部屋を訪れたら宗三さんは書き物をしているところだった。もう少しで終わるので待っていてほしいと頼まれて、少し離れたところに腰を下ろし端末でSNSをチェックして時間を潰す。
その合間に、その手元をちらりと盗み見た。
全体的には華奢な印象を抱きがちだけれど、その手はとても大きくて、骨がごつごつしている男のひとの手だ。指が長くて綺麗で、時に力強く、時に優しく動くのを知っている。
(宗三さんの手、好きだなぁ……)
そんなことを考えながらぼんやりしていたら、くすりという笑い声がした。
「穴が空いてしまいそうですね」
「え? ……あっ、ご、ごめんなさい!」
じっと見つめてしまっていたことに気がついて慌てて謝った。作業の邪魔をしてしまっただろうか?
「いえ、もう終わりましたから」
私の思考を読み取ったかのように答えて筆を置く。そしてずいと私の方へ寄ってきて、
「そんなに欲しければ、どうぞ?」
と、私の手を取った。
「ひえっ、えっと、あの……!」
「おや、違いましたかね」
しどろもどろになる私の顔色は華麗にスルーして、間違えてすみませんみたいな態度をしながら手は捕まえたままでいる。絶対に、わかっていてやっている。
それなのに、首を軽く傾げるようにして答えを促すのだから正直に白状するしかなかった。
「違わない、です。手、繋ぎたいなぁって思ってました」
「ふふふ。いくらでも繋ぎますよ」
宗三さんの手が動いて、きゅっと握られる。いわゆる恋人繋ぎ。更に指の腹で私の指をすりすりと撫でられて、私の体温は上昇したまましばらく下がりそうにないのだった。
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