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バラ肉
2024-09-17 23:10:47
1780文字
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ねえ、ちょうだい[ニンブロ]
十五夜、いつもより月がキラキラ見えたので書いた…
できあがってる二人。
夜空でキラキラ輝く満月に、ブロッケンJr.は「ほぅ」と感嘆の息を漏らした。
『今宵は十五夜、中秋の名月の日だ』
そう教えてくれた男の言う通り、確かに今夜の月はいつもより見事に見える。
キラキラ。
カーテンの隙間から差し込む月光も、普段よりいくらか明るい気がするのは決して錯覚ではないだろう。
「綺麗だなぁ」
徐にベッドから降りた彼は、まるで誘われるように窓辺へと歩み寄る。僅かに開けておいた窓の隙間から入る夜風が、レースカーテンと髪を靡かせるのも気にせず。
「
……
へえ、こりゃまた見事なもんじゃねえか」
窓辺に立ったブロッケンは、夜空を照らす月の眩さに目を細める。
日本の風流と言うものに造詣はないが、美しいものは好きだ。このまま一人でお月見と洒落込もうか?
そう思った矢先。
「そんな格好で何を言っておる」
ふわり。
後ろから伸びてきた両腕に体を絡め取られる感触に、思わず目を見開く。
「ぁ
…
.!」
反射的に振り返れば、見知った端正な顔が視界いっぱいに映る。
「
…
.ッニンジャ、お前起きてたのか?」
先ほど見た時にはぐっすりと眠っていたのに。
よもやベッドにいるものと思っていた相手が間近に迫っていた事実に、大きな目が更に大きくなる。
そんな驚きを隠せないアイスブルーの瞳に対し、当のニンジャは呆れるように溜息を吐いた。
「衣擦れ一つの音でも起きるのが忍びなものでな
……
」
暗に、ブロッケンがベッドから降りた音で目覚めたのだと言いたいのだろう。片眉を器用に釣り上げる様は些か悪戯げだ。
「あっ、すまねぇ! 起こす気はなかったんだ
……
」
「フッ
……
冗談だ、気にするな。それに、あのまま寝ていたら折角の名月を見逃すところだったからな」
クイッと空の月に向けて顎をしゃくるニンジャは、謝るブロッケンをサラリと流す。
実際、彼が起きなれば、激しい性交で疲れた体は朝までそのまま目覚めなかった筈だ。そこは素直に感謝しておく。
但し、だからと言って今のブロッケンの姿は見過ごせないのか。
「しかし、そのような素っ裸で窓辺に近付くのは不用心すぎるぞ」
「え?
……
わっ!!」
指摘されて漸く自分の格好を思い出したのか。情事の最中に裸に剥かれたことを忘れていたブロッケンは、ここにきて自分が全裸な事を思い出したようだ。
「ちょ、あんまり見んなよ!」
胴体に巻きついた腕を掻い潜って必死に胸と股間を隠そうする様子に、ニンジャは思わず口角を上げた。
そして、彼の願いを聴いてやるため、目の前にある後頭部へ顔を埋める。すると、ヒヤリ、汗でやや湿ったそれが頬を撫でる。先ほどの情事の名残だろう。散々泣かせた自覚があるが故に、ニンジャは無意識に隠した顔を緩ませた。
対して、ニンジャに限ってそんな親父くさいを真似をしているとは露ほども思っていないブロッケンは、こんな時も前向きなのを貫く気らしく。
「ったく。まあいいや
……
そんじゃさ。起きたんなら、一緒に見ようぜ」
今更取り繕っても仕方ない。どう足掻いても今の格好をどうこうすることはできない。そう自己完結したのか。
言うなり、ニンジャの腕にソッと自らの手を乗せる。
自分じゃなくて、この美しい月を楽しもう。
そして。一つでも多く、自分たちの思い出を増やそう。
言葉には出さないものの、態度で語るブロッケンは、恥ずかしさを誤魔化すように月へと顔を向けた。
キラキラ。
闇を蹴散らす満月に、自らの潔白を訴えかけるように。
その耳が真っ赤に色付いていることすら気付かず。
キラキラ。
月光を浴び、自分の短く切りそろえた金髪が本物よりも夜の闇の中で輝いていることにも、知らず。
「
……
綺麗だな」
「ああ、本当に」
何に対して言っているのかも知らずに頷く恋人に、ニンジャは絡めた腕にバレない程度の力を込めた。
宵闇を照らす十五夜は、きっと自分たち以外にも多くのものを魅了し続けていることだろう。月の魔力は偉大だ。魅入られたら最後、引き返すことはできない。
だから、彼は腕の中の男を他の誰にも取られないよう、身を寄せた。
すり
……
、さながらマーキングするように、自分を染み込ませる。
(この月は、拙者だけのものだ)
執着心の強い悪魔は、誰に言うでもなく心の中で宣言するのだった。
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