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らん
2018-01-04 10:55:34
1474文字
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ジュダとカノジョ。
ディアヴォ
こわいゆめをみたの。
カノジョはなんてことなさそうに呟いた。なんてことあるように、突然オレの家にやってきて。
「怖いって、どんな」
普段から何かと世話を焼くカノジョが、今日もオレの世話を焼く。時間は深夜一時、突然の来訪者になんの驚きもなかったといえば嘘になるが、ちょうど新曲のアウトラインを取るために起きていたから都合は良かった。
差し出されたホットミルクはほのかに蜂蜜の味がして、砂糖とは違ったまろやかさが舌に残る。そんな舌が出した言葉に、カノジョは首を傾げた。
「今考えると、怖くなかったかも」
「ウソつけ」
「ウソじゃないよ」
なんのためにオレが作業を中断して、ベツに好きでもないホットミルクを飲んで、わざわざアンタの横で話を聞いてやろうと思ってるのか、本当に分からないんだろうか。
しきりに震える身体は寒さなんかじゃないし、温かい飲料を摂取しても顔は青ざめたまま、笑顔だってぎこちなくて、その目の腫れは泣いたせいだということも顔を見た瞬間から分かっている。それでもカノジョはなんでもないよと声にするのだ。
なんでも、とはいかないけれど、分かってきていたつもりだった。カノジョの考えることはひどく単純で、真っ直ぐで、優しいから。
オレに関係することなんだろうというのは経験上分かるものの、何をどうしたらこんなに怖がることになるのか察することは不可能だった。
言わなきゃ分かんねーだろ、そうごちることは容易くて、でもきっと、たとえ言っても今日のカノジョは口を割らないだろう。
漏れそうな溜息をホットミルクで飲み込んだ。半分くらいの容量を残したマグをテーブルに置いて、カノジョの方に近づく。二人がけのソファなんて容積は小さい。端に追い詰められたカノジョはこの状況ではにかんだ。
「近いよ」
「悪い?」
「
……
悪くない」
カノジョもテーブルにマグカップを置いた。その中身は全然減ってない。まるで飲み方を忘れたように、膜さえ張るほど。
自由になったカノジョの手が、確かめるようにオレの掌を探す。何も聞かないまま掴んでやれば、不意にカノジョが泣きそうになった。
「ねえ、ジュダ」
置いてかないでね。
暖房で暖められて、スローミュージックのかかる室内でも、大好きなカノジョの声は色濃く落ちる。手には残らないし、かき消すことも出来てしまうほど軽いのに、空気よりも重く感じるカノジョの言葉は、まるでオレに捨てられたようなものだった。
「
……
オレと別れる夢でも見たワケ」
首を振るカノジョの体躯を抱き上げる。腰を掴んでオレと向かい合うように膝に乗せてやれば、雪崩れるようにカノジョの腕が首に絡まった。まるで心音を確かめるように、左胸の近いところでカノジョの耳が当たる。鎖骨からなら心音も届くだろう。
そうじゃないの、じわりと声色に滲む涙の音を見つけて、無意識に頭を撫でていた。
やってきたのは突然で、それこそオレが呼び出す時よりもカノジョは必死だった。何も施されていないすっぴんの顔に、マフラーさえ忘れてコートだけを羽織った下に覗くのは部屋着。真っ赤にかじかんだ両手、靴下さえ履いていなくて。まさに寝起きから着の身着のまま飛び出してきたも同然の姿だった。
「違うの、別れなかったの」
「じゃあなんだよ」
「
……
っ
……
が、
……
ぬ、」
「ハ、なに、全然分かんねーし」
ぐずぐずに鳴らす鼻の音で消えるほどか細い声が、オレの打ち返した言葉で大きくなる。あまりにも悲痛な、淀んだ声で、怖い夢をカノジョは語った。
「ジュダが私の前で死ぬの」
続きは思いついたら。
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