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らん
2017-02-12 22:11:42
652文字
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シエル
ディアヴォ
「シエルくんさ、いつもとは違う表情してみようか」
「いつもと違う、というと?」
「不敵な笑みとかじゃなくて、そうだなぁ」
たとえば、カノジョに向ける微笑みとか。
言いながらシャッターを切るカメラマンに対して、俺は喉を鳴らして笑ってしまった。そんなに硬い表情ばかりしていたとは思っていなかったから尚更だ。懇意にしているカメラマンは、どうやらこれまでの俺の表情では満足がいかないらしい。
「そうそう、そんな感じでさ、自然なやつ」
「歯見せて笑うのはバンド的にNGなんで、ナシの方向で」
「はいはい。
……
良いと思うけどなあ」
「フレマの看板飾るんだから、イメージと違いすぎるのは駄目なんですよ」
ひとつの深呼吸でどうにか笑いを噛み殺した。その瞬間さえカメラに押さえるあたり、この人は一体どこのパパラッチなんだろうと思ってしまうほど。
(まあ、隠しているわけでもないし)
左手の中で転がす骸骨のモチーフに、指先に施されたジェルネイル。右の内手首に貼ったタトゥーシールはベビーパウダーのおかげで違和感さえもない。
これはフレマのシエルとして、俺が勝ち得た場所。フレマのフロントマンが立つ世界。
カメラの前とは、そういう「世界」だ。ただのシエルが立てる「世界」ではない。
ただ、その垣根を越えてお前を連れ込めるのなら。それが許される一瞬だというのなら。
「カノジョのことを想うと、シエルくんはまず何を考える?」
「
……
そうだな、」
笑わせたいです。
ジャケットとして採用されたのは、そう断言した俺の笑みだった。
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