髪がジャマくせえ。調律の時にこぼしたたった一言。オレにとってはただの感想で、何気もないただの言葉の羅列。だった、はずだ。そのはずだったのに、動揺したのは気の迷いか、それとも。
「中山ァ?!」
イッキ達のバカデカい声で目を覚ます。おはよう、なんて声はいつも通りなのに、いつも通りじゃなかった。何が、って、髪が。
肩にすらつかないほどの短さになった髪で、中山は困ったように笑っていた。
「し、しし、失恋?!失恋なの?!」
「なにか気に病むことでも……」
「なににおいてもどう考えても原因はあそこで居眠りこいてるコバンザメしかおらん」
「聞こえてンだよテメーら……」
寝たフリをしているワケにもいかなくて、上体を起こせば中山と目が合う。おはよう、相変わらず眉をさげて笑う顔は、もうおさげじゃなくても認識できる顔だった。
「アギトくんは関係ないよ。そろそろ邪魔かな?って思って」
なんだそれ。完全にオレのせいじゃねェか。ファック
いつか続く
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