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溶けかけ。
2024-09-27 20:05:01
889文字
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ほぼ日刊
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午睡
お昼寝するヌヴィレットとフリーナのお話。
ほのぼの。
「フリーナ殿。先日、君が提出したこの書類についてなのだが
……
」
ヌヴィレットが顔を上げる。
応接用のソファに横たわって、流行りの物語を読んでいたフリーナはいつの間にやら本に顔を沈め、静かに寝息を立てていた。ヌヴィレットは息を吐き出して、席を立つと反対側のソファに乱雑に掛けられていた大判の膝掛けを手に取った。
「何のためにこれがあると思っているのだ
……
」
呆れと優しさの滲む声が静かな部屋に木霊する。音を紡いだ彼の口元が僅かに弧を描いていることは誰も
――
恐らく、ヌヴィレット自身ですら知る由もないことだろう。
彼は音を立てないように細心の注意を払いながら、フリーナに近づくと、起こさないようにゆっくりと眠っている彼女の体に膝掛けをかけた。華奢なフリーナをすっぽりと覆えるほど大きな膝掛けは、執務室のソファで何度も居眠りをしている彼女のためにヌヴィレットが用意したものだ。
「む
……
」
踵を返したヌヴィレットの服を何かが引いた。また、どこかに引っ掛けてしまっただろうか、と面倒な気持ちになりながら振り返れば、そこにあったのは無機質な家具ではなく、見覚えのある白い手袋に包まれた手であった。
一歩、二歩と来た道を戻り、小さな手から起こさないように裾を取り戻そうと布を持ち上げれば、フリーナが「んんぅ
……
」と抗議の声を上げながら眉を顰めた。
「返したまえ」
ヌヴィレットの言葉に反抗するかのように、いやいやと首を横に振ったフリーナは布を握る手に力を込め、寝返りをうつ。起きる気配のない彼女に彼は早々に白旗を上げると、上着の留め具に手をかけた。
しばし、考える素振りを見せたヌヴィレットは留め具から手を離すとフリーナを抱き上げてソファと彼女の間に体を滑り込ませた。上から膝掛けをかけ、寝心地を悪くする本はテーブルへと追いやった。
窓から差し込む陽光は午睡をするには十分な暖かさでヌヴィレットの眠気を誘う。体の上の温もりも彼を夢の中へと導くのに一役買っていた。
欠伸を噛み殺し、温もりを抱きしめる。
「おやすみ、フリーナ殿」
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