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三毛田
2024-09-27 22:01:33
1077文字
Public
1000字
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63 03. 抱き合って確かめる
63日目 互いの鼓動を確かめる
時折自分が何者なのかわからなくなる。
「俺は、ナナシビトの穹」
鏡を見ながらそう呟くも、輪郭は歪み、鏡面には嘲笑を浮かべている己。
何のために存在するのか。誰のために存在するのか。知らなければいけないし、知ってはいけないものでもあり。
「脚本なんて、運命なんてくそくらえ」
とはいえ、あそこに置き去りにされなければ丹恒にも、列車の皆にも出会えなかったのだからそこだけは感謝している。
乱暴に冷たい水で顔を濡らす。すると、少しだけスッキリして。
タオルで水気を拭い、部屋に戻る。
「戻った
……
穹?」
靴を適当に脱ぎ散らかし、丹恒の胸にダイブ。
読書用に持ち込んだ、背もたれにしているクッションに二人分の重さで体が沈んでいき。
呼ぶ声に応えず、顔を横にグリグリ動かす。
「ふかふかぁ
……
あいてっ」
丹恒がぐっすり寝た時に、こっそり揉んだりしていたらふかふかになった胸。
ご機嫌にぱふぱふしていたら、額を指で弾かれた。地味に痛い。
「なにするんだよぉ」
「それはこっちの台詞だ。なにがふかふかだ。胸がふかふかなわけがな
……
」
俺を剥がし、自分の胸を両手で触れて口を閉じる。
俺が育てた胸だ。ふかふかじゃないわけがない。
「
……
穹」
「ん?」
「お前だな」
羞恥でなのか、ほんのり顔が赤くなっていて。そんな姿も可愛いなあ。なんて思っていると顔を両手で掴まれ。
「たんこ~」
「お前は、なんでっ」
「丹恒が大好きだから。それに」
「それに?」
「俺が顔を埋めた時に、ふかふかな方が気持ちい
……
痛い痛い!」
顔を掴んでいた手に力が込められていって。
結局顔面が解放されたのは、数分後だった。
「うう
……
」
「自業自得だ」
胸をパフパフすると、優しく頭を撫でられる。反省した様子を見せたら、こうして抱きしめてくれた。
左側の心臓の鼓動が心地よい。
「ねえ、丹恒」
「どうした」
「好きだよ」
「そうか。俺もお前が好きだ」
頭を抱きしめられ、つむじの辺りにキスされて。
「穹、俺もお前の鼓動を聞きたい」
「いいよ」
と、体勢を交代する。
「ああ。落ち着くな」
深呼吸をした後、そっと目を閉じて。胸に耳を寄せて嬉しそうに。
こうして抱き合って、互いの鼓動を確かめ合って。
こうしていると、自分が自分であると。
俺は、星穹列車に乗るナナシビトの、穹。丹恒の恋人。
「何か不安だったのか」
「ちょっとね。顔を洗ったら少しマシになったけど、まだまだ不安だったから丹恒に抱き着いた」
「頼ってもらえて、俺は嬉しい」
「本当?」
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