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らん
2016-10-07 11:49:08
1516文字
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鉄ひな
一年後設定
「鉄虎くーんっ!」
沢山の歓声を浴び続けながら舞台袖にはけていけば、入れ替わりでスポットライトの元に立つことになっている2winkが大きく手を振っていた。その中で自分の名を呼ぶのはゆうたではなく、ひなたであることは疑いようもない。実際、前方で満面の笑みを見せるのは弟と同じデザインだけれど、弟とは違ってピンクの衣装に身を包む恋人だった。
「お疲れ様、リーダーっ」
まだまだステージに慣れていない後輩は我先に楽屋へと走り出していて、それを諌めるため、面倒そうにしながらも追いかけていった翠は既に袖から消えていた。忍はゆうたと話していて、最後にはけた鉄虎は、ようやくホッと大きく息をつく。
「やっぱ、まだ纏めるの慣れねーッス」
「あはは、そんなもんだよ〜まだ後輩入ってから数こなしてないでしょ?」
「そうなんスけどね、」
「だいじょーぶ、端から見てるぶんには余裕そうだったよ」
労るように背中を叩いてくるひなたは随分と気楽そうだ。これが一年先にリーダーを経験している貫禄というやつなのだろうか?
悔しいな、なんて思いつつ、鉄虎はひなたに笑いかける。
「んじゃ、あとは任せたッスよ」
「うん、任せて!」
「アニキー!行くよ!」
「はいはーいっ」
一足先に忍との対話を終えていたゆうたの声に呼応し、ひなたは軽くジャンプした。それは彼の最後の体調確認のひとつだ。
行ってきます、笑って横を通り過ぎようとしたひなたの腕を鉄虎が不意に掴んだのは、故意か、無意識か。多分、どっちも。
きっとファンの歓声に当てられただけだ。いや、ひなたがあまりにも余裕そうだから悔しかっただけかも。どちらにせよ、鉄虎の中の箍が外れていたことに変わりはない。
「え、鉄虎く、」
掴んだ腕を引き、勢いのまま引き寄せて唇を奪う。軽く唇を舐めたところで解放してやれば、ひなたの顔から余裕はかき消えていた。
「行ってらっしゃい、ひなたくん」
「
……
っ、な、
……
?!な、え、
……
ッ変態!ばか!行ってきます!」
顔を赤面させつつ、余裕が回復することもなく。それでもステージが待ってくれないことを鉄虎は勿論、ひなただって理解している。
一瞬フラついた足元もすぐにしっかりとしたものになり、その背を見ながら鉄虎は微笑んだ。
「
……
鉄虎くん、後輩が居たらドン引きでござるよ
……
」
「うみゅ?!」
ふと気づけば一部始終を見ていた忍が鉄虎の脇に立っており、呆れたような声を出す。はあ、とついた溜息は、普段なら立場が逆になる鉄虎のものとそっくりだった。
「スタッフさん居なかったから良いものの、拙者たちが居ることも忘れてたでござろう」
「ハハ
……
」
「後でゆうたくんに怒られても助けてあーげない」
「ウッス
……
反省します
……
」
「鉄虎くん後で殴る」
ひなたがゆうたに追いつけば、実の弟は不機嫌さを隠すことさえしなかった。兄のバカップルぷりなんて出来れば見たくもない。自分だって忍と触れ合うことは避けたというのに、なんて逆恨みも若干はある。
「えっ、ぼ、暴力反対!」
「アニキも満更でもない顔しないの!ここからは2winkの葵だからね?!鉄虎くんのものじゃないんだからデレ顔はやめて!」
ふにゃりとニヤけたままのひなたが面白くなくて、ついつい語気を荒らげれば、何をどう取ったのかひなたは抱きついてきた。
「だーいじょーぶ、大丈夫!ゆうたくんが大好きなお兄ちゃんだよ〜っぎゅっぎゅ!」
「ほらもうテンション振り切れてるじゃんー!鉄虎くんのバカぁ!」
やっぱり後で殴ろう。そう心に決めて、二人同時に同じ笑みを形作る。ここからは2winkの独壇場だ。
さあ、みんなを笑顔にしに行こう。
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