ぽふむん
2024-09-28 22:32:39
2233文字
Public ワンドロ
 

奇妙なる極楽の天使

#童しの版深夜の真剣物書き60分一本勝負
「夢枕」をお借りしました。
現代if

まだ付き合う前。現代での出会いから始まるお話

童磨の見た夢は当然冥界トークの場面です。
前世の記憶は互いにありません


スカした男だ……

しのぶの童磨に対する第一印象はこんなもの。

まだその当時は、キメツ学園に通う女子高生だった。

────────────


それは有る昼下がり、同級生の恋雪、梅からの誘いで、占い師もしていた童磨のところへ遊びに行くことになった。
はっきりいって、しぶしぶだった。

何せ、詐欺師(疑い)と、名高い男のところだから。

そんなところに行ったりして大丈夫なんだろうかと不安だったが、二人とも「平気」と笑うばかり。
二人とも呑気すぎだと思ったものだ。
男の一人暮らしの所へ女子高生だけで行くのも危ないと見て良いだろう。
それでも、二人は平気と言って取り合ってくれない。
若さゆえの無謀と思いつつ、しのぶは黙ってついて行った。


男の住まう高級マンションの一室に行くと、気さくに梅と恋雪に話しかけたこの男。
二人の背後にいたしのぶを認めると、驚いたように目を見開き、黙りこくった。

だが、直ぐに我に返るとスタバに誘ってくれた。
居室では誤解を招くかららしい。
それはそうだろう。


この男、相手が女でなくとも、取引、商売は密室は避けるのだという。
決して1体1にはならない。
それは、誤解やあらぬ疑いを避ける為だと言う。

これだけ疑惑、悪名が高い割に、逮捕歴は無い。
事情聴取くらいなら、何度となくあるらしい。
が、全て証拠不十分。アリバイあり。
グレーな案件を扱っているが、現状では取り締まる法がないものばかりということのようだ。


「これが違法になることがあるのであれば、手を引くよ」
男はサラッと言って、コーヒーを飲む。
「あの……
今まで黙って話を聞くだけだったしのぶは、おずおずと『ハッピーアドバイザー』と名乗る、かなり胡散臭い男に声をかけた。
「ん?なんだい」
「あなた、私の顔を見た途端に急にだまりこくりましたが、あれは何だったんでしょう」

一瞬の間が空く。
少し間が空く時があるのは癖のようなもの……ということは、ほんの少しのやり取りでわかった。
だが、あの時は救急車を呼ぶべきなのではと思う程の間と、静止時間があった。
明らかに変だった。

……ああ、気にしなくていいよ。こんなこと口にしても信じて貰えないどころか、ナンパと受け取られかねない」

「はぁ……
釈然としない思いでいると、梅が間に入った。

「何それ?聞かせてよお。まさか本当にナンパしようと思ったとか?」
これには童磨も即座に笑って反論した。

「馬鹿いっちゃいけないよ。年の差を考えてみろよ」
「えー?どまぴ、二十代じゃん。いいじゃん」
「未成年と大人。ダメだよ。
それに、本当にお相手願うなら、俺はもっと大人の女の方がいい」
本気とも、冗談とも分からない軽い返事に、しのぶはなんとなくムッとした。

(子どもで悪かったですね)
シメテヤル

そう思ったが

「えー?その割に、その大人な女が言い寄ってきても、リップサービスで終わりらしいじゃないですか」
恋雪の参戦にはさすがの童磨もたじろぐ。
「俺にも好みがあるの。あー、狛治くんが羨ましい。恋雪ちゃんみたいな清楚な子と……
「あっ言ってること矛盾してる」
「ん?……あー清楚な大人の女がいいの」
「女の好みじじくさぁ 」
「だって俺、おじさんだもーん」

本当の歳は分からないが、その時は年齢差を言い訳に適当にはぐらかされて終わった。

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本当に、散々な出会いだった。
確かに、童磨からは大人の匂いがした。
白檀のような、レザーとタバコの混ざったような……

この匂い………お香ではない。
香水だ

後に、ブルガリのブラックだと知った。

二年後、しのぶが二十歳になってから、正式に交際を始めた。
それまで指一本触れなかったのは、実に恐れ入る。

「で?あの日、どうしてあなたは無言になったんですか」

……ふふふ。秘密」

やっぱり童磨は教えてくれない。


(言えるわけないでしょう)
童磨は思う。
(君は幼い頃から度々夢に見る女と瓜二つだったんだなんて)

夢枕に立つ
これは、死者が知人に最後の挨拶をするため、夢を借りることだという。
そんな事、おとぎ話
空想の話だと童磨は思っていた。

でも、遠く離れていても挨拶に来てくれるなんて、お互いに想いあっていたと言って良いのだろう。
そして……
生者の場合は生霊だ。

生霊を飛ばすとなると、死霊以上の、怨念に近いものなのだろう。

童磨には物心着く前から、何度となく見る不思議な夢があった。
その夢に出てくる女にしのぶが瓜二つ。
内容的にも、他言しないほうが良いだろうと判断し、自分の中にのみ収めた話だった。

暗闇の中、自分の生首を捧げ持ち艶然と笑う美少女の夢を、何度も夜な夜な見るだなんて。
きっと、何らかの障害名をつけられたに違いない。

その少女が、この世に本当に存在して、巡り会った事実に驚いた。
(ついに生霊の本体と巡り会えたなんて言ったら、君は怒る……以前に、失礼極まりないよね。まぁ……本当に生霊飛ばしかねない子ではあるけれど)

ああ、すごい
一見極楽という所から来た天使のような娘なのに

むしろ奇妙な……

しのぶの鞄の中からチラリと見える

ローターにディルド
ムチに……

この子なら本当に生首を捧げ持ってくれそうだ。


俺も人のことは言えたギリじゃないか。