ろころころ
2024-10-03 13:34:07
3039文字
Public Code:000 本編
 

Code:000 Prolog







人々は、常に"救い"を求めて生きている────




それは、例え"助ける"立場の人間であっても同じだった。


人々は、常に"救い"を求めて生きている。












Code:000 エンジェル・コード


Code:0 Prolog






**************

「ね、ねむい…………

とても眠かった。昨日は早く寝た、しかもそこそこぐっすり寝れた。それなのにこんなにも眠いだなんて、夜の中理不尽だと思う。

「と、トトくんどこ行くんですか!?そっちは窓ですよ!?」

制止の声を聞いて、ふと前を見ると、窓。
しかもここは、4階。落ちれば危ない。結構危ない。

………………………

アルバートは怪訝な瞳で窓を眺めた。傍から見れば窓を目の前にただぼーっとしてるだけのアホな絵面に見えるかもしれないが。

(ね、ねむい………)

結論から言えば、眠さが勝った。
本日から新たな日々が始まることよりも、目の前に窓があることよりも、何にも勝った。

アルバートの身体は、そのまま前へと倒れ込む。
重たい頭から窓に突っ込み幸いなことに窓は閉まっているので、そのまま頭からガラスに突っ込んだ。

ゴツン

痛そうな音が朝の廊下に響く。

「と、トトくんーっ!?」

ついでに少女の悲鳴も響いた。








*********


──────この世界、"エデン大陸"はクリスタルと滅亡に包まれている。

今から約100年程前、突如大陸に降り注いだクリスタルの彗星。大陸各地にクリスタル群が誕生し、そのクリスタルは"クリスタルエネルギー"と呼ばれるエネルギー派を放った。
"クリスタルエネルギー"は、大陸の人々を二つに分断させた。希望と絶望の二つである。


"クリスタルエネルギー"を受けた人間の影響の1つ目のパターンとしては、"エレメント能力"に目覚める。こちらは端的に述べるなら"当たり"の方で、自然の力を一つだけ扱える不思議な能力を得ることが出来るのだ。この能力は自身の身体に蓄積された"クリスタルエネルギー"を使用することで扱える、特別で特殊な能力。この能力を手にすることは、"クリスタルエネルギー"に耐え切ることが可能な頑丈な肉体の持ち主という証であり、こうした人々はやがて"能力者"と呼ばれるようになった。
エデン大陸の現代社会では、こうした能力者達が多くの権力を手にする時代である。

それでは、もう1つのパターンは?そう、前述の通りあちらが"当たり"ならばこちらは"外れ"。"クリスタルエネルギー"に肉体が耐えきれず、身体の一部が欠損し水晶化してしまった者彼らを"欠損者"と呼ぶ。身体の一部が欠損するのは、肉体に蓄積された"クリスタルエネルギー"を外に出すための通路として身体の一部が犠牲になるからである。
欠損者は能力を持っていないだけでなく、身体の一部が欠けていることから外見が醜い、不自由な点が多いとして能力者達から差別対象として酷い扱いを受けているのが現状である。中には欠損者の人権を無視するような悪行に走る組織や団体も存在し、彼らの居場所は日に日に奪われていった。そうした団体の能力者達が、彼らを奴隷と化すべく探し回っているからだ。


さて。そんな世界を、救わんとする無謀でお節介な奴らがいる。

"Fire Feather救助隊"である。

通称、FF救助隊──なんなら救助隊とまで省略して呼ばれているこの集団は、"助けを求めている人々を全て助ける"そんな子供も顔負けなアバウト過ぎる、かつ無謀でお子様じみた理念の元に活動している半非営利組織である。

救助隊は、隊長フレイムとその仲間二人の"世界を守る騎士団を作りたい"という想いで創立された。身寄りのない者を隊員として集め、時と場合によっては無償で救助、保護、護衛を行う。

救助隊は如何なる時でも、"救世主"でいなければならない。そして、救助隊は如何なる時でも"救いのバトン"でなければならない。
救助隊が救った人々は、今度は救助隊となって自分が誰かを救う。

そのような姿でなければならない。

だから──────

「だから、俺達は君を助けたんだ。
君なら俺達の思いを継いでくれる、俺達と共に世界を救わんとしてくれる。そう、思ったんだ」

壇上の男は、アルバートを見て微笑む。
ロビーへの集合に応え眠気と戦いと言ってもほぼ負けかけていたが集まったアルバート達は、他の隊員達と共に壇上でマイクを通して隊員達に激励の言葉を掛ける隊長、フレイムの姿を瞳に移していた。
彼はかっこいい。アルバートは今まで生きてきた中で、彼のような"正義に溢れるかっこよさ"を見たことがなかった。基本的には個人に無関心なアルバートがこのように他の者をかっこいいと尊敬するのは、非常に珍しいことだった。

とはいえ、尊敬と目標は別である。
アルバートには彼のようになるなど到底無理な話だった。




尊敬する隊長は、太陽の光を浴びて輝いていた。























「あの光が消えるまで、残り────5年。

さて、如何します?
────77人目の"不死者"さん」

闇は果てしなく続き、この美しき世界も何時かは終末を迎える。

「愚問だな。死んでも止めるぞ」

77度目の希望を失わせることなど、決して許さない。

「っはははは!死なない───否、死ねない貴方が何をほざくのかと思いきや!ええ、ええ時には諦めも肝心なのものです。

未来の話をしましょうか……

世界は滅び、貴方の全ては消え、この世界に貴方を知る者はたった一人になります。

──────私ですよ」

終末の使者は嗤った。

「貴方はまた、私の元へ帰ってくるのです」
「お前の戯言は聞き飽きた、他人の頭を使ってお愛でたい妄想と御託を並べるとは良いご身分だな」

世界の滅亡を許すか?
否、許すわけないだろう。
救助隊は如何なる時でも"救世主"でなければならない、

──────救助隊は如何なる時でも"救いのバトン"でなければならないのだから。


76個の世界から受け継いだものを、決して無駄にはしない。

「首を洗って待っていろ、クソ野郎。

──────悪は、滅しなければならない、からな」

時空がふわりと歪む。

果たして5年後の世界が迎えるのは、崩壊か、それとも

「ええ、また5年後に"此処"で」











例え、これから先の未来に待ち受けているのが絶望だとしても。

──────この炎は消せやしない。




これは、"救助隊"が世界の導火になる物語。