ひだりがわ
2024-10-02 07:52:17
1131文字
Public タケ道
 

みちるが女装するタケ道 進捗その2

続きちょっとだけです

「もう一回女装して欲しい」
 休憩中、道流と二人きりとなった控え室でタケルは話を切り出した。漣が置いていった菓子の食べがらを片付けていた道流がきょとん、と目を瞬かせる。
「え? 女装?」
「急に頼んで悪い。……今度俺か円城寺さんのとこでこの間みたいな女装をして見せて欲しい」
「おう……
「やっぱり嫌だろうか」
 頭を掻きながら道流が緩く笑う。
「あ〜、嫌というわけじゃ……どうしたんだ、そんなに気に入ってくれたのか? でもあれはメイクや撮影技術なんかもあってこそのものだからなあ」
「もちろんあの動画の姿そのままじゃなくて大丈夫だ。化粧とかできる範囲でいい、ただ円城寺さんの女装を今度は映像じゃなくて直接見せて欲しい」
「はぁ、しかし自分で用意するとなるとどうしてもゴツ………た、タケル」
 道流がはた、と顔色を変えた。
「どうした?」
「お前さんいつの間にかそういう趣味が……? いや、自分は否定はしないし恋人としてタケルが望むなら出来る限り頑張りたいとは思うがしかしなかなか」
「待ってくれ!」
 絶対に勘違いをしている道流を両手で静止する。
「多分、今円城寺さんが考えているようなことじゃない!」
「そ、そうなのか?」
「ただ俺は……かわいかったから、もう一度見たくて」
 そう言ってきゅ、と口を結ぶ。そんなタケルを見下ろしながら道流もうーん、と唸っている。
 ──やっぱり、嫌だろうか。
「まあ、そんなに言ってくれるなら別に構わないが」
「えっ」
「うん、いいぞ。タケルにだけ見せるなら」
「いいのか……?」
 思いがけずあっさりと受け入れられた。道流の顔を見上げればけろりとしている。 
「しかしそうすると……服とか化粧品とか調達しないとな」
 先日の撮影時に使用した諸々の品は、当然経費で購入された事務所の所有物(一部は咲達の私物)だ。確かに『私用』でそれらを借りることは難しいし、色々とアウトだろう。
「俺が言い出したことだから俺が金を出すよ」
「いや! ……それはなんだか、すごく、……いやありがたいが自分で買っておくから大丈夫だ……
「そ、そうか」
 苦いものでも口にしたような顔で断る道流にひとまず引き下がる。大人として色々と考えるところがあるのだろう。
「どうせやるのなら多少準備もしたいからな、しばらくオフの日も少ないし……タイミングのいいところで自分から連絡するってことでも構わないか?」
「大丈夫だ。俺はいくらでも待てるから」
 おお、じゃあ期待には応えないとなあ、と笑う道流はやはり楽しそうだ。
 ──なんか、ノリノリだな。
 いや、嫌がらせてしまうよりはいいだろう。そう考えてただその日への期待に胸を膨らませた。