らん
2020-07-18 22:18:45
1296文字
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千コハ

※現パロ

動きやすい格好が好きだ。ミニ丈のパンツにTシャツが楽だと思うし、スニーカーはいつだって走りやすい。ダッドスニーカーだってジャンプしやすいから大好きだ。髪もひとつにまとめておけばそれだけで小綺麗に見える上に邪魔にならないし、装飾品だって無いほうが気が楽だった。全部自分のため。
けれど週に一度だけ、私はその全てを変える。
膝上丈のスカートに、詰まった襟ぐり、柔らかいシアー素材でほんの少し色っぽくなんかして。クリアヒールのサンダルはとっておきで、走るのにはあまり向かない。大学生にはお高めのトリートメントとオイルで髪をほぐして、手の込んだ編み込みはちょっと邪魔だけれど嫌いじゃなかった。装飾品は一つ石ピアスと左手小指にピンキー。これは全部、相手のため。
雌ライオンだろうがなんだろうが、私だって女の子なのだ。
週に一度だけ、私は全てを変える。
君は今日もちょっと笑うだろうな、千空。でも、似合わないとは絶対言わないんだ。手を繫いでくれて、一緒に大好きなカフェに行ってくれる。
だから今日も私は『可愛い』を作るのだ。

「テメーも飽きねぇな」
珍しく私と一緒に甘いドリンクを選んだ千空は、いつにも増してちびちびと飲み進めていた。別に甘いものが嫌いなワケではないけれど、得意かと言われれば違うのだろう。
今日はデート日和ともいえる晴天だった。気温も少し暑いくらいだからとテラス席を提案してみたが、千空は暑さにも寒さにも弱い。実験だったら幾らだって堪えられるのに、なんて苦笑ものだが、せっかくなら一緒に楽しみたいからと窓際の室内で妥協した席。
同じモノを頼んでみて、ショコラの甘みを感じた瞬間の互いの顔は最初こそ同じだったのに、気づいたら千空は手が止まりがちになっている。飽きない、というのは私がいつもカフェに来るたび甘いドリンクを頼む事についてだ。
「幸せな気分になるからな!」
「あ゛ー、それはよぉく分かるけどよ」
千空はいつも私の向かいで、なんとも言えない表情をしている。私の脳内には記されていない顔をするのだ。まるで泣きだしそうなのに、微笑んでいるような、曖昧なもの。
千空は時たまものすごく大人びて見えて、本当に同じものを見ているのか疑問に思うことがある。他人なのだから感じ方は絶対に違うし、尊さや愛しさを自覚する時でさえ完全に同じにはならない。それでも、互いを知りたくて、分かってみたくて、私達は今日も共に過ごす。
科学が大好きで、きっと、千空の頭の中は大半が科学で占められている。けれど、私達のことを忘れはしない。誰にでも平等に厳しくて、優しい。感情豊かで、大胆不敵なところもあるけれど誠実だ。そんな中で私のことも好いてくれている。と、思っている。
私の中の千空は、私の知っている千空で形作られているから、うまく形容しづらい。
それでも、こうして君のその表情を見ると好きだと思うのだ。隣に居られて幸せだと思うのだ。
甘いものを食べるとき、いつも好きな人がいる。だから、幸せ。
大切な誰かと過ごす時はいつだって、甘い香りがする。だから、好き。


続き思いつかんかったので、いつか。