とにかく見覚えのある色んな場面がてんこ盛りでした(笑)
後半、大名と新参者が相撲を取るのだが、1戦目は新参者がタイトルにもある鼻取り相撲(高速の張り手で鼻を狙う😂)戦法で攻め、大名は気を失ってしまう。そこで大名は鼻を守るために紐のついた土器(素焼きしたもの)をマスクのように鼻に付け(笑)鼻ガードした状態で再び勝負を挑むと、鼻取り相撲を封じられた新参者は敗北してしまう。しかし、新参者もなかなかの負けず嫌いのか、再度勝負を挑み、大名を投げ捨て逃げていく。
まさか負かされるとは思っていなかった大名は、役に立たなかった鼻ガードを取り外して地面に投げ捨てるのだが、土器なので本当に粉々に割れるという演出付きで、ちょっと驚き😱💦
ちなみに終演後に後見がお片付けしてました😅
最後は他の相撲狂言と同様、太郎冠者に八つ当たりして終了です。ふと時計を見たら45分も演ってたので、なかなかの大作😂
狂言「しびり」
太郎冠者が仮病を使って主人のお使いをサボろうとする話。以前、野村万作家でも観ましたが、その時は萬斎さんの姪っ子なつ葉ちゃんが太郎冠者を演ってたので、子方が演ることが多い演目なんですね。
今回は則秀さんと則匡くんの親子共演。平成29年生まれってことは、今7歳かな。子ども用の装束も足袋も少し緩さが残ってるくらい細身の小柄で可愛かった🥹✨
ずっと台詞は棒なのに、しびりの返事の「ほいっ♪」だけはめちゃくちゃ可愛くてめっちゃ笑いました🤣
狂言「福の神」
今年は、千五郎さん、万作さん、萬斎さんの「福の神」を観てきたので、そこに更に東次郎先生が加わって、めっちゃ福々な年になった気がしますよ、えぇ。
てか、東次郎先生も面要らないなってくらい、存在そのものが福の神っぽいです、えぇ。
狂言のお話
上演後に解説するのが山本家のスタイル。
東次郎先生が台詞を丁寧に訳しながら解説してくれるので、これはこれで答え合わせみたいで楽しい。
・最初の「鼻取相撲」について
大蔵流では大名が「遠国に隠れもない大名です」と名乗るのだが、語尾が「です」なので、ちょっと現代語っぽく聴こえるが、これは「にて候ふ」が「で候ふ」「でさう」と徐々に省略されていったものであり、現代語の「です」とは意味が異なる。
丁寧な意味合いになるので、名乗りの語尾が「です」になるのは、大名、山伏、鬼くらいなんだとか。
鼻ガード(土器)を割る演出があるが、その割れた土器を後見が片付けるところも型で見せるやり方もあるんだとか。
その土器は小皿くらいの大きさなので「東次郎家に昔からあるものなんですが、本来は何に使うものなんですかね?お酒飲む時に使うものだったのかな?若手の頃は、これにキリで(紐を通す為の)穴を空けるのも仕事の内だったのですが、鼻取相撲で使うから作っとけって言われてね、今では最初から穴を開けたものを作ってもらってます」🤣
・狂言「しびり」について
子方を演じた子は、東次郎先生からみて弟さんのお孫さんにあたるので、自分は大伯父になるのかな、と。しかもご自身の経験と重ね合わせて「あの年齢で狂言やらされて可哀想ですよ」とも😂
東次郎先生は4歳でお稽古を初めて、5歳の時に「しびり」でデビューしたそうで、やはり狂言が好きではなかったと。高校生になると周りは進路について目を輝かせて語ってるのに、自分の将来は
…狂言
…嫌だな、と。
そこで父親に、弟たちが狂言好きだと言ってるので、狂言は弟たちに任せて自分は辞めたいと伝えたところ、『俺は先祖が代々守ってきたものをお前に教えてる。だから、俺の一存では決められないから、ご先祖様達に聞いてこい』と言われたので、先祖の墓へ行き、日が暮れるまで墓を見つめていたそうです。
そして、墓に刻まれている、狂言を守ってきた先祖代々の名前を見ている内に、自分一人だけこんなワガママ言っちゃいけないなと感じ、戻って父にやっぱり続けますと伝えたら、父はしてやったりな顔をしていたそうです😂
東次郎先生にも、そんな悩む時代があったんですね(しみじみ)
・狂言「福の神」
今回は東次郎先生お気に入りの面を使ったそうで、しかもそれは450年もので、他のお家のものと比べてもコレが一番だ!といえる代物。その面を写したもの(レプリカ)も見せてくれて比較したところ、色合いだけは作り手の性格が出るようで、似てるけど全く同じではないところが興味深かったです。
以前、とある賞を受賞した時に、その該当作品を一ヶ月展示しなくてはならなくて、伝統工芸とかなら作品が実在してるので出せるけど、能楽の場合、無形なのでどうしようかと思っていたら、アイで使ってる面を展示しなさいと言われたそう。しかもガラスケースも何も無いところに裸で展示するとのこと。
それでは流石に450年ものの面は出せない!ということで、その時はレプリカの方を出したんだけど、その時に当時の天皇陛下がお見えになって、狂言面なんぞスルーするだろうと思ってたら、まじまじとじっくりご覧になり「この面は、どれくらい昔に作られたものなのですか?」と質問され、しまった〜!と思ったそう😂
だけど嘘をついてはいけない!と思った東次郎先生は「これのオリジナルは450年くらい経ってるんですけど、こちらは写したものなので50年くらいしか経ってません!」と正直に答えたそうです😂
面も50年では、まだまだ若手の部類なんだなァ🤔
この後、質疑応答を行い、恒例の小舞へ。
「福の神」で、ちょっと舞ったから、演らなくてもいいでしょ?と言ったら、いや、舞ってくださいと言われたので演りますと😂
トーク中は、温和で茶目っ気のあるおじいちゃんって感じなのに、小舞になるとビシッとするから、やはり凄いなァと思いました👏👏👏✨
昨年「第15回 狂言全集」の感想⬇️
https://privatter.net/p/10486183
過去の観劇日記はコチラから⬇️
https://privatter.me/user/mijuppa
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