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らん
2014-07-24 13:36:39
2194文字
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アギ中
※一応付き合ってる設定
ふと意識が表面近くまで持ち上がる。その感覚で頭がぼんやりと覚醒したが、いまだに目は開かない。アギトはいつの間にか眠っていたらしい自身に呆れつつ、少し身じろぎした。すると、肩に誰かの頭が乗っていることが分かった。耳元近くで聞こえる呼吸のおかげで、それが中山のものだと理解する。そこでようやく、アギトはゆっくりと目蓋を押し上げた。
どうせ、眠っていた彼を休憩中に起こしに来たが、寝顔を眺めようと隣に座ってそのまま眠ってしまったのだろう。腕にメンバーの成績を書き込んだボードを抱え、深くて規則正しい呼吸をしている。
最近目の下にクマを作っていたから、きっと寝不足だっただろうことも予想できる。そうでなければ、中山がこんなに堂々と屋上で寝たりはしない。
そんな相手を無理矢理起こすほど非道でもない。アギトはひとつ溜息をつくと、中山を起こさないようにゆっくりと眠る体勢から休憩する体勢に変えた。といっても、元から胡座をかいたまま寝ていたので、片膝を立てて肘の置き場を作っただけだが。
(コイツの寝顔、はじめて見た)
勿論、泊まりがけで練習することはこれまでも多々あった。しかし、ここまで間近で寝顔を見る機会はなかったのである。第一、中山はアギトより遅く寝て早く起きているので、機会が訪れることすらありえなかった。中山の仕事はサポート全般であり、メンバーの食事を担当しているのも中山だ。そのおかげで寝るのは遅く、起きるのも早いのだ。
クマができたのも、ちょうど夏休みということもあり、ひたすら学校エリアで練習しているため連泊しているせいだろう。充分な休息を取らずにサポートさせていた疲れが出ているのかもしれない。
練習しているメンバーも勿論疲れているが、その分練習が終わったら飯を食べ、シャワーを浴びたら寝るというループだ。サポートメンバーよりも心労は少ない。
「
……
ファック」
少しくらい、疲れたとか、休みたいとか、弱音を吐けばいいのに。
アギトは彼女の顔を珍しく隠している前髪をかきあげた。睫毛が長い。少し開いた薄い唇から、彼女らしい抑えた呼吸がまた耳元に届く。認めたくはないけれど、綺麗だと思ってしまった。
出来心で頬をつついても、中山が起きる気配はない。
直す暇も無かったのか、中山を見分ける際の最大の目印である髪型は、片方だけゴムが取れそうだ。失くすよりは良いだろうと、勝手ながらに解いてしまう。
「
……
オマエだって小烏丸だろ」
サポートメンバーがいなくなるだけで小烏丸は機能しなくなる。中山が倒れたら、一体誰が三食作るんだろう。洗濯くらいならできるのだ、そこだけでも手伝ってやれるのに。
「頼れ、アホ」
いまだにアギトの肩を枕にし、深い眠りにつく中山にごちた。聞こえるはずもないその一言は、そのまま空気に溶けて消える。
しょうがないから、起きるまで枕として機能していてやろう。それくらいしか今は出来ないから。
そう思って動かずにいたら、結局もう一度眠ってしまったらしい。頬をつつかれた気がして、アギトは一度目の目覚めとは打って変わり、すぐさま目蓋を押し上げた。目の前で中山が眉尻を下げて笑う。
「おはよう、アギトくん。もう夜になるよ?」
「
…………
お、う、」
少し照れくさそうに笑う中山は、どうやらアギトに寝ていたことを知られていないと思っている風情だった。良かった、なんて彼女の小さな呟きを聞き逃さず、アギトは自分の頬から離れていく彼女の指をゆるく握る。それによって止まった中山を拘束するように、今度は手首を掴んだ。
「な、何?」
「オマエ、疲れてンなら寝ろ」
「はい?!」
「一日くらいカップ麺でも平気だ」
「えーと、」
「俺の肩が枕とかワケわかんねーことしてねェで、普通に休め。倒れられて困るのはこっちなんだヨ」
ファック、お決まりの口癖で締めくくる。はじめは意味がよく分かっていなかった中山も、途中から寝ていたことがバレていることを悟ったらしい。なんで起こしてくれなかったの?!と逆上するようになって、アギトは遮るように彼女の髪を引っ張った。
「髪直す暇もねーくらいに疲れてる奴に、サポートなんか任せられるかって言ってンだよ」
寝ている時に解いたゴムを、掴んでいた中山の手首に通す。返す言葉のなくなった中山は、そこでようやく黙った。
「オマエが今日するべきことは寝ることだ。アホ」
「
…………
はぁーい」
「俺等が練習終わって帰った時、寝てなかったら殺す」
「そこまで?!もー
……
分かった、寝ます」
その言葉を聞いて、アギトは満足げに鼻を鳴らした。よく出来ました、の代わりに不意打ちで唇にキスをする。すると、ボードで頭を叩かれた。
「なんでこういうことするの?!寝れなくなるじゃん!」
「はぁ?!」
「もー、バカ!寝てなかったらアギトくんのせいだからね!おやすみ!」
べー、と古典的に舌を出してから、中山はバタバタと屋上から去っていく。その様子を見送りつつ、アギトは分からないように小さく笑んだ。
「バカはどっちだよ、ファック」
どうせぐっすり寝てるに決まってる。
またあの寝顔を見れるのかと思うと、ほんの少し鼓動が速くなった
END
誕生日おめでとうございました!
ってことでアギ中なんですけど誕生日全然関係ない!!!すみません!!
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