らん
2017-02-25 00:06:56
1275文字
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ジュダとカノジョ

ディアヴォ

!同棲してる


身体が思うように動かない。昨日の夜、寝たときはこんなに身体が重くなかったはずだ。それだというのに今の私は身体の自由がきかなかった。
寝ぼけ眼のまま僅かに動く腕でスマートフォンに手を伸ばし、時計を表示させる。寝起きには強すぎる光で表れた時刻は丑三つ時だった。嫌な時間に起きてしまった。
うなりながら体勢を変えようと寝返りを打とうとすれば、なにか大きなものに阻まれる。むしろ、後ろから私が抱きかかえられているようだった。
……ジュダ?」
私を抱き枕にする人なんて、ここ最近じゃジュダくらいだ。今日は帰ってこないというから自室のシングルベッドで寝ていたのだけれど、帰ってくるなら二人用の寝室に居れば良かった。私のサイズに合わせた折り畳み式のベッドはジュダと二人で入ると随分狭苦しい。実際、私を抱きかかえる彼の足は小さく折り込むように曲がっていた。
無理矢理にも近い形でどうにか寝返りを打って、綺麗な寝顔と対面する。起きれば傍若無人の社会不適合者、すぐに物を壊す乱暴者の自己中……と、せっかくの外見を性格で台無しにしてしまう人だけれど、こうして黙っていればとても綺麗な人。そして、とても綺麗で、狂っていて、いつも新しい世界という名の音楽を生み出す指先はまだ冷たかった。
「おかえりなさい。お疲れ様」
提供楽曲の締切が近いから事務所のスタジオに籠もる。そう言ってジュダは自宅での作業を諦めてここ最近はほとんど事務所所有のスタジオに居たのだ。篝火の楽曲ならいざ知らず、他人のために綴る音符はどうやら自宅では生まれないらしい。そういうところは、天才でも少し人間らしいと思う。
ミネラルウォーターばかりであまりご飯も食べていないのか、ただでさえ細いのに数日前よりやつれたように見えた。薄い胸板が上下して、相当深い眠りに落ちていることが分かる。
……明日はちゃんと二人用のベッドで寝ようね」
こんな狭いところより、ダブルサイズのベッドで寝たほうが良いに決まっている。朝起きたらちゃんと栄養のあるご飯を食べさせなければ。もしかしたらまだ楽曲が完成してないかもしれないから、お弁当も持たせなきゃなあ。帰ってくるというのならベッドシーツを洗って、枕も干そう。それでふかふかの布団にくるまってもらおう。うん、きっとそれがいい。
ただ、それは全部明日の私に任せてもいいだろうか。
時刻はまだ丑三つ時。正直眠くてたまらないのだ。いまだに私を離してくれる気配もないし、起こすのは可哀想だし。
「おやすみ、また明日ね」
擦り寄るように彼の鎖骨付近に顔を埋めれば、無意識のまま更にキツく閉じ込められる。それだけで、こんなにも愛しいと思うのはどうしてなんだろう。
シャワーを浴びてそのまま飛び込んできたようで、まだ若干湿った髪のことも明日お小言をこぼすとして、今は大好きなジュダの温もりに包まれたままもう一度瞳を閉じた。
小さなシングルベッドの中、先に目を覚ますのは私か、ジュダか。
どんなものよりも安眠剤になる彼を感じて眠る夜は、いつだってしあわせ。