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ろころころ
2024-10-04 18:54:30
2006文字
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ねここさん宅交流 🌐🎹さん
時間は正午。市場も商店街も人で賑わい、辺りには美味しそうな香りが漂っていた。
さて、そんな穏やかな街の一角。
広場のベンチに腰掛けていた男は、背後からの視線を感じていた。まぁ心当たりなど一人しかいないのだが。しかし、聞こえる話し声は決して一人だけのものではなかった。
「ホントに昨日はやばかったんですって!ですから、今日こそは真実を突き止めなければいけないんです。私は、この世界を滅ぼさせたりなんてしませんから」
「そうなのか」
「すっごい興味ないじゃ無いですかクソ!」
(うーん、賑やかだねぇ)
男はベンチに腰を掛け、フルーツ串を齧っていた。色とりどりで種類も豊富な中、シャインマスカットを選んでしまう辺り、彼に影響されているのか、単にどうでも良いからなのか。
どちらであるかは不明である。
「そういえばアルバート、貴方は過去に彼を見た事があるって言ってましたよね?何か感じたことは無かったんですか?」
「その話は
…
その
…
」
「絶対何かあった反応ですよこれ!話しなさい、一つ残らず吐きなさい!」
「ん?尋問か?物騒だな」
「ぶ、物騒だと思うなら助けろよ
…
」
(あー、あの赤い子は)
男は過去の記憶を遡る。まだあの警官と出会って間もない頃。いつも通り街をふらふらと歩いていたとすれ違い、たまたま男の姿を目にしたことで、心の奥底の記憶を蘇らせたのだろう青年。
(スパイくんとは違うものを見たんだろうが)
さて、そろそろちょっかいを掛けてやろうかと考えた男はベンチから腰を上げ、三人が隠れる物陰に顔を出した。
「ご機嫌よう、本日も良いお日柄で」
「ひっ
…
!?」
「き、気づいてたんですか
…
、な、なら話しかけてくれてもよかったじゃないですか
…
!?」
二人は挙動不審にもう一人の青年の後ろに隠れる。
「邪魔するのは悪いと思ってね」
「ぜ、絶対思ってないじゃないですか!ふざけるのはその仮面だけにしてくださ
………
」
サファイアの瞳が、見開かれる。
「なっ!貴方は
…
、シャインマスカットの皮の妖精
…
!?
…………
そうですか、やっぱりそうだったんですね
…
」
「しゃ、シャインマスカットの皮の妖精
…
?」
赤い青年が困惑したような声を上げた。
「うーん。ふりだしに戻ったか」
「表に出なさい。男は拳と拳で、と言うでしょう
…
」
「お友達の後ろに隠れてるのに?」
「な
……
う、うるさいです!うるさいのは羽音だけにしてください!」
「そもそも、シャインマスカットの皮の妖精ってどうやって戦うんだ?」
男は素朴な疑問を抱いた。恐らくこのシャインマスカットへの拘りが無駄に強いスパイ以外は、皆同じ疑問を抱くだろう。
「知りませんけど、どうせあれでしょう?皮を剥いたマスカットの皮が戻るビームとか放つんでしょう?なんて邪悪な
…
!」
「ほう?」
「た、確かに頑張って皮を剥いたのに戻されるのって
…
地味に嫌な嫌がらせだよな
…
」
「そうですよ。加えてシャインマスカットの皮って薄くて剥き辛いんですよ」
「皮ごと食べるもんだしなぁ」
赤い青年は男の顔を見れるようになったらしい。果たして何に見えているんだ
…
まさか、彼に影響されて某妖精に見えているのだろうか?
ところで、と男は続ける。
「さっきからそこで固まってる子は大丈夫か?ずっと俺の顔を見てくるんだけど」
「ああ、ウェンのことは気にしないでください。彼がこうなる時は大体猫を見た時なので。ちなみに
…
いつもの流れだと、この後は猫を棺桶に詰めようとし始めるので
…
その間は大人しいと思いますよ」
「猫かぁ
…
別に俺の後ろに猫はいないんだよなぁ」
その間にも青年はショルダーバッグの要領で背負っていた棺桶を下ろし、蓋をずらして開けていた。
そして男のローブの裾を掴み、ズルズルと引っ張る。勿論、棺桶に向けて。
「うーん、俺を埋葬するのはちょっと早いと思うが」
「ちょ、ちょっとウェン何してるんですか!?それは猫じゃなくてシャインマスカットの皮の妖精ですって!」
「うるさいんだぞ。猫ちゃんは棺桶行きって相場で決まってるんだぞ」
「何その相場」
「ですから違いますって!シャインマスカットの皮はゴミ箱行きですって!」
「邪魔するやつは撲殺するんだぞ」
「ウェン!正気に戻ってください!
…
ってちょっと痛い痛い!
…
あ、貴方!彼に何かしましたね!?
……
くっ
……
シャインマスカットの皮はやっぱり邪道です
…
恐ろしい人類の敵
…
!って痛いですってウェン!棺桶はそこそこの鈍器なんですよ!?
…
つ、次は容赦しませんから!覚えてなさい!バーカ!」
二人は追いかけっこをしながらその場を走り去った。その場には、男と赤い青年だけがポツンと取り残された。
「逃れられた感じ?」
「
…
まぁ、多分
…
?
……
ええと
…
なんかごめん
…
」
赤い青年は、ぼそりと呟いた。
Fin?
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