IchoKaede
2021-11-19 17:56:51
8704文字
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エクストラ・マジック・アワー

はじめまして!orお世話になってます!
犬ぞり部(2期)の拙作SSの一作目です。

個性と魅力のたっぷり詰まった素敵なキャラ達をお借りしてソリ引いてもらいました!
確認やアドバイスを頂いた親御さん各位に、重ねて感謝申し上げます✨️

【登場人物紹介】(入部届提出順 from 有志作成の名簿)
※抜粋して編集しております。正確なプロフィールはリンク先のキャラクターシートをご参照下さい。🙏


🛷厳島 信玄(犬雄さん@inodogs )
185cm / 83kg / 42歳 / 狼犬
獣山学園 琥珀寮の先生(担当科目:地理)
生真面目すぎる性格からか物事を数字主軸で考えてしまうことが多め。
犬橇の経験はあるもの厳しめになりがちだが、部員の不調にいち早く気づくほど生徒の言動には目をこらしており、同職員や生徒からの信頼は厚い。

📝キャラクターシート

📝+補足



🛷誉 太陽(44さん@ClawLion )
190cm / 100kg / 高3(18) / 狼
琥珀寮の寮長 / ホイール
明るい・ポジティブ・前向き・元気・正直 etc.
(とても明るく、まぶしいキャラです by あすなろ)

📝キャラクターシート

📝+補足



🛷日埜 燎(クーリさん@kuuri_krtt )
ホイール
185cm / 84kg / 高2(16) / ウトナーガン
疲れを知らない活発で明るい性格で、よく笑う2年生のウトナーガン。
他人と絡むと相手が疲れきるまで振り回す癖があり、凄まじいスタミナの持ち主である。

📝キャラクターシート



🛷浅海 湧治(あすなろ@IchoKaede)
ホイール
175cm / 78kg / 高2(16) / アラスカンマラミュート系の雑種
性格を一言でまとめると「理系」。犬ぞりも学生生活もサポート役が得意。よく考えてから行動するタイプに見えるが、思いついた事はなんでも試してみたいタチで後先考えない危ない一面も。
琥珀寮のホイールの中では体格もスタミナもスピードも劣るInt寄りのバランスタイプ。故に、理想と現実のギャップに苦しんでいる。
(キャラの性格等の情報については、ココが初出となります。)

📝キャラクターシート



🛷潤 ウルフェニク(どら焼きさん@yakiemon )
ホイール
203cm / 125kg / 高2(16) / 狼
アメリカと日本のハーフ。日本語はちょっとカタコト。感情表現が豊かで嬉しいとすぐにハグしようとする。

📝キャラクターシート



🛷明星 夕弥(シンさん@singledrk )
ポイント(元スイング)
189cm / 86kg / 高1(16) / ツンドラオオカミ
上下関係や世間の規則にルーズで興味が無い。
犬ぞり経験者。
身勝手に見え雑な気質だが経験によりコースの把握や進行のフォローのような、力業ではない事の方が得意。別寮に兄がいる。

📝キャラクターシート



🛷シュバリエ ミシェル(湯さん@00madross00 )
ポイント控え
178cm / 51〜55kg / 高1(16) / サルーキ
疾走ジャンキーで常に走ってる。
勝ち負けは気にしない。走って楽しいことが一番大事。
日本育ちのため日本語が母国語だが発する言葉の8割が「走る? 走る!」なので意思疎通に難あり。
人の名前を全く覚えない上にトンチキなあだ名をすぐつける。

📝キャラクターシート



🛷×堂 弥狗丸(ボスタムさん@bosstariamuss )
スイング
193cm / ‐kg / 高3(‐) / ‐
絶対に目は見せないスタイル。
自分の×”バッテン”という名前を皮肉っているが実は気に入ってる。
(テンションアゲアゲなキャラです by あすなろ)

📝キャラクターシート



🛷興梠 マモル(きのえさん@ARiver_kkwa )
193cm / 85kg / 高2(17) / ダルメシアン
明るくおっとりしていて温厚。
地方出身で田舎育ちなので訛りがキツく、一年経ってもまだ宮崎弁が抜けない。興奮すると地元の人でないと聞き取りが難しくなるほど。
当初は選手志望であったが、次第にサポートする側としての楽しみを感じたため、今はマネージャーとして落ち着いた。

