らん
2017-09-07 11:27:00
1083文字
Public
 

ユゥとカノジョ。

ディアヴォ

ごめんなさい、夕ご飯が用意できてません。カップラーメンはあります。あと、帰り遅くなります。
立て続けに流れてきたメッセージアプリの通知を偶然スマホを開いていたオレは見届けて、そういえば今日友達と会うって言ってたっけ、なんて朝の会話を反芻させた。どうせ、遅くならないだろうと夕食の準備をしなかったんだろう。別に構わないケド、フツーは帰りが遅くなることを先に連絡しない?
優先順位が自分の身のコトよりオレの夕飯ってコトにちょっとだけ嬉しくなりつつ、迎えに行く、とだけ返信する。悪いからいいよ、そう返ってきて、いやオマエってオレのなんだったっけ?なんて意地悪でも言ってやりたい気分だ。
「迎えに行くから。解散時間分かったら連絡して。あと場所も」
運良く、という言い方も悪いけれど今日は車で事務所まで来ているのだ。最近涼しくなったからと引っ張り出してきたし、迎えに行くこと自体は苦じゃない。何か言いたそうにしてるカノジョの顔を想像しつつ、返ってきたスタンプはアイツがよく使うありがとうゆうくん、とかいうふざけたヤツ。まあ可愛いからいいケド。
「ユゥのカノジョちゃんってカワイイスタンプ使うンすねェ」
……人のスマホ勝手に見てんじゃねえデブ」
「ブッ飛ばすぞジジィ!死ね!」
「ハァ?!どう考えてもオマエが悪いでしょ?!そっちが死ね!」
エーダッシュがすぐ近くに居ることに気付かなかったオレが悪いワケない。覗き見する方が悪い。
飲み物を取りに来ただけだったのか、そそくさと退散していったオレンジ頭がもう一度横を通り過ぎる瞬間に足を引っ掛けてやる。うまく引っかかってバランスを崩したバカが帰りながら何か負け惜しみを喚いてたけど無視した。
うかうかメッセージの確認もエーダッシュの前では出来やしないと溜息を盛大に吐きつつ、迎えに行った時のカノジョはきっと笑うんだろうと思えば溜飲は少し下がった。
「つか、カップラーメンて……
たまには悪くないけどね、そう言うのはアイツにとって料理がヘタって遠回しな解釈で取られそうでイヤだ。そう取られるコトばかり言ってきたオレが悪いんだけど。
……
一人で過ごす休憩室、たったの数十文字でちょっとだけ恥ずかしくなったり。そんなのオマエにだけだから、とは、絶対言わない。
「奥さん、もう少し落ち着きましょうか」
やっぱりコレも意地悪な意味で解釈されるカモ。
案の定、カノジョからは怒り気味なスタンプが返ってきた。オマエはもうそれでいいよ。次はないケドね。
「奥さんは無視かよ、」
恥ずかしがってるオレがバカみたいじゃん。


END