ぽふむん
2024-10-05 22:53:22
1168文字
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赤い白秋

#童しの版深夜の真剣物書き60分一本勝負

「彼岸花」をお借りしてます。
しのぶ鬼化if

北原白秋の彼岸花の詩をイメージしてますので、微妙に「童謡」もです。
なんか直接的な表現は無いのにざわざわする詩だなぁって思ったら、そう言う詩だと言う説もあるそうです

堕胎の表現があります

土饅頭の上に小さな石が置かれている。
無縁仏のものだ。
名も掘られず、申し訳程度の供養のお墓。

供養して貰えただけマシ……と言えるのかもしれない。
こんなことをしても貰えないものもいるかもしれないのだから。

田んぼが広がる。
害獣にやられぬようにか、赤い彼岸花が植えられている。
その花を、一人の少女が泣きながら手折っている。
この先には吉原と呼ばれる遊郭がある。
つまりは、その遊里に住まう禿かむろ

もうそろそろ、床上げとなる年頃か。
彼岸花を手折る

その花には毒がある。
堕胎の薬にもなるという。
母体にも害があるはずだが……何か秘伝があるのかもしれない。
薬に頼らずとも。お堀の水に腰までつかり、子袋の収縮で堕胎することもあるという。
お堀の水が赤く染まる。
この彼岸花の群れのように。
禿の頬に涙の川。

堕胎が良いこととは思えないのだろう。
でも、そうせねば生きてはゆけぬ。
堕胎も子捨てもいいことでは無い。
だからそれを取り締まる法も定められた。
でも
こんなもの決めたのは、なんにも知らない、恵まれた者。
何故そうせねばならぬか知らず、ただ無知蒙昧の民と憐れんで

そうしないで済む方法を整えないまま
法を作る

恵まれたものの傲慢さ。
結局何らかの抜け道をみつけ秘密裏に行われている。
「お嬢さん。何を泣いているんだい」
男の声がした。
ビロードの漆黒のマントが赤に映える。
そばに居た、足抜け予防の見張りの若い衆が怒鳴った。
だが「おい」と怒鳴ったつぎの時はない。
禿と見張りは血を吹いて倒れた。
「二人で足抜けしたと見られておーしーまい」

そうつぶやくと、男《童磨》は少女の遺骸に齧り付いた。
揺らりともうひとつの人影に声をかけた 。

「そっちの男……食べるかい」
からかっているだけ。
この少女の顎では噛みきれない。
持ち帰りすり潰す予定。
少女もそんなことはわかっている。
わかっているが意地の悪い戯れと、唇を尖らせた。
「あなたが柔らかくして、食べさせてくれるんじゃないんですか?私幼女ですから上手く食べられなぁい」
少女の答えに童磨はぷっと噴き出し、むせた。
「あら、笑うとは失礼な。私をお抱きになる時『かわいい』と囁くのは嘘なんですか?」

「げほっ……いや、ん……ごほ……うんっ。それは嘘じゃない。じゃなくて、しのぶちゃんがそんな冗談言うだなんて」
「あら、冗談ではありませんよ。噛みきれないのは本当のことですもの。幼女のようなものです。
それとも鳥の雛ですか??ぴよぴよ」
ひよこの真似をしてみせるものだから、童磨はさらに笑ってしまう。

「ははは……こんな心から愉快だと思うのは君が最初だよ……そうだね。持って帰って細かくしてあげなきゃね……あっはっは」
そう言って笑い転げた。