📝キャラクターシート




【イメージソングについて】
本作にはイメージソングを設けました。
AKINO with bless4の「エクストラ・マジック・アワー」です。
「新しい・楽しい・騒がしい」の3つのキーワードを感じてもらえたら本望です。✌︎('ω')✌︎
(↓ミュージックビデオへのリンク)



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【エクストラ・マジック・アワー】



「じゃ〜ん!これ見るっす!
 焼肉食べ放題、開店記念キャンペーン!!
 こないだ街に行った時に、チラシ貰ってきたぜ」
端には「学生限定!割引クーポン!」の文字。
へへ〜んと自慢顔で日埜が見せてまわる中、一番に食い付いたのは……
「焼肉ーッ! みんなで行こーうッ!!」
へふっへふっと息を荒くして尻尾を振る犬(狼)が一匹。

「太陽先輩うっざァ……、焼肉ねぇ、身体にニオイ付くんだよねぇ」
「ひのりん、グッドアイディア!!👍」
一見乗り気でない明星に、明るくパワフルに賛同する潤。
「食べ放題……ぼく行かない。走ってくる!」
「ミシェッち、肉食べないと走る体力つかないぞッ!!」
そう言いながらミシェルの前で×印を指で示す×堂。
うぅ……走る、お肉、食べる……
「うっし、んじゃみんなで焼肉食べホーだな!」
プランが固まったところで、浅海が言葉に出して再確認する。

「なんや盛り上がっちょるねー」
「お、マモルも行くっすか? 焼肉! 食べ放題!」
「いいがー、みんなと行くごたれば飯も美味えがー」
騒がしい輪に興梠が顔をのぞかせれば、発起人の日埜が誘いこむ。


「どーせ行くならさァ? 誰が奢りにするか競走して決めない?」
「ボク、アイス食べたいです。ヤキニク屋サンでアイスフロート!」
……オレ考えたんだけどさ、なら追加メニュー分の奢りとかでいけるんじゃないかな、どうだ?」

ワイワイと話が盛り上がっている所に、厳格な足音がひとつ。
「太陽に話は聞いた。ここに集まっているメンバーで走る、とな。……俺を含めてちょうど9人か。」
厳島の後ろでは誉が満面の笑みでピース✌サインをしている。

「なら、2人1組で走ってみろ。いつものポジション別トレーニングや多頭引きとは違うものが見れるだろう。」
「今回、走者のトレーニングをしていない興梠と俺はマッシャーに回る。特に太陽のソリは重量があって扱いが難しい。俺が担当しよう。」
「でも……」と言葉を発する浅海は厳島に向かって手を挙げている。
「信玄もンッ、厳島先生、残り一人のマッシャーは? 話し合い?」
「めんどくさ、クジ引きでいいんじゃなァい?」
「いいんじゃないっすか、クジ引き!」

「んじゃ! さっきの続きだけど、3チームの競争なら1位は追加メニュー3つ、2位は追加メニュー1つ、ビリのチームは無し。でいってみないか?」
「え? ビリにペナルティないの? つまんな〜い。」
「みんなで楽しみましょうです!」

ひとしきり話が落ち着いたのを見て、厳島はホワイトボードに貼り付けられた学園のコース地図に目を移し、指を差す。
「では今回のコースはこうだ。 2.5キロのコースを2つ。
 ひとつは学園内にあるトラックレースのシンプルな路面(オンロード)。もうひとつは裏山にある起伏あり、林間の狭小部ありの悪路(オフロード)のコースだ。
 これを通しで走ってもらおう。
 今回マッシャーはブレーキかけるだけの補助要員だ。各自でポジションやスピードを考えること。
 そしてなにより、怪我をしないこと。これだけは覚えておくように。」
「「「はいっ!!」」」


「よし! それじゃ、色分けしたクジでチーム決めるぞ。マッシャー役は印が付いてるからな。
 いいか? ……せーのっ!」

「ッ! やッたーー!!  オレッちのクジ×印ッーー!!」
ひとり喜ぶ×堂のまわりは何とも言えない空気が流れていて……
「え? あれ? ミンナどしたッす?
 ……あッ!! 印付きーッ!!
 ……オレッちソリ引けねえッすか……
テンション下げ下げな×堂を横目に、厳島が口を開く。

