らん
2017-09-26 02:05:44
564文字
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モモチ。

ディアヴォ

生まれて初めて、人の前に立つのが恐ろしいと思った。
咄嗟に触れた首元、指先に当たったのはカノジョが選んでくれたチョーカーで、オレは存在を確かめるように何度となく浅い呼吸を繰り返す。首元が締まるのは嫌いだ。避けてきていたものを、カノジョはまるで知らなかったようにプレゼントしてきたから苛ついた事を覚えている。それと同時に、オレを思って選んだのが拘束するものだということに嬉しくなった事も。
「アンタが居なきゃ歌えないんだから」
どうかお願い、ステージに立った瞬間、いや、オレが降りる時までずっとオレを見ていて。与えた特等席、二階センター、一番オレと目が合いやすいその場所で、アンタの存在を教えて。
ねえヴェロニカ。オレを人間にした罪は帳消しにしてやる、なんて言えないけれど、どうか、神様じゃないオレを知るアンタだけは、オレを見ていて。ボクは見なくていいから、どうか、お願いします、カミサマ。
踏み出す足がひどく重かった。エンジニアブーツなんて履き慣れているのに、どうしてかもつれそうな足をメンバーに気づかれぬよう体勢を立て直す。
マイクの前で瞳を閉じる。目蓋を押し上げたとき、アンタと目が合いますように。微笑めますように。そんなオレを見てチアーズの甘ったるい声が聞こえますように。
ボクはまだ神様なんだと、分からせてみろ。