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溶けかけ。
2024-09-17 01:28:18
1307文字
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ほぼ日刊
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春へと手を伸ばす
ラッキースケベをして以来、一人もんもんとするヌヴィレットのお話。
「フリーナ
……
!」
珍しくヌヴィレットの焦った声が聞こえて振り返るのと同時に彼の顔が目前にあった。そのまま僕らは倒れ込み、ヌヴィレットの頭に本の雨が降り注ぐ。
「だ、大丈夫かい!? ヌヴィレット!」
「ああ、大丈夫だ。問題は
……
」
ない、と言おうとしたヌヴィレットは己の手から伝わる柔らかな感触に二の句が継げなくなった。
「ヌヴィレット
……
?」
不自然に止まった会話にフリーナが首を傾げて、彼の止まったままの視線の先を追った。
「あっ
……
」
思わず声が出た。ヌヴィレットの視線の先ではフリーナの柔らかな膨らみの上に彼の手が重ねられていた。いな、彼の手はがっちりと彼女の乳房を握りしめていた。
「ええっと
……
も、揉む?」
混乱しているのはフリーナも同じであった。口走ってしまった言葉に、何を言ってるんだ、と顔を赤く染め上げた。
ぐるぐると目を回すフリーナを無視して、ヌヴィレットが再起動を果たす。ゆっくりと体を起こし、乳房を握りしめていた手を離すと何事もなかったかのように立ち上がると執務椅子に腰掛けて仕事を開始した。
「僕、今日は帰る。 またね、ヌヴィレット」
フリーナは慌てて起き上がると捨て台詞を残して駆け足で出ていった。扉の向こうで「フリーナ様!?」と言う職員の声が聞こえていた。
「落ち着きがないな、彼女は」
そう呟いたヌヴィレットの手元の書類が上下逆さまであったことを指摘出来る者は誰一人いなかった。
「ヌヴィレット
……
あっ
……
や
……
っ
……
」
柔らかな膨らみを揉みしだく。羞恥で潤んだ瞳はヌヴィレットの加虐心を刺激する。「フリーナ」とその名を呼べば、舌足らずな声で「なぁに
……
?」と返された。上気し、僅かに汗ばんだ肌に手を這わせれば、彼女から漏れ出た声は酷く甘かった。組み敷いたフリーナの頬に触れる。
「
……
――――
」
目が覚めた。ああ、悪趣味だな、と自嘲しながら眉間を揉んだ。ガンガンと痛みを訴えてくる頭は、いわゆる宿酔いというものだ。昨夜の面会でどうしても断れなかった際に数口含んだだけだと言うのに。
体を起こし、ベッドから立ち上がる。ワインセラーの扉を開けて、モンドの水を取り出し、キャップシールにナイフで切れ目を入れて剥がす。ワインオープナーでコルク栓を開け、グラスに注いで一気に飲み干した。
冷たい水が喉を通っていく感覚にヌヴィレットの頭が冴えていく。あの日以来、時々このような夢を見るようになった
――
フリーナを組み敷き、思うがままに貪る夢を。
彼女がここにいなくてよかったと心底思う。最上階にいることが分かっていたら、目覚めた足でフリーナの元へ向かっていたかもしれない。
「
――
っ
……
!」
込み上げてくる衝動を水と共に飲み込む。脳裏に柔らかな膨らみの感触が思い出されて、酷い口渇感に襲われる。
――
目を閉じる。全ての衝動を切り裂いて、噛み砕いたら、奥へ奥へと沈殿させる。
「彼女を傷付けることはこの私が赦さない
……
」
例え、それが私自身であろうとも。
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