「ではチーム分けも決まったな。
 シュバリエ、浅海ペアに、興梠がマッシャー。
 日埜、潤ペアに、×堂がマッシャー。
 明星、太陽ペアに、俺がマッシャー。
 準備が整い次第、始める」


    ◇


外に出れば、鼻に刺すピリッとした冬の匂い。
毛先から奪われる熱。
――犬ぞりの季節だ。


ザクザクと雪を踏みしめながらレース出場前の雰囲気をまとっていく。
その中、日埜がいつもと違う浅海の装いに気付き声をかける。
「あれ? 湧治、珍しいっすね、スポーツグラスなんか掛けちゃって。」
「あぁ、ちょっと試してみたいことがあってな」
「ふ〜ん?」
タネ明かしをしない浅海の言動を頭の隅に置いて、日埜はレースに備えて熱を込めていく。


「それでは、各自スタートの姿勢がとれ次第、お互いに合図をしてスタートを切れ」
厳島の一言を背に受け、みなが口火を切っていく。


ミシェルと浅海は髪結いをほどいて、髪をたくし上げ直す。
ふたりの方からパチンッとゴムの小気味の良い音が聞こえてきた。
「走るよ!ワカメセンパイ!!」
「おう!あと「浅海」な!」

「んじゃウル、行くっすよ!」
「ハイ!ひのりんガンバろ!!」

「太陽せんぱい〜、俺が前走りますんで、そのトンデモナイ重さのソリ任せますねぇ〜」
「おー! 夕弥も皆も楽しもうなーーっ!!」

「「「それじゃあ、レディー……ゴー!!」」」



まずはストレート約800m、蹴り上げられた雪が降る中、先頭を切ったのは
「やるからにはとことんいくぞ! 先輩
! 振り落とされんなよ!!」
「ワァ〜! ソリが軽いですっ!」
「ガタガタくるーッ! 乗り心地×だぁーッ!!」
ザクザクドスドスと、揺らめく炎の様な毛並みのホイールとキャッキャッと喜んでいる琥珀寮最大級の体躯のホイール、その2人に引かれるソリが先頭に躍り出る。
降り積もった雪がえぐられ、ひるがえりながら再び地面に舞い散る。

後を追う2つのソリからは、
「やっぱこのソリ重い……、アタマ悪いよねぇ……
「大丈夫だ! もっと速度出るぞー!!」
きらめく白銀の狼と、雪と対照的な黒茶の狼。


「ソリの負荷はオレが負う、ミシェルは存分に走れ!」
「うん! 分かったアサリセンパイ! 走る!」
浅海は四肢を地面につけ、ザグッと雪に指を立て、地面に手のひらを当てしっかり掴んでいく。
ザガッ、ザガッと雪を掴んでは捨てて、前に傾けた体幹に、肩にハーネスがギリギリと食い込む。
……うん! 軽いよ! 全力で走れる!」
「後半のオフロードはキツくなるぞ、体力残しとけよ
 (よし! 低い姿勢で顔に雪が舞っても、グラスが視界を守ってくれてる!)」
「わっぷ! 湧治くん掻いた雪、顔んかかっち冷(ちゅ)んてー!」
白とピンクの長い髪がはためき、その後ろを一筋のメッシュが入った灰緑と灰青の色が追う。

走り出した各チームは加速の姿勢から長距離走行の姿勢に入る。



「そろそろ最初のコーナーっすね」
「このまま行っちゃいましょー!!」
「ちょ!ちょッ! 2人ともスピード落とすッて!?
 ブレーキ間に合わワッー!!!(ボフッッッ!!)」

「あ〜ァ、かわいそ」
  「大丈夫だー!立て直せ〜!」
   「……

「じゃあね! レンコンセンパイ! ニクソンセンパイ!」
 「ケガしねぇようになー」
  「ミクマル先輩、どんげやろか……?」

カシューッと爽やかな音を立てながら、ソリのエッジが雪を切り、星のように流れていく。



「さて、コーナーも過ぎたけど……
 浅海先輩、ミシェルの足引っ張ってるじゃないですかぁ、ザコじゃんウケるw
 残念だったねミシェル、おさきにィ〜」
  「ミシェルー! ユージー! がんばれ-!!」

