楓花
2024-10-11 21:36:24
Public GD/真矢うさ 小説
 

夏のおわり

暑さが落ち着いて涼しくなってきたので、ようやく外でいちゃいちゃできますね、という妄想です
タイッツーで投稿したものから少し修正しました



「まーひーろーさんっ」

外に出て幾ばくもなく、突然やってきた真矢に後ろから抱きつかれた。
毎度思うけど、なんで俺の居場所がわかるんだろう。
いつもどこからともなく現れて、ベタベタとひっついてくる。
とはいえ、さすがに今年の夏の暑さには耐えられず、こうして外で抱きつかれるのも久々だった。

「もうすっかり涼しくなってきたね」
「ほんと、やっとだよなー」

今年の夏の暑さは特に異常だった。おまけに、いつまでも暑いままで。
10月に入って、ようやく過ごしやすい気温になってきてホッとする。
「ずっとこれくらいの気温だったらいいのに」としみじみ言えば、真矢は抱きしめる腕はそのままに不思議そうに顔を覗き込んできた。

……外でくっつくなって言わないの?」
「えっ?」
「いつもなら、冬でも外でベタベタするなって」
「べっ、別に暑苦しくなかったからっ。もういい加減、離れろ!」

確かに、言われてみればここ外だ。全然意識してなかった。
とはいえ今更ながら慌てたところで、当然真矢が離してくれるはずもなく。

「もしかして、しばらく外で抱きつくの控えてたの寂しかった?」

真矢は上機嫌な様子で、俺の耳元へ唇を寄せて囁いた。

「ばっ、そんなわけねーだろ!」
「これからは、遠慮なく目一杯くっつくからね」
「だから違うってー」

とはいえ、実はほんの少しだけ図星だったりもして。
あれだけ外でくっつくなって言い含めていたし、空調の効いた部屋では変わらない距離感で過ごしていたというのに。

すっかり慣らされてしまった。離れた距離が不自然に思うほど。
その事実がどうにも悔しくて、むぅと顔を顰めながら真矢を見る。

「万尋さん、そんな可愛い顔で見られたらキスしたくなっちゃうよ」

そんな俺に、真矢は真顔でとんでもないことを言い出して。

「調子に乗んなっ」

俺は咄嗟に肘を軽く後ろに引いて、真矢の脇腹に一発食らわせた。