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らん
2017-04-23 16:14:11
1262文字
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レオードとカノジョ
ああ神様なんということでしょう。
そう神に問うことさえもはや億劫だった。この展開は前にも経験があったからだ。
「ごめん、好きな奴が出来た。別れよう」
ありきたりで簡潔な三拍子。このセリフを聞いたのは何度目だったかな?おかしいな、今日は大好きなバンドのライブさえ蹴ってデートのお誘いを受けた日のはずなのに、なぜ出会い頭にフラれているのか。
「
……
なんで、」
なんとなく読めていても、聞かずにはいられなかった。どうして私はフラれるのか。なぜ好きな人が出来たのか。
「ほっとけないって思っちゃったんだよ。別にお前は俺が支えなくても、
……
一人でも、生きてけるだろ」
誰がいつそんなことを言ったの?多分、ここはそう言うべきところだったのかもしれない。けれど言えなかった。自分のプライドと人生が培ってきた経験がそれを許さなかったのだ。
別に彼氏が居なくても生きていけそう。守ってもらわなくても大丈夫。そう見せてきた結果が今なら、それはもう甘んじて受け入れるしかない。
ねえ、なら、どうして私がアンタと付き合ったと思ってるの?
そんな泣き言さえ言いたくなかった。一人で生きていけるかもしれない。気楽に過ごしていけるだろう。きっとうまく世を渡っていけると思う。その上で、アンタの隣に居たいなって考えていたんだよ。一人でも生きていけるけど、二人が良いなって感じたんだよ。
それなのに、求めて縋りつかなきゃ見捨てられるのか。
思えば可愛げがなかったし、俺のことだけ考えてくれないし、優先もしてくれなかった。今更ながらに並ぶ不平不満の言葉もこれまで別れる時に聞かされてきたもので、それはつまり私の生き方の否定で。変えなかった私が悪いのだろうか。でも、男だけに囚われて生きたくなかった。付き合う時にそれでもいいって笑ったアンタはなんだったのか。
(きっと、今までの男と俺は違うって思ってたんだろうな)
瞬間、熱が冷めたように手足が冷えていく感覚がした。目の前の男の何が良かったのかよく分からなくなってしまった。
ああ、こんなことならルミエのライブを蹴らなければよかった。仕事帰りに会うからっていつもよりオシャレなブラウスを着なければよかった。歩きづらいシフォンスカートなんかやめればよかった。
今朝の楽しみだった気持ちを返してほしい。無理難題だと知っているし、コイツからはもう何も貰えないだろう。というか、もらいたくもない。
「
……
分かった。別れよう」
「
……
へ、」
「そっちが別れようって言ったのに、なんで驚くの?大して好きでもない女と付き合ってくれてありがと。さよなら」
「あ、おい!」
呼び止められても振り返らなかった。踵を返した時点で私はフラれた男の連絡先を消していく。高速タップする爪先はルミエールのピンク色。ああ、この爪も、色こそルミエ色だけれど褒めてもらえたらって思ってたのに。
帰宅ラッシュさなかの駅前で、私はただひたすら悔しさと悲しさと喪失感でごちゃまぜになったままスマートフォンと向き合いながら電車に乗っていた。
続く
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