ぽふむん
2024-10-11 23:47:10
2020文字
Public しの童
 

赤い靴の少女

#童しの版深夜の真剣物書き60分一本勝負

「悲願」「彼岸花」「童謡」「内緒話」

一応柱ifでイチャコラしてます
時間軸ちょっとズレています。

原作大正元年~五年までの話だそうですが、赤い靴の歌が発表されたのは大正11年

背伸びしてヒール履いてズッコケるしのぶちゃんが書きたかっただけですw

ふんふんふーん🎶

鼻歌交じりに軽やかにステップを踏むしのぶの足取りは軽い。
上質な仕立てのワンピースに、かかとの高い赤い靴。
口にこそ出さないが、童磨の身長に少しでも釣り合う為のささやかな努力。
赤い靴が、川沿いの土手に咲きほこる彼岸花と対を成すように踊っている。

しのぶは小柄な体で、舞うように歩く。
陽気なステップを踏む。
「ほらほら、しのぶちゃん転ぶから」

呆れたような、それでいて微笑ましいと思ってるように童磨が声をかけた。
「あらぁ❤私そんなお子……しゃみ゙ゃ゙ぁ゙あ゙あ」
お子様では無い、と言おうとしたそばから、案の定。
転んで尻もちをつきそうになり、濁点付きの決してかわいくない珍妙な悲鳴をあげる。おしりに衝撃が来ることはなく、童磨の胸の中に居た。
童磨に抱き止められ阻止されたのだ。
「このおてんば娘。そんなかかとの靴を履いてはしゃぐものでは無い よ。あははは」
決してかわいい悲鳴では無かったのに、童磨にとってはかわいくて仕方ないようで、朗らかに大笑いしている。
「い……今のはたまた~……ありがとうございます」
反論したいが、子供じゃないと言おうとして子供じみた醜態をさらけだし助けてもらった事実は事実。
しのぶはほんのり頬を染め、唇を尖らせ礼を言う。

童磨は声を立て朗らかに笑っている。
「もう!これで少しは身長の釣り合いが取れたと思ってたんですよ?」
ぷうぅと、フグのように頬が膨らんでいくから、尚更童磨は笑う。

「えー、どこがぁ?ちっちゃくてかわいいねぇ」

「こらぁー」
「ははは、ごめんごめん。これで薬学に精通した女傑だとは思えない」
腰を抱いたまま頭を撫でるものだから、しのぶはさらにむくれる。
むくれながら、豊かな大胸筋に顔を埋めた。
「嫌ですか?」
さっきまで怒っていたのに、急に不安そうに。
しのぶは手に職のある、どうとでもつぶしの聞く女だ。
そういう女を嫌う男もいることくらい知っている。
童磨はそういう類の男では無いことも知っているが、あえて聞いてみる。
「ん?いーや。むしろ、病みつきだ……よいしょ」

掛け声は豪快だが、実に軽々と童磨はしのぶを抱き上げた。

「街中ですよ」
「何を今更。足くじいたんじゃない?」
「~/////……実は……ありがとう」
「素直でよろしい。ははは。屋敷に帰ったらきちんと手当しなきゃね」

二人は、人通りの多い街中にも関わらずイチャイチャ。
この時代、人前でイチャつくのは好まれない。女の洋装もまだ珍しく好まれない。
が、そんなこと二人には関係ない。
特に今日は。
しのぶが上機嫌なのは、他でもない。
ようやく念願
悲願の婚約が成立したからに他ならない。
結婚と言うのは、家と家のつながり。
本人同士が良ければいいものでは無いから……


土手が赤い彼岸花で染っている。
(白無垢での花嫁行列……映えるでしょうね。その時には、盛りはすぎてるでしょうが)

しのぶは童磨の肩に甘えるように頭を預けた……その時

アカイクツハイテタオンナノコ
イジンサンニツレラレテイッチャッタ

どこかからはやり歌が聞こえた。
ニヤニヤこちらを見てる男がいる。
仲のいいカップルを妬み、茶化し冷かす目的の歌。

童磨の容貌を揶揄している。

童磨が、差別される見目だということは、嫌と言うほど見聞きしてきた。
後の世はどうだか知らないが……

美男子だが、この時代の型にハマった美男子では無い。
いわゆる間の子か、外国人だから。


(うるさいな。お前誰だよ。外野は黙ってろ)
睨みつけてから、しのぶは童磨の顔を見つめた。
アルカイックスマイルが浮かんでいる。

(馬鹿だなぁ)
そう思ってるに決まってる。
この笑顔は、物心もつかないような幼い時から差別に触れ、身につけた処世術。
他人からの感情を諦めて生きてきた男。

元は捨て子も同然だったという。
大寺院に体良く預けられた、異国の娘との火遊びの結果授かった、実親からしたら疚しい生まれの子。
運よく寺院の後継として育てられただけ。
信者からしたら、上手くおだてて祀りあげながら、見下す対象が欲しくて飾られている神輿。

多少まともに育ったのは、補佐官に恵まれたから。
久しぶりに見た、アルカイックスマイル。
この不自然な笑顔は好きじゃない。
しのぶは童磨の頬をつねりながら囁いた。
「どぉま。早く帰ろ……(やらせろ)」
耳打ちされた言葉に、童磨は吹き出した。

「ぷっ……ははは……ははははは。了解(ド助平)」

「ダメですか?(こういう時はやってイクのが一番です。それにこんなこと、あなただからですよ)」
「ははは……ううん、良いよ(別にあんなのほっとけばいいのに……しのぶちゃんのそういうとこ好きだよ)」
「(嘘つき、またあの笑顔が出てました……縛りましょうね)」

「(はぁい、ドスケベ女王様❤)」