らん
2017-11-23 14:58:07
950文字
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レオードとカノジョ。


「私はレオの隣に立てない」
自分で引き出したはずの言葉なのに、どこか他人事のようだった。目の前で無表情に私を見つめるレオは、ああ、いや、無表情なんかじゃなかった。レオのかんばせはとても綺麗で、いつでも動かないように見えるけれど、私はもう彼のその曖昧な表情を読み取れるようになってしまった。それだけの時間は共有してしまった。
なんで、ただのストックの私に、そんな顔するの?
「私ただのセフレでしょ?」
無理矢理笑みを作って自分で詰ってみる。ダメだよ、レオは将来のある人なんだから、私じゃだめだよ。私が隣に居たいと思っても、ダメなの。ただのセフレに優しく出来てしまう人だから、ダメなの。これ以上踏み込んじゃいけない。舞い上がっちゃいけない。
レオに似合う女の子なんて、この世には数え切れないほど居るのだから。
「オレはそんな風に思ったことない」
「ウソ」
「ウソじゃない!」
ウソがいいのは私だ。今が幸せすぎて、体だけの関係すらも壊れて捨てられるぐらいなら、進まなくていいの。このままがいい。互いの感情なんか全部無しにして、はじめて会った時のままでいい。私はひとりで生きていけるの。今まで男に言われてきたように、強い女だから。
「レオが私に言う好きは、私がレオにとって都合が良いから、そう言うんだよ」
都合の良い女で良かった。それが恋に変わってほしいとは思えなかった。本当はレオに心から愛されてみたかった。失うのが怖いから、何もかも戻れなくなる前に自分から捨てるか、現状維持を望んだ。
ねえお願い、心から私に恋をしてください。私と同じ気持ちになってください。
そう素直に縋れるほど、私に貼られた「ひとりで生きていける女」のレッテルは拭えなかった。
「甘えてごめんね」
私を甘やかした人。私に縋ることを教えてくれた人。この恋は墓場まで持ってくと決めたから、もう、このままで居させて。貴方の笑顔が見れる距離でいいから、それしか望まないから、もう、やめて。
……家まで送ってく」
レオが私の言葉に応えることはついぞなくて、ただ、はじめて会った時のように車に乗せてくれた。現状維持さえ許されないのかもしれないと、必死に堪えた涙を流さないように拳を握る。食い込む爪に施されたベビーピンクは、くすんで見えた。