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らん
2021-01-16 15:16:18
768文字
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千コハ
事後。
寒いと思ったことはなかった。ひとりで寝ている時、野宿の時、どうしようもなくなった時、何においても寒さとは無縁だった。
コハクはあたたかいわ、ルリ姉がいつも私の手を撫でながら言うから、そうでありたいと願った結果なのかもしれない。
そんな私が、『寒い』と思って目を覚ました。
「
……
、
……
せん、く
……
?」
明方までは確かに隣で眠っていたはずだ。情事特有の気怠さにかまけて服を着ず、ただ互いの体温と布団で暖を取っていたのだから。
それだというのに、私の腕から千空はいなくなっていた。
確かにあったはずの温さを探すように、彼の身体を形どったような皺をなぞる。ひんやりとしたそこは、私よりもっと前に彼が起きたことを示していた。
寒い、なんて、思うことはなかったのに。
あまりにも心地よかったから、いっそもっと私が冷たければもっと沢山側にいてくれただろうか。そんなたらればを寝起きの頭で考えては苦笑する。
千空も私も、そんな感傷的ではなかろうに。
「起きたか」
私の頬に触れる掌は、随分と冷たかった。寝たまま振り返ると、千空が既に服を着て座っているではないか。いなくなったわけではなかったらしい。
「
……
さむい」
「あ゛ぁ?」
「寒いぞ、千空」
おもむろに手を伸ばせば、ひとつ溜息をついて千空が腰を折る。近づいたことをいいことに首に両腕を回してみると、観念したようにもう一度布団に戻ってきた。私の温めていた場所が取られてしまったのは仕方がない、今回は譲ってやろう。
「珍しいこともあるもんだな」
抱きしめたまま離さないでいると、千空は小さくそう言った。はやく服を着ろ、なんて言わずにいてくれる千空のほうが珍しい。
「もう少し素直に甘えられねーのか、テメェは」
うるさいぞ、文字通り噛みつくように千空の下唇を食めば、彼の手が脚をなぞった。
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