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らん
2017-03-06 21:33:56
2128文字
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CR事務所のカノジョ達
ディアヴォ
「えーと、とりあえず、何か飲みます?紅茶とかコーヒー、お茶が用意されてるので
……
」
「あ、手伝います」
「こっちにはお茶菓子もあるみたいですよ」
「わー、それ、結構お高いやつですよね
……
!」
「とりあえず、あのマッチョの方が言ってたように、待つしかないんですかね」
「そうですね
……
」
六者六様ではあるけれど、彼氏による理不尽さ、オーディエンスとしての無茶ぶりに振り回されてきた六人はそこまでの動揺もなく、事務所のとある一室に介していた。
誰がどうと言わなくても、おそらく全員、現在ツイッターで広報をさせられているCR事務所所属バンド、各ヴォーカリストの彼女なのだろうという憶測さえ共有している。自分以外どのバンドのヴォーカリストが彼氏なのかは明白でないにしろ、全員が集まった時のお疲れ様です、の同情の視線は見事なほどに揃っていた。
そもそも彼女たちが今日集まったのは、自宅に届いていた一通の手紙からだった。CR事務所から封筒に包まれて配達されていた中身には社長からの直々のメッセージが書かれていたのである。お話したいことがございます。その一言に、正直全員肝を冷やした。別れろとでも言われるのか、それとも。それよりも、なぜ社長にまで自分の存在がバレているのか?
数人は彼氏から絶対社長にはバレちゃならないと釘を刺されていたし、バレていないだろうという言葉を信じてすらいた。
自宅の住所が知れているということは、素性が知れているということと同義だ。貴方のお相手には内密にお願いいたします、と書かれていた通り、全員逆らうのはよそう、とツイッターでの彼氏の様子や、合宿帰りの彼を思い返しながら心に誓い、今日を迎えたのだがーー
蓋を開けてみれば、六人の女性がミーティングルームの一室に集う形となっただけだった。
「それにしても、どうしましょうか。『相手が迎えに来るまでここから出てはいけない』ですって」
レオードなら事情が分かり次第迎えに来てくれるだろうと確信してはいるものの、彼女はひとつ溜息をついた。青色のピアスが特徴的な彼女から渡された紅茶にポーションミルクを混ぜつつ、隣に座っていた女性と目配せをする。
「動いちゃならないのならこのまま大人しく待つしかないですよね」
ユゥはきっと怒るだろうなあ。彼がオマエ、バカじゃないの?と叱ってくる姿は想像にかたくない。そして反論しようと「えー」なんて言ってしまう自分さえ。
そんな彼女の元にお茶を置いたのは、給仕を真っ先に言い出した女性だった。スマホのストラップから篝火のバンドロゴが覗いているから、恐らく篝火のヴォーカルの相手なのだろう。
「とりあえず飲み物もお菓子もありますし、様子見してましょうか。お話でもしてましょう」
どうせジュダは迎えに来ないだろうし。読めた展開に早々に見切りをつけて、彼女はニコニコと笑って腰を下ろした。
「そうですね。せっかくですし、多分
……
その、皆さん、この事務所に彼氏さんが居るってことですよね?普段話せないコトとか、色々話しましょ」
エーはいつ気づくかなあ。それまではこの人たちと話してよう。一番幼く見えるのに、しっかりと左手薬指に指輪を嵌めている彼女さんが言っていた、誰もつつかない高級らしいクッキーに手を伸ばしながら彼女も笑う。
「えーと、一応皆さん誰の彼女とか言っていいのかな
……
?大丈夫な方、どれくらい居ます?」
最後に腰を下ろした彼女は、シエルならどうにかしてくれるだろうという安心感から特になんの不安もなくこの場に居合わせていた。素性をバラすことに関してシエル自身は歓迎していたし、全員誰かしらの彼女だというのなら一般の人相手のように隠す必要性も皆無だろう。その上で聞いた発言だったのだが、大丈夫だと頷いたのは四人だった。
(この人は無理そうだなって予想してた人が平気ってことにビックリ)
それはシエルの彼女の向かいに座る人物だったのだが、全身の肌がほとんど見えないような服装をしているせいで、まるで服に拘束されているようにも見えた。空気に耐えきれなくなったように、服に守られた女性が声を鳴らす。
「えっと、Veronicaのモモチくんとお付き合いさせてもらってます」
女と話すのもあんまり好きじゃない。そういつだか溢したモモチくんは、私を迎えに来てくれるだろうか。迎えに来てくれるだろうけど、きっと帰ったらお仕置きかな。
他の男が寄り付かないようにやむを得ない場合は素性を隠すな、隠した方が狙われるから。と怒った彼のことを思いながら、彼女は苦笑しつつもハッキリと彼の名を口にした。
「私はフレーダーマウスのシエルと」
「NSFWのエーダッシュと付き合ってます」
「私の彼は篝火のジュダです」
残り二人はもうここまで来たら隠している意味も、隠せるほどのものでもないだろうと判断したようで、控えめながら相手の名前を口にした。
「ルミエールのヴォーカリスト、レオードと付き合ってます」
「JET RAT FURYのゆ、
……
ツーユゥが、彼氏です」
やっぱり全員広報させられてるメンバーの彼女か
……
ともう一度視線が交錯し、今度の「お疲れ様です」は綺麗に音になった。
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