らん
2017-10-11 02:06:22
800文字
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モモチとカノジョ。

ディアヴォ

舌を出した時に覗く銀色の粒を見て去っていった男が何人か居るのを知っている。よほどろくでもない男でなければ、カノジョの舌にぽつねんと置かれた鈍色は良い男避けになるのだ。だから、開けさせた。
喋る時にオレを意識できるように。気軽に他の人と口をきけないように。カノジョの舌にあいたピアスホールは、オレとまったく同じ位置で今日も誰かを威嚇している。


「口あけてー?」
おとなしく開いた口内に指を差し入れて、センタータンのピアスをなぞる。反射的に引っ込みそうな舌を掴めば、カノジョは軽くえづきそうになりながらも大人しく舌を露出させた。両手を使って、自分で言うのも何だけれど器用にカノジョのピアスを外す。裏のキャッチはするりと取れて、随分とホールも安定したなあ、なんて他人事のように思った。ホールから抜き取った銀色のボールはカノジョの唾液でぬめって、それが嫌だと思わないのはなんでだろう。
「舐めて」
拒否権なんてないんだけどね。
カノジョの唾液に塗れた指をもう一度カノジョの舌に這わせる。垂れこぼれていく唾液がなくなった代わりに、じわりと皮膚にカノジョの体液が滲んだ気がした。
「ん、よくできました」
センタータンにピアスホールを開けて半年、オレがキスも止めないせいで随分と痛い思いもしてきたみたいだけど一日外す程度じゃ閉じない程度には安定したそこめがけて今度はオレの舌を侵入させた。ざらり、撫ぜる舌のざらつきの中にまじる空洞の感覚。小さな感触だけど、明らかに異物のようなソレはオレの舌にもある。同じ位置のピアスホール。今日も誰かを威嚇しているような、喋るたびにちらりと覗く束縛の証。取っていいのはオレの前でだけ。
「い、」
「痛い?でも、アンタ痛いの好きじゃん。あとでイソジンすればいーよ」
そういう問題じゃないことなんて、とっくのとうに知っている。それでもただ、今はカノジョとキスがしたかった。