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らん
2016-10-12 22:28:55
686文字
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夏目とあんず
ゆるやかに落ちてく魔法をかけられたんだろうか。
そしてそれは解けることはないのだろうか。
歌うたいの柔らかな声で奏でられた言の葉に聴き入っていると、隣で夏目くんも聴き入ったように見せていた。それがフリなのは、分かっていた。
「歌は呪術だヨ、子猫ちゃん」
「
……
そうかもね」
「魅入られ過ぎてはいけないヨ」
「もう手遅れだよ」
燦々と輝くスポットライト。耳が割れんばかりの歓声。光る汗を流しながら舞うステップ。そして、心臓を掴む歌。
そんなステージの上で踊るアイドルと共有する時間という魔法にかかっている時点で、私は手遅れだから、歌に聴き入ったっていいでしょう。
「
……
いつかは解けてしまう魔法だ。忘れてしまえ」
「忘れないよ」
「ハハ、やっぱり駄目かァ」
ボクのハッピーエンドのその先にも、その時間は必要なんだけれども、君には忘れてもらいたいなあ。
ごめんね、そのお願いはきけないし、魔法も効かないよ。
「夏目くんの歌も好きだよ。まるで魔法みたいで」
ずっと忘れないよ。
たとえ君が描く「ハッピーエンドのその先」に、君自身がいないのなら、私が、青葉先輩が、宙くんが、
……
君の愛した奇人たちが、それを許しはしないから。
そして、君にその先を託したあの人も、きっと。
「忘れないよ」
ゆるやかに落ちてく魔法をかけられたんだろう。そしてそれは、きっと解けないというのなら。
君がひとり寂しく笑う未来だけは、限られた中で選択したくないよ。
「
……
魔法にかからない人ばかりデ、嫌になるなァ」
「あはは、かかってるんだよ?皆」
君を大好きになる魔法はいつだって効いている。
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