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らん
2014-03-05 11:01:07
1087文字
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ロマベル
ベルの掌は神が与えたもうた奇跡だ、なんて言えば誰もが笑うかもしれない。
それでも、ベルの手のひらは俺にとっての幸せで、奇跡だった。
柔らかな感触も、綺麗に整えられた爪も、少し冷たい温度も、全部が俺に安堵と幸せと愛情を伝えてくれる。それがたまらなく愛しい。
「ロマーノ、」
優しい声色が俺の名を呼ぶ。振り返るとベルが笑っている。それだけでも幸せだけど、俺はワガママで強欲で、もっと欲しくなるのだ。
ベル、愛称で呼んで、そのまま抱きしめた。ほんのりとチョコレートが香る。甘くて安らぐ馴染んだ匂い。
「なぁにー、甘えんぼさんやんね?」
「んー」
「どした?なんかあったん?」
「べつに、なんもねーよ」
そお?と首を傾げつつ、頭を撫でられる。するすると髪を梳いて、前髪を整えられて、撫でるその手は頬に貼り付いて止まった。
やはり少し冷たいてのひらに、俺の頬から体温がちょっと奪われていく。それが気持ちいい。柔らかくて、くすぐったい。
添えられた手を固定して、擦り寄るようにすれば、ベルは鈴が鳴るように綺麗に笑った。
「甘えんぼさんや」
「もうなんでもいいぞコノヤロー」
「背丈だけいっちょまえになって、中身はまだまだ子供やね」
「
……
ガキはイヤだ」
「えー、ちっちゃい頃のロマ、かわええのに」
「ちぎ、忘れとけよ
……
」
「やーだ」
そうやって照れる所なんて昔となんら変わりがない、とベルはまた笑む。綺麗に、少しの哀愁と共に。
それが妙に俺の心を揺さぶって、頬に添えられたままの手を剥がすと、目の前のベルの額にキスを落とした。
「
……
ちっとは成長したんだぞ、」
「
……
あらまあ」
「なんだよその反応!!」
「んー、ふふ。確かに、ちょーっとおませさんになったかな?」
「ちぎいい」
でも、かっこええよ、ロマーノ
そうやってベルはいつも不意に爆弾を落とす。分かってやってんのかは知らないけれど、いつも俺はその爆弾に踊らされて、結局嬉しくて幸せになって、爆発してもいいかな、なんて考えてしまうのだ。
俺の手から逃れて、また頬に貼り付いた手のひらは温かい。さっき俺が分けてやった熱が残っている。それも、幸せ。
「なあ、キスしたって?」
大人になったから、今日はその唇に。
受け入れられた熱は、やっぱり少し冷たい温度のベルに吸い取られて、次第に混じって溶けた。
その間もベルの手のひらは俺の髪を梳いて、撫でて、最終的に俺の手のひらと重なる。
ああ、幸せだ、奇跡だ
やっぱり、ベルの手のひらが奇跡なんじゃなくて、ベル自身が奇跡なのかもしれなかった。
END
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