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バラ肉
2024-09-19 02:07:24
2447文字
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ロビン誕
ロビンに花束をプレゼントするスグル。
薔薇の花言葉(5本)「あなたに出会えて本当に良かった」
ちなみに9本だと、「いつまでも貴方といたい」
9/18 の誕生花はライトブルーの薔薇もありらしい。
※ロビンは安定の奇行子設定です。
バサッ
狭い視界の中に、突如薔薇の花束が飛び込む。
「ロビン、誕生日おめっとさん!」
続いて、ふざけているのか可愛い子ぶっているのかわからない祝いの言葉が贈られ、ロビンは思わず固まった。
「
……
一体何のつもりだ、キン肉マン?」
動揺を悟られないよう、一瞬間を置いて目の前の花束に視線をやれば、丁寧にラッピングされたフィルムの中に王道の赤色が4本、珍しいライトブルーの薔薇が5本。引き立て役の霞草と共に美しく佇んでいた。
誕生日に花束を送る。
これがテリーやラーメンマンといった気取った面々なら,ロビンも「ああ、ありがとう」と特に気にも留めずに受け取っていたことだろう。
しかし、目の前の相手はそんな彼等とは大違いの粗暴者。間違ってもこんな洒落たプレゼントを送るようなキャラでは無い。
なので、堂々と花束を贈ってくる姿に、喜びより先に違和感を感じても仕方ないだろう。
本心の読めない行動にロビンはマスクの下の顔を思い切り歪めた。
(そもそも、こんなキザな真似をどこで覚えたんだか
……
)
一体誰の入れ知恵なのか。考えるだけで胸がムカムカした。
自分の許可もなく、このまっさらな男を自分色に染めようだなんて良い度胸をしている。とんだ怖いもの知らずとはこの事だ。
ーーそんな、ほんの僅かなことに自分勝手に嫉妬するロビンの気持ちを知ってか知らずか。
「ちょっとちょっと!、折角の私からのプレゼントじゃぞ! 喜んで受け取らんかーい!」
スグルはスグルで、中々受け取らない相手に良い加減痺れが切れたのか。相変わらずの気の短さで、花束をぐいぐいロビンの胸に押し付けてくるではないか。そんな事をすれば、鋼鉄の鎧に花が潰れてしまうのは目に見えている。
「お、おい!」
案の定、ぐしゃっと何かが潰れる音が聞こえた途端、ロビンは反射的に声を荒げた。
いくら憎らしく思ってもこんな形で美しい花がダメになるのはいただけない。ほぼ反射的に、彼はその考えなしの手から花束を取り上げていた。
「全くお前は
……
花に罪はないだろう」
英国紳士らしいキザな台詞と共に花弁の状態を確認する仕草は、先ほどまで親の仇のようにその薔薇の花を睨んでいた男と同じとは思えないほど優しい。
「プレゼントとして渡すつもりなら、もっと大切にしろ。ジェントルにとっては基本のマナーだぞ?」
しまいには、コツンと額の肉マークを小突く有様だ。
経緯はどうあれ、貰ったからには大事にするのが礼儀。何より、鋼鉄のマスクを挟んでいるにも関わらず、鼻腔をくすぐる独特の甘い香りに無意識に顔が緩む。
合わせて、花弁の鮮やかな色と艶といい、かなり手入れの行き届いた品なのが伝わってくる。
「
……
しかし、こんなに見事な薔薇。イギリスでも滅多にないぞ?」
ライトブルーという変わった色の品種からして、きっとキン肉王家お抱えの庭師が丹精込めて育てた花に違いない。そう勝手に結論付けたところでーー
ロビンは確認のために見返したスグルの顔が赤いことに気付いた。
「そ、そうか
……
そんなに綺麗かの?」
指を胸の前でツンツンと突き合わせながら小さな声で聞き返す姿は妙に懐疑的だ。お世辞だと疑っているのか。だから、ロビンは間違いなく本心からの賛辞だと告げるべく、彼の顎を掴み上げるとまっすぐその青い双眸を見詰めた。
「ああ
……
綺麗だ。まるでおまえの瞳と同じくらいに。
……
私の心を動かすよ」
あたかも秘め事を交わすような距離で、低い声を掠れさせる。もしも女であればそれだけで妊娠しそうになるような、ほろ苦く、甘いバリトンで、鼓膜を揺らす。
「〜〜〜っ!」
その余りの色気に、スグルの顔は面白いほどに赤くなっていた。まさかこんな不意打ちを喰らうとは。引き攣った顔は予想外の展開について行けないと言わんばかりだ。
「ばかもんっ
……
だからって、近すぎじゃ!」
咄嗟に両手で相手を押し退ける姿は、最初の悪戯っ子からは遠くかけ離れていた。そして、睨みつける瞳は何故か潤んでおり。
「そもそも綺麗で当たり前じゃい!私が丹精込めて
……
ロビンのために育てた花なんだからな!」
「っな
……
!?」
そう言い捨てるいなや、踵を返して走り去る男にロビンは今度こそ固まるしかなかった。
あの、不精で不器用な男が?
自分のために花を育てた?
しかも手入れの大変な薔薇の花を?
次々と湧く疑問は、しかし自分を押し返した指の絆創膏を思い出して瞬くに間に消えていく。
「
……
そういえば」
そんな迷走する思考の中で、ロビンはふと、とある酒宴の席で自分が放った言葉を思い出した。
もう何ヶ月前の話だったか、本人も正確には覚えていない。ただ、酒に酔った勢いでその場の者たちに語ったのは確かだ。
曰く、
『意中の相手には誕生花を贈る。パートナーがいようが関係ない。それがロビン家の慣わしだ』なんて。与太話にしても酷い内容だ。
しかも『贈る花は己が手で育てるに限る。私もそうやって歴代のガールフレンドの誕生日を祝ったものだ』などと熱弁を奮った記憶も一緒に蘇る。
当時の彼にしてみれば、きっとその後半部分への箔付として勝手な家訓を作ったに過ぎない。もしも父であるロビンナイトの耳に入ったら卒倒されること間違いなしだ。
だが、今回のスグルからのプレゼントは明らかにこの酔っ払いの戯言を信じたとしか言いようがない。
そしてそれは、つまりーー
「〜〜ッなんてことだ
……
!?」
まっさらなキャンパスに色を塗ったのは、誰でもない、自分だったなんて。
ロビンは綺麗に嵌ったピースに、堪らず手の中の花束をギュッときつく握りしめていた。
かと思えば、次の瞬間にはスグルが去っていった方向に走り出す。
(嗚呼。ならば私も、答えてやらないとな)
熱い頬を持て余した男はその後。
逃げた相手を捕まえるなり、熱い抱擁と愛の言葉を本人が泣いて嫌がるほど浴びせたのはーー言うまでもないだろう。
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