特に依頼が入っていない日は、ラウンジに行くか資料室に転がり込む。
無言で出ていけ。という圧をかけてきた頃が懐かしいと思えるほど、羅浮での一件を乗り越えた丹恒は俺に甘い。
「飲み物食べ物は、そこのテーブル以外では摂るな。それ以外なら好きにしていい」
「はーい」
「
……この作業が終わったら、膝枕でも何でもしてやる」
じっと見つめていると、そんな言葉が。
「わーい!」
両手を挙げて、全身で喜びを表現していると、本当に分かっているのか? という訝しげな視線を向けられ。
「大人しくしてるから、安心して」
「いまいち信用できない」
「ひどっ」
だけど、ため息をついた後、優しく俺を見つめ。
ああ。
そんな事されたら、もっと好きになっちゃうじゃん。
丹恒が好き。まあ、一応両思いみたいなものではある。恋人ともいう。
手を繋ぐ
――ただし、指先を触れさせる
――だけで、嬉しそうで満足そうな表情を見たら、そこから先に進んでみよう! なんて言えるわけもなく。
それでも、丹恒の傍にいたいからこうして資料室にやって来ては彼の作業を見つつゲームを進める。
ラウンジにいるときは、彼は読書。俺は、やはりゲーム。その時は、膝枕してくれたり肩を貸してくれたり。
手を繋ぐだけで満足そうにするのに、膝枕とかの接触は特になんとも思ってなさそうなのがなぁ。
なの曰く、
『もう、それってただのラブラブバカップルのすることじゃん。丹恒ってば無自覚?』
だそうで。無自覚だよ。と答えたら、呆れた視線を向けられた。
キスすらしたことないのは、誰にも秘密。
姫子とヴェルトは気づいてそうだけど。
「今日はここまでだな」
そう呟いて、肩と首を回し。それから、大きく伸びをすると優しい笑みをこちらへと向け。
「好き」
「お前はまた
……」
思わず呟いてしゃがむと、呆れた声がかけられる。
「だって。丹恒には、ちゃんと好きだって言葉で伝えないと伝わらないじゃん」
ゆっくり立ち上がって、丹恒の布団の端に腰を下ろす。と、彼も隣に座って。
「ほら」
靴を脱ぎ、横座りに膝を折って太腿を叩く。
「お邪魔します」
頭を下げ、靴を脱いでからそこに頭を乗せて。
「俺の太腿に頭を乗せても楽しくないだろうに」
「丹恒の太腿だから、価値があるんだよ」
硬いと言えば硬いが、力の入っていない内ももは柔らかくてそこに顔を挟んで深呼吸したい。
なんて言ったら、二度としてもらえなくなるだろうから余計な事は言わない。お口チャックってやつ。
ああ。幸せだ。
If you make a mistake, you can cancel it by pressing the reaction.