らん
2017-09-18 23:08:39
631文字
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香椎玲音

顔の話。セフレ視点

整った顔ほど無表情だと年齢が読めない。猫目に、スッと一本に通った鼻筋、引き結ばれた薄い唇は真一文字。一直線にカットされた前髪によって露出された眉毛が見えなければ、香椎玲音という男は美しい人だった。双眸で色を変えていることが現実感を喪失させているせいか、尚更。
「ねえ玲音、アンタのオッドアイってさあ、カラコン?」
「は?突然なに」
「気になって。カラコンにしては発色良すぎない?」
毎日ディファインじゃカバーしきれずにカラーコンタクトを入れて、肌を整えた顔というキャンバスに色を乗せていく作業をしなければならない私にとって、既に情事の余韻が冷めた玲音の顔は美しく見えた。
「想像にお任せしとく」
「なぁにそれ、もったいぶらないでよ。アタシ、玲音の蒼い目が好き」
せっかく綺麗な蒼を持っているのだ。金色よりも、聡明な蒼が好きだった。
頬に手を伸ばせば、意図を察した玲音が遠のいていく。放り出したズボンを履き直す彼を見て、ああ怒らせてしまったんだと理性は困ったようにしょげていた。美しい人は怒ると怖い。それに、玲音は女相手でも怒鳴ることをそこらへんの女共だって知っている。癇癪玉を抱えたライオンなのだ。
ワックスの取れかけた髪はくしゃくしゃで、玲音はそんな髪をかきあげると無言で部屋を出ていった。水でも取りに行ったのかもしれない。良かった、まだ捨てられはしなそうだ。
「ねえ玲音」
いつも私の瞳の奥、私を通して見ている女の子は、どっちの瞳を好きだって言うの?