三毛田
2024-09-14 21:23:53
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50 10. 愛しいと想う気持ち

50日目 いつもその気持ちは湧き上がってくる

 列車に来た時は、何も知らない。何も覚えない。
 何もかも空っぽで。
 だけど、丹恒やなの。姫子にヴェルトにパム。
 みんなのおかげで、なんだかんだ毎日楽しく過ごしている。
「うぇ〜ん。丹恒先生〜」
「お前、今度は何をやらかした」
「これ、逃げるな!」
 俺が資料室に飛び込んで丹恒に抱きつくと同時に、パムも部屋に飛び込んできて。
「パム、連れて行け」
「嫌だ〜! 美味しいものだけ食べたいよ〜!」
「味見を申し出たのは自分のくせに、何を言っておる!」
 丹恒が塩対応なせいで、俺はパムと姫子の作ったご飯の味見に再び引きずられていく。
 パムの作ったご飯は美味しいんだけど、姫子の作ったものはロシアンルーレット状態。
 美味しいものに当たったらいいが、姫子コーヒー壁の悲惨なものに当たったらと思うと寒気がする。
「あら、穹。何が嫌なの?」
「嫌じゃないよ! だって、全部食べたらすぐお腹いっぱいに……
「作った料理を少しずつ食べれば、大丈夫よ」
「丹恒、助けて~」
 と、ラウンジから呼びかけるけど多分届かない。
「これは、何があったんだパム」
「う、うむ。姫子と試食会をしておったのじゃが、途中で穹がギブアップしての」
「それだけじゃないだろう」
「う……
 ああ、丹恒。
 姫子の作ったものは見なかったことにしてくれ。お前も食べたら、俺と同じことになる。
「これか?」
……
 俺が唸っていると、丹恒は二人に問いかけていて。
 どれが原因かすぐにわかってしまったようで、無言を貫いている。
「姫子さん」
「そんなにわかりやすかったかしら」
「コーヒーゼリーは、パムはめったに作りませんから」
「丹恒、食べたら穹の二の舞じゃぞ」
「パム?」
「とりあえず、穹は部屋で寝かせます。そっちの方がゆっくりできるでしょうから」
 そういうと同時に、俺を抱き上げる。そんな軽々持ち上げないでください。彼氏としてのプライドがズタズタだ。
「大丈夫か」
 渡されたのは、丸薬。飲んでも大丈夫だろうか。
「胃薬だ」
「いただきます」
 口に放り込んでから、水で流す。
「はあ。助かった」
 そう呟くと、頭を撫でられて。
 そんな彼の表情に、愛しさがこみあげてくる。
「丹恒、好き」
「俺も穹が好きだ」
 勢いのままキスをしようとしたら、手で防がれる。なんで。
「丸薬の味がしそうだから拒否させてもらう」
「丹恒~?」
 俺が恨みがましい声を出すと、丹恒は小さく笑って。
「もう一杯水を飲んだら、してもいい」
 というので、水を一気飲みしてからキスをする。