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らん
2015-11-06 13:31:36
1540文字
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ひなた→あんず
大人をからかっちゃダメ、なんて、1つしか変わらないくせに。
俺が渡した赤ずきんの仮装をして怒るあんずさんをからかいながら、心の内でそんな子供っぽいことを考えていた。
そもそも、あんずさんが大人だというのなら俺だって充分に大人だと思うのだ。
言いたくはないが、自分が死なない為なら泥水を飲んでだって生活するしかない事を知っている分、そんじょそこらの人より大人だ。大人の定義なんて曖昧だということも知っているからツッコまないけれど。
(きっと、あんずさんにとって年下は庇護対象なんだろうなあ)
いつだってクールぶって、お姉さんらしさを出して、俺よりも先を歩いている様に振舞うのだ。実際はクールとか、そういうものとかけ離れていることを俺とゆうたくんは知っているのに、「お姉さん」が一年生に対する態度として板についてしまったあんずさんは今日もお姉さんぶる。そりゃ弟が居るから尚更なのかもしれないけど、俺達はあんずさんの弟じゃない。
だから、俺は今日もあんずさんを可愛がる。一年生と二年生なんて枠組みに括られたくはない。弟としても見られたくない。
「あんずさんさー、俺とゆうたくんはプロデューサーとして何も出来なかった頃も知ってるんだから、もっと楽に接してよ?」
「そういうわけにも
……
」
「じゃあ、どうしたらあんずさんは俺達にも甘えてくれるの?」
「私としては、充分甘えてるつもりなんだけどなあ」
「もっとワガママで良いんだよ?俺だってお兄ちゃんなんだから!」
頼られることには慣れている。背負うことにも慣れている。守ることも、我慢することも、慣れている。兄とはそういうものであって、境遇としてはあんずさんとほとんど変わらないのだ。だから分かる。あんずさんは、抑えてる。
(いいよなぁ、三年生は)
羽風先輩に対するあたりの強さとか、朔間先輩に対する尊敬の念とか、そういったものだって全部あんずさんが甘えている証拠だ。それだけ素を曝け出しても受け入れられると理解して、その上で安堵して見せているあんずさんの素顔。
俺からとってみればたったの2つしか違わないけれど、されど2つ。先輩達には並べない。
「有難う、ひなたくん。でも、これで良いの。こうしてたいの」
「
……
年下には甘えられない?」
「やっぱりね、弟を思い出しちゃうから」
「そっかぁ。まあ、それがあんずさんの考えなら無理強いはしないけど」
スタンスを変えることが簡単にいくなんて思っていない。そんなことが出来たら生きるのに苦労はしないから。それならやっぱり、俺は勝手にあんずさんを可愛がろう。俺だって簡単にスタンスは変えられないのだ。
「俺だってあんずさんを可愛がるのやめられないから許してね?」
「
……
うーん」
「俺は許したのにっ!」
「分かりました、無視するね」
「それはそれでヒドイよ!」
ねえ、きっとあんずさんは知らないだろうからこのまま隠すけど、俺は本当にあんずさんを可愛いと思うんだ。異性として可愛いと思ったのははじめだけで、今の俺は「あんずさん」だから可愛いと思ってる。
そしてお兄ちゃんとして、双子として、ゆうたくんも俺と同じ気持ちということも気づいているんだ。
お兄ちゃんだから、我慢することには慣れている。誤魔化すことだって得意で、悲しくても笑うことも出来る。そうしていないと葵ひなたが消えてしまいそうだから、お兄ちゃんとして自分を縛っていることも勿論自覚している。
そんな俺のワガママを聞いて下さい。これからもどうか、可愛がらせて。まだ、ゆうたくんを応援出来るほど大人ではないから。
「あんずさんは可愛いよ」
ピエロのまま、どうか笑わせて。
知ってか知らずか、あんずさんはようやく微笑んだ。
END
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