らん
2016-12-25 21:23:03
1060文字
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モモチと彼女。

ディアヴォ

アンタはオレになんのプレゼントもないわけ?そう言ってやろうと思ってたのに。
いつ買ったの、どこからその金出たの、ねえ、オレ、なんにも知らない。
朝起きて枕元に置かれていたプレゼントの贈り主はきっとサンタさん、なんて信じられるほどもうガキじゃなくて、おそらく隣ですやすやと寝ているコイツがオレの知らぬ間に置いたという事実さえ信じがたいのに。
けれどこうして実際は置かれているのだから、この小箱がカノジョからのクリスマスプレゼントだということは疑いようもなかった。
深い眠りに落ちているカノジョの額にキスを落として、煙草を吸おうとベッドを抜け出す。落ちていたパーカーを適当に羽織って、ジーンズを履いて。ジッパーもベルトもそのままに、ベランダへプレゼントと共に繰り出した。
百円ライターで火を灯し、軽くふかしてからじっくりと肺の奥に紫煙を取り込む。左手に煙草を持ち替えて、右手で綺麗に包装を剥いでいけば現れたのはオレの好きなブランドの正式名称が金で黒地の小箱に描かれていた。
……ウソでしょ」
こんなモン、カノジョのたかが知れてる給料じゃ中々手が出しづらいものだと思って侮っていたし、なにより、休みの日はほとんどオレと過ごしているのだから買う暇だってほとんど無かったはずだ。
どうやって、なんで、いつ?聞きたいことが山ほどあるんですけど。
はやる気持ちを抑えつつ蓋を開ければ、そこに輝いたのはいつだかオレが欲しいとこぼしたシルバーのスタンプオイルライターと、ハート型のライター。おまけにレザーのシガレットケースと、ラウンドの携帯灰皿が一緒に詰められていた。
全部オレが必要としているもので、オレが欲しいと考えていたもので。色やデザインは特に言ってなかったのに、ここまでオレの好みに合わせてきたのは、ああ、もう。
「サンタさんかよ」
ほとんど吸わずに灰になった煙草を缶コーヒーの中に捨てて、新しい煙草をひとつ取り出す。箱はそのままシガレットケースに閉まって、オイルライターで火を点した。
「んー、うまい!」
起きたらアンタに何をあげようか。まずはおはようのキスをして、もう一度アンタの全部を愛してあげようかな。それからオレのプレゼントをあげよう。
そろそろアンタも、口紅と香水くらい同じブランドにしなよ。オレの選んだ色と香りに身を包んで、オレの横に居てほしい。似合う歳なんだし、なによりオレが選んだものがアンタに合わないワケもない。
うっすらと夜の明けた空の下、手元に宿るひかり達はかけがえのないものだった。


END