「コンブセンパイ! もっと早く走って!」
……(ホイールでも、やっぱり速さが足りないか)」
「湧治くん、ファイトやじ!」


後方からは……
「次の直線で巻き返すぞ! ウル!!」
「全力疾走ですね! 任せてくださいですよー!!」
「ちょいまじストップ! 少しセーブしてッ! セーブッ!!
 じゃないとッ、オレッちがマジ×! 体がいくつあっても足んねェ!」
ガッ、ガッと雪を蹴り、走り始め……
「マッシャーの指示が無いうえポジションも無いの、このレースむずかしいっすね……
 ウル、メインのホイール頼んだ!」
「はいっ! ひのりんは前に走ってください!」


「メカブセンパイ-! もっと早く走ろ! 早く走ろ!」
「ミシェル、焦るな(って言ってる自分が1番追い込まれてるんだよな……)」
「あわわ……、後ろかい来よるよー!」

「さぁ、追いついたっすよ!」
「わぁ〜い、これで2位です!」
「上等上等ッ! オマエたちもガッンッバッ!」
「太陽先輩の後ろ姿もつかんだ! ウル、このままいくぞ!」


先頭の明星、誉ペアは最終コーナーを曲がりつつ……
「次はオフロードかぁ、太陽先輩、俺がコースとりますんで、坂の攻略お願いしますねぇ」
「おうっ! 夕弥はスゴいからなっ! このまま1位だーっ!(わふっわふっ)」
ソリが起伏にめり込み、雪山をズドドド潰しながら豪進していく。

その後ろに肉薄していく日埜、潤ペア。
「太陽先輩の踏んでくれた道、走りやすいっすね」
「このまま追いついちゃいましょ!!」
「ってウル、テンション上がってるな?! いつもの顔と違うぞ?!」
いつもほんわかした表情な潤だが、キリッと相当ワイルドな雰囲気をまとっている。
「イイんじゃナイッ?! テンッアゲッでグーッドグーッド!!
 ッッ!! おわッあッ! ソリが跳ねるッ!」


「ワカメセンパイー、走れないー、つまんないー」
「湧治くん、どんげね?」
「あぁ大丈夫だ……、ちょっと試してみたいことがあってな
 この先に待ってるルート、下り坂の次のカーブ、仕掛けるから2人とも協力してくれ!」
「まずはこの上り坂! 手でも脚でも使って引くぞ!!」


「うっざぁ、木が増えてきてスピード出せないなァ。開けてて直線で動ける道通っていくよ!」
「行けーッ、夕弥すごいぞ頑張れーッ!!」

「思ったより速度出せないっすね……ってアブねっ!」
「うう〜、せまいのキライですー!」
「オレッち死にそ! 木がビュンビュンッ過ぎてくの、マッシャー役メッッッチャこわッ!!」

(通り過ぎる分岐点を左に見ながら、厳島は口を開く)
……、太陽、そして明星。次の下りは全力で走れ」
「??、……!! おぅっ!!」
そう言い終わった瞬間、ほがらかに開いていた口は鋭さを増し、目が爛々と輝き、誉の雰囲気に熱が灯った。
……俺、ソリの下敷きにならないよねぇ……?」
「心配するな、太陽に合わせろ」


一方、最後尾のミシェル・浅海ペアは、オフロードコースに入ってから徐々に差を詰める方法を模索する。

「これ、追いつけるの-?」
……あぁ、いけるかもしれない。別ルートを採ろう」
「え? 2組の後を追わんと?」
「あぁ、次の分岐点は左に行く」
「道も狭(せめ)して入り組んじょっし、足場も踏み固められちょっかい走り難(にき)いじゃろ? 追いつくんも無理やないと?」
「無理だって? やってみなきゃ分からないっしょ!!」
「追いつこ! 走ろ!!」
そうして険しい林の中、踏まれてない柔らかい雪のルートに入り、ソリが滑っていく。

足は雪に沈むが、強く蹴り進んでいく。
ソリのランナーに木の根を当てつつも、反動は新雪がクッションになってくれている。
その感触を確かめながら、浅海は前方を睨む。
……よし奥に見えた! 坂と障害物でアイツら今までの速度出せてないな!」


