縮んだニュート

テセ+ニュ
呪いで身体も記憶も幼少期に戻ったニュ。

「ニュート!」
テセウスが慌てて聖マンゴ病院の一室に駆けつけると、その場にいた癒者や闇祓いの局員たちが一斉に振り向いた。テセウスはさっとベッドの上に視線を走らせるが、ニュートの姿はない。
「局長、早かったですね」
ああ、脚の生えたトランクが僕の元へ来てな。ニュートに何かあったのかと思って出る所だったんだ」
「そのニュートさんですが命に別状はないのですが、呪いを受けてしまって」
「呪いだと?」
ふとテセウスが視線を落とすと、癒者や部下たちに囲まれて、小さな男の子が立っているのが見えた。
「まさか」
周囲の人間を掻き分け、目に飛び込んできたのはくるくるの癖毛、大きなヘーゼルグリーンの瞳に、雀斑の散る、幼少期の愛しき弟だった。
ニュート?」
周りの大人たちに怯えているのか、小さな眉を下げ、今にも泣きそうな顔で身体を強張らせている。
「身体も記憶も幼少期に戻られています。一時的なもので、時間経過で元に戻るとのことですが
癒者の説明を聞きながらニュートの方に視線をやる。ニュートは腕にテディを抱き締め、頭にピケットを乗せていた。記憶はないとのことだが、長年連れ添ってきたテディとピケットには無意識に安心するのだろう。ふたりもニュートの異変に気付き、寄り添ってやっているように見える。普段手のつけられないテディはニュートの腕の中で大人しくしているし、ピケットはニュートを怯えさせている周囲の大人を威嚇している。
「やあピケット。弟と話をしてもいいかな?」
ピケットに声をかけると僕に気付いたのか、少し不服そうな顔をしながらも大人しくなる。ニュートはまたもや増えた大人に身体を硬くしながら、テディをさらにぎゅうぎゅうと抱き締めて俯いてしまう。テディは少し苦しそうだが抵抗することなく大人しく腕に収まっている。
「ニュート、兄さんだよ」
幼い頃のニュートにしたように優しく話しかけると、ヘーゼルグリーンがこちらを捉えた。
……てせうす?」
舌っ足らずな声が僕の名前を呼ぶ。
「そうだよ」
「うそ。テセウス、こんなに大きくない」
「成長期でね。ニュートと少し離れている間に大きくなってしまった」
「ふつうの動物はこんなにすぐ大きくならないよ」
「兄さんは特別なんだ」
「そうなの?」
髪を梳くように撫でてやると、ニュートは安心したようにふにゃりと笑った。どうやら兄だと認識してくれたようだ。
「テセウス、おなかすいた」
「僕の家でおやつでも食べよう」
「ママに怒られるよ」
「ママには内緒だ」
ニュートを抱き上げ腕に乗せると、甘えたように胸に擦り寄ってくる。そのかわいらしさに思わず緩む頬をなんとか引き締め、部下に声をかける。
「君、すまないが私は今日は早退する。急ぎの要件があれば梟を飛ばしてくれ」
「はい!」
幼いニュートを抱えて、病院を後にした。