らん
2018-04-30 18:41:41
1055文字
Public
 

ヨシュアとカノジョ。

ディアヴォ

「好きな人が欲しい?」
カノジョが放った一言をオウム返しに聞き返した。うん、頷くカノジョはきっと、さっきまで少女漫画でも読んでいたんだろう。
「じゃあオレにしとく?」
冗談でこぼしたオレの言葉にカノジョは笑うだけだった。ああ、カノジョの中にそんな感情はないんだ。知ってたよ、知ってたけど、むなしい。
「幼馴染だもん、そういうんじゃないよ」
カノジョのことを女として好きなオレは、幼馴染じゃなければ良かったと思い始めて数年経った。




高校生にもなれば寄ってくる女の子なんてまあそこそこ居て、それでもオレはアイツがずっと好きだった。好きだったから女の子と付き合っても長続きしなくて、実はセックスなんかもしたことがない。
そんなおり、カノジョに彼氏が出来たと聞いたオレは箍が外れたようにその時付き合っていた女の子を自宅に招いた。
健全な思春期に彼氏彼女が家でする事って他に何があるんだろう?まんまと女の子はそういう気分で、狙ったオレも彼女を組み敷いた。
小さな頃はここにカノジョが寝たりしたな。いつからオレの家に来なくなったっけ。いつからオレもあの子の家に行かなくなったっけ。幼馴染なんて関係性だけ残って、繋がりは薄れていった気がする。
制服を脱がせた女の子の体は柔らかい。処女だったらしくて、オレも童貞だから比べられずに済んだのは良かったかもしれない。それだけ。抱いてる時に思い浮かべていたのはずっとずっとあの子だった。
彼氏がこんな風にあの子を抱くんだろうか。彼氏があの子にキスをするのだろうか。彼氏があの子に好きと言えば、あの子も好きと返すんだろうか?
そんなの、イヤだよ。
それでも幼馴染のオレに、あの子から男として見られていないオレに、止める権利はないのだ。
「どうして泣いてるの……?」
処女って痛いんだっけ。繋がった部分がズキズキと熱を孕んだ互いのソレは、オレもなぜか痛くて。誤魔化すようにキスをして、オレは童貞を捨てた。
あの子も、彼氏とこんなふうに繋がってしまうんだろうか。
オレが寝たこともあるカノジョの部屋のあの可愛いベッドの上に、オレ以外の男を招くんだろうか。
「ごめん、」
目の前の子を通して幼馴染を見る自分の気持ち悪さに罪悪感を抱いた。こぼれた謝りに、目の前の彼女は困ったように笑うだけ。
この子みたいに、オレたちが幼馴染じゃなければ良かったのに。
「幼馴染だもん、そういうんじゃないよ」
そんなことないよ、オレはオマエが好きだよ。なんて素直に言えないオレが一番悪いのにね。