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tometa
2024-09-17 21:16:53
964文字
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甘く、温か/カメンズ
颯にココアを淹れてもらう浄の話。浄がココア飲んでいたらかわいいな~って思って書きました。きっとこの後皇紀さんに解体される。
「何になさいますか? お客様」
あらかた片付けの終えたラウンジを眺めるようバーカウンターにもたれていた浄は、背後からのわざとらしく傅いた声に視線だけを向けた。
「
……
片付けはどうしたって宗雲に怒られるぞ?」
客人を迎え入れるよう恭しく頭を下げる仕草はそのままに、颯は人懐っこい瞳の片方をパチリと閉じる。さてどしたものかと思案する浄の視界の端にバックヤードへ消える宗雲の姿が映った。
「なら、とびきり甘いココアを一つ」
「喜んでっ」
颯はパッと表情を変えて、軽やかにカウンターの奥へと移動する。コーヒーなりラテアートなり、それらの道具が集まるあの一角は彼の城だ。後ろ姿でも手際よく動いているのが良く分かる。まるで踊りをエスコートするような背中から浄は視線を外した。
人気のなくなった店内を眺めながら、口許を指で撫でる。頬に固さはなく、いつも通りよく動く。本日もつつがなく、普通に過ぎた一日だった筈だ。床を爪先が滑り長い足が組み変わる。
何かあるとするならば。
朝を遠くするような自責が少し。時折濃さを増し立ち込める煙みたいなそれを解決する術はなく、ただ薄まるのを待つしかない。
「はい、お待たせ~」
そんな諦めた感情を気取ったのか。無言で考え込む浄はカップソーサーの立てた音で我に返った。得意気な顔を前に先の颯を思い浮かべながら、わざとらしく頭を下げる。引き寄せたカップの中には白いウサギが浮いていた。
「ココアでも出来るんだよ、すごいでしょ!」
ふんわりと甘いカカオの匂いを纏う颯がほどけるような笑みを浮かべる。そんな顔を見ていれば、知ってか知らずかなんて考えることがどうでもよく思えて、浄はココアの上で跳ねるウサギへ息を吹き掛けた。
「あーっ!」
「はは、どうせ飲んだら消えるだろう。それに早く飲まないと宗雲に怒られてしまう」
「
……
お前たち、閉店作業はどうした」
あっと声を漏らす颯と呆れた顔を浮かべる宗雲を横目に、浄は小さく肩を竦めてカップの縁に口を付けた。舌の上に牛乳に溶けたまろやかな甘味が広がっていく。
「ん、美味だ」
「浄~、飲んだら手伝って~!」
「全く
……
、」
「はいはい、分かってるよ」
ゆっくりとココアを飲みながら、組んだ足をほどく。革靴の先で煙を払い、浄は甘い空気に目を閉じた。
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