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らん
2017-05-06 18:32:01
571文字
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英智と桃李妹
お兄様は王子様になってしまった。私だけの王子様みたいなお兄様ではなくて、正真正銘の王子様に。
そう言葉にすることは容易い。その言葉のまま捉えれば大層良いことだと桃李や彼女の両親、親族は微笑むだろう。それだけの技量と面識を勝ち得た証拠であり、「王子」という称号は一種の勝ち組の証明だ。
しかし、彼女はその称号により起こる弊害をありありと、まざまざとこの一年間で見せつけられてきた。
桃李をあの学院へと手招いた諸悪の根源に、兄が学院で出会った特異点である女性の転校生。他にも桃李の専属である弓弦に聞いた話を加味すれば同じユニットの奇人や部活仲間の意地悪い先輩、大層可愛らしい友人などなど、いかに桃李の世界が開いていったかを痛感させられる。
そうやって皆が奪っていく。私だけのお兄様ではなくなっていく。皆の王子様になっていく。私にさえ見せない明け透けな、子供らしい素顔を晒した上で、お兄様は「姫宮桃李」としてあの学院で華開いていっている。
それがどうにも彼女にとっては憂鬱だった。
彼女が自らの世界に招いた人間はそう多くない。両親、兄、幾人かの召使、専属医。学校に友人は居ないし、作るべきものかどうかも決めあぐねていた。否、作り方も、必要性も知らなかった。
彼女の世界はひどく小さくて、そして、あまりにも綺麗なものだけで出来ていた。
続く
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