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いを
2024-09-23 00:02:20
950文字
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刀神
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おまじないが群れを成す
青嵐
・紫垂月さん【Metol_P】
お借りしています。
夢を見ていた。
故郷
――
沖縄の海の夢だ。濃い色の空、海。白い砂浜でさえ目に眩しく、そして痛い。
夢だというのに。そう、これは夢。沖縄にはもう帰れない。だから夢でなくてはならないのだ。
先ほどまで青嵐の薄い皮膚に触れていた刀神
――
紫垂月頼宗がその場に立っていた。ふわりと被衣のような布が揺れる。
「こんにちは、それからこんばんは」
そっと、やさしく撫でるような声だった。興味本位でからだを預けた昨夜の延長線のような、藤の甘い香りのようでもあった。
「
……
」
くちびるを開けたが、声を出すことができない。ここはもしかすると「そういう場所」なのかもしれない。どうにか意思疎通をしようと頭を下げた。
紫垂月が砂の上に座る。促されたので、青嵐もとなりに座った。
とおくで白波がたっている。
目を閉じると波の音が強く響いた。懐かしい。とても懐かしい。もう聞くことは叶わないと、そう確信していたのに。
「ここが君のかえりたいところなんだね」
錆びついたオルゴールのゼンマイが音をたてて軋み、動く。
――
私がかえりたい場所。いつからか、忘れていた。忘れようとしていた。かえることができないから。
「良いところだ」
そのことばで、青嵐はたしかに安堵した。
そうだ、良いところだったのだ。故郷は。死んだものたちの魂はみな
楽土
ニライカナイ
に還るという。おだやかに、そして永遠に魂が休まる楽土。
――
けれど私はそこにはいかない。楽土にはいけない。その資格はない。
死ぬのなら刀神に殉じたい。それが生まれてから神と近しい場所で暮らしてきた青嵐の望みだった。
誰にも言ってはいないことだけれど。
そして白んでいく景色を見ながら、彼は「君の名前を教えておくれ」と言った。
青嵐にふれた手の感触を覚えている。
熱がこもった体は冷めていて、肩がわずかに力む。
「ふるさとの夢を見ました」
思ったよりも声は枯れていた。
「うん」
紫垂月は知っている、というようにうなずいた。
そうか。あれは青嵐の夢でもあるし、彼の夢でもあったのだろう。
「私は青嵐。雲井青嵐です」
青白い光がうっすらと白い布を照らしていた。その中で紫垂月頼宗のくちびるも、おなじようにかたどった。
「覚えたよ」
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