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らん
2019-07-19 08:39:32
978文字
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レオカノ
お誕生日おめでとう!
早く会いたい。
早く会って抱きしめて、夜の続きをもう一度。
逸る感情がオレの足を動かす。こういうとき鍛えていて良かった、なんて安直な考えすら浮かぶほど、オレの呼吸は乱れなかった。
せっかくのカノジョの誕生日だというのに、今日は先方とのミーティングもあって一日中会社に缶詰だった。日付が変わった瞬間にも触れ合ったけど、それだけじゃ全然ダメだ。
本当は会社にも行かないで、ずっとカノジョと居たかった。けれどそれを許すほどカノジョは自分に甘くなくて、アーティストであるオレも好きでいてくれる。そんなところが好きで仕方ないけど、もう少しワガママだって言ってほしい。
結局今日も駄々をこねてワガママ言って、本来なら甘やかされるべきカノジョに甘やかされて出社して。その結果が、今だ。
オートロックの緩慢な自動ドアの速度にもたつくことすら惜しい。エレベーターよ早く来い。1秒だって無駄に出来ないんだ。どうしたって、今日だけは。
音もなく上っていくエレベーターの中で軽く呼吸を整える。フロアについた瞬間もう一度駆け出して、キーケースに閉まっていたカードキーで扉を解錠。
「ただいま」
帰りの挨拶もそこそこに靴を脱ぐ。揃えていないことに対する注意は後で聞こう。
ほのかに香るローズは、カノジョが好んで使っているボディソープだ。若干高めの室内温度はおそらく、脱衣所から漏れてくる湯気と関係がある。
居ても立っても居られなかった。どうしたって我慢できなかった。理由なんて後付で、ただ、はやくカノジョに触れたい。
バッグを放り投げて、服も脱がずに浴槽へ続く磨りガラスの引戸を引けば、ちょうど湯船に身を沈めていたカノジョが目を点にしていた。
「なっ、え、?!」
お構いなしにカノジョと向い合わせで湯船に入り込む。勢いがよすぎて溢れた水は無視だ。反射で体を隠そうとしたカノジョの腕を引いて、オレの腕の中に引きずりこんだ。
「ただいま。誕生日、おめでとう」
開いたまま塞がっていないカノジョの濡れた唇に、キスをひとつ。
せめて服は脱がなきゃダメだよ、なんて、照れ隠しの一言を塞ぐように今度は深く、甘い口づけを。
「おかえりなさい。
……
ありがとう」
その笑顔が、今日もオレを解く。
オマエの誕生日くらい、オマエが飽きるくらいに満たさせて。
ここからのオレの時間は全部、お姫様のモノ。
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