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らん
2015-09-29 19:47:25
1133文字
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いずあん←つかさ
ほんとにごめん。私はナイツだと司くんイチオシです
…………
お姉さまは瀬名先輩のどこが良いのでしょうか。問うれたそれに充分に答えられるだけの理由が見当たらないのか、お姉さまは曖昧に笑む。こんな回答しか出来ないけど、という前置きで紡がれた言葉は、きっと真理だ。
「ただ好きだからかなぁ」
ああ、その言葉が私に向けられたものならば、一体どれほど嬉しかったか。それは永遠にないのだとじんわりと染み渡る。
以前、お姉さまのどこが良いのですか?と、瀬名先輩に聞いたことがある。先輩の質問に対する回答は「分かんない」だった。
「分からない?」
「分かんないねぇ。どう表現すれば良いのか、分かんない」
いつも明確な先輩が、はじめて濁したそれこそ愛なのだと悟ったのはその時だ。お姉様は、瀬名先輩という人すら変えてしまうお人なのだ。
そして、今。お姉さまもきっとそうなのだろう。先輩によって変わったのだろう。それが分かるから、この恋はもう安らかに眠らせることが出来る。
笑顔は自然にこぼれた。幸せになってほしいと思えた。私は、貴方の騎士にはなれない。
「そう言って貰える先輩は、幸せですね」
「
……
そうかな」
「勿論」
いつか私も出会えるでしょうか。
溢れた言葉に、お姉さまは微笑む。控えめなその笑みを守りたいと思っていた。多分、これが恋というもので、初恋で、例えるならじわじわと胸を焦がすような火だった。そんな感情をくれた人だった。
彼が名前を呼べば見せるその笑顔は、自分には貰えないものだと、もう理解してしまった。それでも求めたくなるほど、鮮やかな恋だった。
あんずさん、なんて本人を前に呼んだことはないけれど、口にするだけで幸せになれる名前があることを教えてくれた。もう、それだけで終わりにしよう。
たおやかで、ほがらかで、温かくて、それでいて、強いお人だから。騎士すら必要としなくても、前を向ける人だから。そんな言い訳をしても虚しくなるばかりで、大きくひとつ息を吸う。彼女はそう見せていただけで、騎士は必要だったのだ。それに気づいた先輩こそ、お姉さまの騎士たり得るのだ。
いつか貴方は、一人を選ぶのでしょう。知っていました。それが私であれと願ったことは、もう思い出にしてしまわなきゃ。
うまく笑えているだろうか。うまく声に出来ているだろうか。分からないけれど、幸せであれと願えるくらいに、ようやく炎は甘くなりました。
「お姉さま、幸せになってくださいね」
「
……
なんだか今日の司くんは綺麗に笑うね。今までで一番素敵な顔だな」
「有難うございます。私も幸せだからかもしれません」
さよなら、初恋。苦さも甘さも逃げも強さも、全部、貴方が教えてくれたこと。
END
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