ただただ俺の手が冷たいのか、それとも穹の手が暖かすぎるのか。
それでも、彼の手に触れられると氷のように冷え切っていた心がゆっくりと溶けていく感覚。
決して嫌ではない。むしろ、もっと触れてほしいとさえ。
いくら長命種とはいえ、永遠に共にいることは叶わないから、一瞬一瞬を大切にしていきたい。
「たんこ〜。今日は一緒に寝て欲しいんだけど、駄目かなぁ?」
そんなことを思っていると、ノックが聞こえ。入室を促せば入ってくることなく声をかけてくる。
「お前の部屋でいいなら、構わないが」
「なののせいだから、俺の部屋でお願いします」
「わかった。すぐに向かったほうがいいか」
「ううん。一時間くらいなら待てる」
「すぐに風呂に入ってから向かう」
「わかった。待ってるね」
足早に資料室を去り、廊下を駆けていく。
朝、三月と映画を観るとウキウキしながら話していたが、どうやらホラー要素のあるものだったようだ。
そうでなければ、あんな怯えた様子で俺を誘わない。
「丹恒、穹見なかった?」
風呂用のセットを用意していると、三月がやってきて。
「自室に帰ったぞ」
「もう。聞いてよ。穹ったら、お菓子とジュースを置きっぱにしたんだよ」
と言いながら、頰を膨らませる。
「俺が届ける。お前は数日避けられるだろうからな」
「怖い要素があったのは、ウチのせいじゃないもん」
「八つ当たりはするな」
「わかってるよ。丹恒、もしかしてこれからお風呂入る?」
「穹と寝る予定だから、入らせてもらう」
「終わったら、声かけて。ウチもお風呂入るから」
「ああ」
風呂に入って身を清め、髪も乾かしてから必要なものを持って穹の部屋へ。三月には、今なら空いているとメッセージを入れておく。
あとは寝るだけだからと己に言い聞かせ、扉をノックする。
「はーい。丹恒、やっと来てくれた〜」
「一時間以内だぞ」
「それでも心細かったんだ」
「三月から預かった」
食べかけの飲み物とお菓子を渡すと、眉を下げて受け取る。
「明日謝らないと。部屋を飛び出しちゃったし」
「付き添いはする」
「ありがとう! さ、寝よう」
「ああ」
お菓子と飲み物を素早くテーブルに置くと、俺の手を引いてベッドへ。
穹に触れられると、いつも包まれているような感覚に陥る。でも、嫌じゃない。
先に寝転がれば、胸に顔を乗せてきて。頭を撫でると、嬉しそうに笑う。
「今日の丹恒暖かいね」
「そうか?」
「うん、優しい暖かさ」
「
……お前の方が温かいだろう」
穹を抱きしめる。
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