――ん? なんか左の奥になんか見えたような気がするんすけど……
明星・誉ペアを追う日埜は視界の端で何かを捉えたが……
「ひのりん! 前に集中、集中! 少しずつ離されてるです!」
「!! おう!!」
木々をくぐりながら猛進していく。


先行2組を別ルートから追うミシェル・浅海ペア。
下り坂の左カーブに差し掛かった時、声があがる。
「ミシェル! 今だ! 10時の方向に全力で走れ!
 パウダースノーだから気をつけて「走る!!」」
「マモルは地面に落ちるぐらい体を傾けてくれ! 風の谷のナントカみたいに!」
「ナントカって、なんねーー!?」
言い終わるか否か、浅海は上半身を地面に近づけていく。左手は地面の雪を掻きむしりカーブ内側に力を向け、ソリをドリフトさせていく。
「なんすっとかー!! 怖(お)じぃーー!!」
興梠の悲鳴を伴ってソリは雪を派手にかき飛ばしながら雪面を跳ばしていく。



……あ! 見えた!」

「へぇ〜? あそこから追いついてきたのォ?」
「おぉ! スゴいな〜!!」
「(ほぅ……)」

「やるっすね……、でもっ!!」
「負けられないです!!」
「テンション爆アッゲッ!!」

「すあま! たもりセンパイ! げんげん先生!
 レンコンセンパイ! ニクソンセンパイ! バッテラセンパイ!
 アサリセンパイ、スズムシセンパイと一緒に追いついた!!」
「よし! オフロードならオレらも行けるぞ! 全力――前進っ!!」
「スズムシじゃねっして、興梠やが……

林間部を抜け、陽の光が雪面にきらめく。
そして最後の上り坂を並んで3組が駆け抜け――


    ◇


「と言うわけで……
 厳島先生、ご馳走で〜す♡」
ニヤニヤと笑みをこぼしながら、明星はおくびもせず言い放つ。
皆が予想もしない言葉に明星と厳島を交互に見ている。

……?」「…………(フイッ)」
レース前に生徒達が何を話していたか思い出し、何を期待されているか理解した厳島は視線をそらす。
「えぇー、かわいい生徒が頑張ったのにご褒美も無し? ソレって、冷たくなァい〜?」
……ハァ」
一息こぼし、眉間を押さえながら厳島は観念したようで……
……、今回だけだぞ。」

「「「「「イェーーイっっ!!」」」」」

「ナイスッ! ナーイスッ! ファインプレーだッ夕弥ッ!」
「焼肉! 焼肉っ!!」「ヤキニク! ヤキニクッっ!!」
明星を讃える×堂の脇で、誉と潤、重量級の二人はドスドスと音を立てながら小躍りしている。
「ホント、よくやるな……
「あん先生手玉に取るん、怖えーが……
浅海と興梠は明星の胆力に思わず息をのみこんだ。
「先生……、傷は浅いっすよ……
 クーポンありますから……
日埜の気づかいは焼け石に水か、染み入る優しさの潤いとなったかは、厳島の顔からは覗うことができなかった。


    ◇


「んじゃまずはカルビ、ロース、ハラミを10人前ずつ!
 あと特選和牛カルビ!!」(わふ、はふ)
「アイスフロートも9コお願いしますです!」
「ユッケジャン食う人〜」
「「はーい」」

大皿に山盛りで配られる味の染みた肉。
網の上に置くと、ジューと油が炭に落ちる音を立て、ブワッとひろがるタレの香り。
「ん゙〜〜!! うめぇ-!!!」
「デリーーーーッシャッッッッッス!!」
口の中に広がる肉汁とタレの味に、歓喜の声をあげる。
次々とテーブルを埋めるメニューの数々。
「これ、おいしいねぇ〜」
「てげぇうめーが!」
「うん、美味ぇな!」
ワイワイガヤガヤバクバクと、男子高校生達は勢いよく平らげていく。


……寒い風が吹いてしまった信玄餅先生の財布と引き換えに、オレ達はフツーじゃ得難い経験と美味いモンをたくさん得られました。――11月某日、浅海湧治.


「「「「「先生!ご馳走様でした-!!」」」」」